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帰宅してから衰弱した奴隷のことが気になって仕方がない。
平凡な力しかないが回復師として見過ごせない。
元気になってもまた奴隷として買われ酷い扱いを受けるかもしれない、そう思うと治療されたくない気持ちも分からなくはない。どうしたら…と悩んだ結果、思い切った決断をし翌日お店に足を運んだ。
「すみません!あの奴隷買います!いくらですか!」
「お嬢さん…あれを?」
「はい!私が買って治療をして側におきます!私、まだ独身で…生活するのに男手があった方が便利ですし、旅行に行くときもボディーガードとしても良さそうですし。」
「まぁ、こちらとしては買って頂けるなら嬉しい限りですが…男の奴隷なら武術ができる奴隷もいますよ?」
「いえ、あの奴隷で。それに何かに特化した奴隷を買うだけの資金はちょっと…」
「分かりました。あの奴隷は正直扱いに困っていたので引き取ってもらえるということと…衰弱したままの引き渡しなのでーーーくらいでどうでしょう。」
「買います!」
初めは同情で買った奴隷。
奴隷として扱うのは何となく気が引けたのでペットして扱うことにした。
言葉が通じてなかったので一方的に話かけ、ジェスチャーでコミュニケーションをとろうと思ったが全くダメだった。
とりあえず用意したご飯は食べてくれるし、ケガに回復魔法をかけるのは嫌がらなかったのでよしとした。
初日はソファーで寝るように言ったが伝わらなかったのか玄関の床で寝ていたペットくん。
そうするように言われていたのかもしれない。と悲しくなった。
次の日に新しいベッドと服、生活に必要な物を揃えて与えた。床に寝転がっているのを起こして腕をひき、ベッドに座らせて今日からはここで寝るように!と強く言うと伝わったのかベッドで寝るようになった。
動物とは違い躾けは楽だ。
トイレは勝手に覚えてしてくれる。
壁で爪はとがないし、大きな鳴き声もムダ吠えもない。
イタズラをして部屋を散らかされることもないし、好き嫌いもせずに何でも食べてくれる。
これはいい買い物をしたかもしれない。
理想だった懐かれ、癒されたい。という願望は難しそうだが家に帰って誰かがいる。という安心感は癒しのひとつだろう。
言葉が通じないことをいいことに、毎日仕事の愚痴や前世の記憶を取り戻したことについても話した。
そしてついついお酒を飲みすぎた日に、性欲のことまでぶっちゃけてしまった。
それも良い子に黙って聞いているように側にいてくれる最高のペットだ。
「ねぇ…そろそろ声、聞いてみたいなー。名前、何て言うの?あえてまだ付けてなかったけど、そろそろペットくんって呼ぶのもな。って思っているんだよー」
いつものように独り言として話しかけると…
「名前はない…」
「え?……。えぇ⁈喋った?それより、言葉分かるの!」
「分かるし、話せる。」
「マヤラ語しか分からなんじゃないの?」
「ここの言葉が通じない方が売られないから分からないふりをしていた。まぁ…買われたけど。」
「えぇぇ!…なんかごめんね?」
「いい、奴隷扱いされないなら。今が1番幸せだ。」
人間なのにペット扱いが幸せだなんて…胸がギュッと締め付けられる。
そして何より愛おしい。大切にしようと改めて決心した。
初めて聞いた声は低くて落ち着いた声。
「あなたの名前はジョイね」
平凡な力しかないが回復師として見過ごせない。
元気になってもまた奴隷として買われ酷い扱いを受けるかもしれない、そう思うと治療されたくない気持ちも分からなくはない。どうしたら…と悩んだ結果、思い切った決断をし翌日お店に足を運んだ。
「すみません!あの奴隷買います!いくらですか!」
「お嬢さん…あれを?」
「はい!私が買って治療をして側におきます!私、まだ独身で…生活するのに男手があった方が便利ですし、旅行に行くときもボディーガードとしても良さそうですし。」
「まぁ、こちらとしては買って頂けるなら嬉しい限りですが…男の奴隷なら武術ができる奴隷もいますよ?」
「いえ、あの奴隷で。それに何かに特化した奴隷を買うだけの資金はちょっと…」
「分かりました。あの奴隷は正直扱いに困っていたので引き取ってもらえるということと…衰弱したままの引き渡しなのでーーーくらいでどうでしょう。」
「買います!」
初めは同情で買った奴隷。
奴隷として扱うのは何となく気が引けたのでペットして扱うことにした。
言葉が通じてなかったので一方的に話かけ、ジェスチャーでコミュニケーションをとろうと思ったが全くダメだった。
とりあえず用意したご飯は食べてくれるし、ケガに回復魔法をかけるのは嫌がらなかったのでよしとした。
初日はソファーで寝るように言ったが伝わらなかったのか玄関の床で寝ていたペットくん。
そうするように言われていたのかもしれない。と悲しくなった。
次の日に新しいベッドと服、生活に必要な物を揃えて与えた。床に寝転がっているのを起こして腕をひき、ベッドに座らせて今日からはここで寝るように!と強く言うと伝わったのかベッドで寝るようになった。
動物とは違い躾けは楽だ。
トイレは勝手に覚えてしてくれる。
壁で爪はとがないし、大きな鳴き声もムダ吠えもない。
イタズラをして部屋を散らかされることもないし、好き嫌いもせずに何でも食べてくれる。
これはいい買い物をしたかもしれない。
理想だった懐かれ、癒されたい。という願望は難しそうだが家に帰って誰かがいる。という安心感は癒しのひとつだろう。
言葉が通じないことをいいことに、毎日仕事の愚痴や前世の記憶を取り戻したことについても話した。
そしてついついお酒を飲みすぎた日に、性欲のことまでぶっちゃけてしまった。
それも良い子に黙って聞いているように側にいてくれる最高のペットだ。
「ねぇ…そろそろ声、聞いてみたいなー。名前、何て言うの?あえてまだ付けてなかったけど、そろそろペットくんって呼ぶのもな。って思っているんだよー」
いつものように独り言として話しかけると…
「名前はない…」
「え?……。えぇ⁈喋った?それより、言葉分かるの!」
「分かるし、話せる。」
「マヤラ語しか分からなんじゃないの?」
「ここの言葉が通じない方が売られないから分からないふりをしていた。まぁ…買われたけど。」
「えぇぇ!…なんかごめんね?」
「いい、奴隷扱いされないなら。今が1番幸せだ。」
人間なのにペット扱いが幸せだなんて…胸がギュッと締め付けられる。
そして何より愛おしい。大切にしようと改めて決心した。
初めて聞いた声は低くて落ち着いた声。
「あなたの名前はジョイね」
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