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裏切り者③
しおりを挟む「アメリア、変わるぞ」
駆け戻ってすぐにユウを抱きかかえた。アメリアが1人でおぶるにはあまりにも不恰好で頼りなく思えた。
「・・・・アルフレッド隊長、ねぇ~。なるほど、だから魔女の魔法にも詳しいし殺しに対しての躊躇いない訳か・・・・」
おでこに滲んだ汗を拭いながらアメリアは真っ直ぐと俺を見た。だけど俺自身を卑下することも否定することはしないアメリア。むしろ出会った時と同じように可笑しく笑っていたのだ。
「そう言うお前だって、王の元で居たって本当か?」
「ははは、居たよ。クソ詰まらなかったよ・・・・人を助けるのにどうしてあんなにお金が必要なのかな?知ってるか?助かるのは位の高いお金をたくさん持った貴族だけで、低俗な民衆には何もしないんだ・・・・あれを王と呼んでる人が理解できないね」
そう言い切ったアメリアは満足したようで、だけど同時にその話にも出てきた位の低い民衆の心配をしていたのだ。影で薬を渡し助けていたと言うアメリアは、その民衆を裏切ったとも呟いたが、俺は裏切ったとは思えなかった。
「きっと分かってくれるさ。民衆だってお前に助けられていたんだ、理由を話せば・・・・」
分かってくれるはずと最後まで言いたかった。だけどゆっくりと話していはいられない状況だと気づき、俺はユウとアメリアを抱え高く、空高く飛び上がり行先を見据えた。
「あっちだ。あの緑の深い所まで行けば何とかなるはずだ」
「わかった。取り敢えずひとっ飛びしてここから離れるぞ」
高く飛び上がり全てが見渡せ、風が頬を強くかすめるのに、ユウはまだ眠りから覚めようとはしない。どんなに声をかけても、アメリアが刺激を与えても、その赤くて大きな瞳がしまわれている瞼を開けようとはしない。
こんな裏切り者の2人に囲われながらユウは守られる。目が冷めた時に、ユウが安心して笑えるように俺とアメリアはずっと守り側に居続ける。
(だから・・・・早く俺に笑顔を見せてはくれないか・・・・・・それまで俺は、お前の矛でいよう・・・・)
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