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一章:転生乙女
09 頭にきましたから
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私が15歳になって5日後の朝。
私は行商人の荷馬車に乗せてもらい、サーシャ領の都市リアーナに到着しました。
「都市、というだけはありますね。リビット村とは規模も警備体制も全然違います」
「そりゃそうさ、嬢ちゃん。まぁただここの厳重さは都市だからってだけじゃねーがな。なんせ厳重さだけで言や国一番って言われてるからな」
途中の村で乗り合わせた恰幅の良い殿方がそうおっしゃいました。
「どうしてそこまで厳重にされているのでしょう?」
「あぁ、それはまぁ色々言われちゃいるが、結局のところは誇りみたいなとこだろうな。嬢ちゃんは知らないかもしれないが、ここは通称"騎士の街"なんて呼ばれててな。王都とじゃ比になんねーくらい騎士がいんだよ」
「騎士様ですか、、、」
騎士様が大勢いらっしゃる。それならば厳重になるのは頷けますが、、、
「何故に騎士様が大勢いらっしゃるのでしょう?」
「ん~、、、それはなぁ、、、」
その殿方は言い渋るように言葉を詰まらせてしまいました。
何かまずい事を尋ねてしまったのでしょうか?
、、、この方にこれ以上迷惑をかけるわけにもいきませんし、気にはなりますが、ここまでですね。
「ありがとうございます。貴方様のおかげでここまで楽しい道のりになりました。名残惜しいですが、ここでお別れですね。また会える日を楽しみにしています」
「ん、、、あ、あぁ!こっちこそ楽しかったぞ!嬢ちゃんはこれから【神縁の儀】だったな!良い人と巡り会えるといいな!」
「はい!それではお元気で」
「おう!またな!」
私は一礼したのち、検問所へと向かいました。
検問所には二人の騎士様が立ち並び、ここを通る人達の身元などを確認していました。
ちなみにですが、先程話していたお方は平然とその横の門を潜って街の中へと入られていました。
、、、騎士様と何か関係のある方だったのでしょうか?
門兵様とも顔見知りのようでしたし、、、
と、そんな事を考えているうちに、早々に私の番が回ってきました。
それなりに並ばれていたようにも思いましたが、駅の改札並みにスムーズなのですね。
「ここへは何をしに来た!」
「私は学校へと通う道中、ここの街にて【神縁の儀】を行う為に立ち寄りました」
「どこから来た!」
「ここより更に東に位置するリビット村より参りました」
「荷物検査を行う!荷物を全てここにおけ!」
私は門番様の指示に従い、手に持っていた布を上から被せただけの麻の籠を台の上に置きました。
「、、、荷物は本当にこれだけか?」
「はい。確認されるとは思いますが、その中に入ってる二着分の着替えと王都まで行くための路銀しか持ち合わせておりません」
私がそう言うと、横にいたもう一人の方が荷物の中を確認し、首を縦に振りました。
「そうか、、、だが、見るに貴様の身に付けている服にはいくつか物を隠せそうな所があるな」
ポケットや袖のことでしょうか?
確かに小物程度でしたら入りそうですね、、、しかし一人一人そこまで調べていてはかなり時間が掛かるようにも思うのですが、今までの方にそのような検査をしていたようにも思えませんし、いったいどう言う事なのでしょうか?
「貴様はこっちの部屋に入れ!」
部屋?あぁなるほど、別室に通して他の方の検閲を行う仕組みでしたか。
ですが、、、
「通ってよし!次!」
後ろの方がそのまま通られているのですが。
私、何を疑われているのでしょう?
そんな風に思いながら扉の前で佇んでいると、騎士様が背中をぐいっと押して、私を部屋の中へと押し込めました。
部屋の中は至ってシンプルな造りでした。ただ周囲には酒瓶が大量に転がっており、お世辞にも綺麗とは言えない状態ですが。
お酒の匂いも酷いですね、、、この場にいるだけで酔ってしまいそうです。
まさか、職務中に飲んでいたりはしませんよね?
私がその部屋の汚さに唖然としていると、私と一緒に入ってきた騎士様が部屋の鍵を閉め、こう声を掛けてきました。
「ーーー服を脱げ」
「、、、、、、」
男は返答も待たずに、私に迫り、壁まで追い込み、身体を触ってきました。
、、、そう思いたくはありませんでした。
この世界は私にとって優しさに満ち溢れていましたから。
ですがそれは私が世界を知らなかっただけなのでしょう。そしてこれはそれを知ろうとしなかった罰なのでしょうか?
「へへっ、、、確かてめぇ【シンエンのギ】に行くところだったっけか!可哀想にな、、、運命の相手に会う前に俺に喰われちまうんだからよ!まぁあ、それも運命ってか!?がははははははは!!!」
でもだからといってこのままお父様、お母様から頂いたこの身をこのような方に委ねる気は毛頭ありませんけど。
「そんな冷てぇ目で見んなよな、せっかく俺様がお前を優しく愛してやろうっていうのに」
ーーー愛、、、!?
「あなたが、、、私を、ですか、、、?」
「おうよ!俺がお前を愛してやるよ!一日中、いや、なんならこれからずっとだってーーーーー」
そこでズドンッと砲弾が壁に直撃したような爆音と共に石造の壁が壊れ、薄暗い部屋に灯りが差しました。
「な、なにごとだっ!!?」
そう慌てて部屋に駆けつけた騎士様達が目にしたのは、きっと目を疑う光景だったことでしょう。だって状況を飲み込めずにその場に立ち尽くしていましたから。
そして私は、爆撃に驚き腰を抜かしている情けない男に近付き、こう言いました。
「ーーーこのような歪な愛、死んでも要りませんから」
私は行商人の荷馬車に乗せてもらい、サーシャ領の都市リアーナに到着しました。
「都市、というだけはありますね。リビット村とは規模も警備体制も全然違います」
「そりゃそうさ、嬢ちゃん。まぁただここの厳重さは都市だからってだけじゃねーがな。なんせ厳重さだけで言や国一番って言われてるからな」
途中の村で乗り合わせた恰幅の良い殿方がそうおっしゃいました。
「どうしてそこまで厳重にされているのでしょう?」
「あぁ、それはまぁ色々言われちゃいるが、結局のところは誇りみたいなとこだろうな。嬢ちゃんは知らないかもしれないが、ここは通称"騎士の街"なんて呼ばれててな。王都とじゃ比になんねーくらい騎士がいんだよ」
「騎士様ですか、、、」
騎士様が大勢いらっしゃる。それならば厳重になるのは頷けますが、、、
「何故に騎士様が大勢いらっしゃるのでしょう?」
「ん~、、、それはなぁ、、、」
その殿方は言い渋るように言葉を詰まらせてしまいました。
何かまずい事を尋ねてしまったのでしょうか?
、、、この方にこれ以上迷惑をかけるわけにもいきませんし、気にはなりますが、ここまでですね。
「ありがとうございます。貴方様のおかげでここまで楽しい道のりになりました。名残惜しいですが、ここでお別れですね。また会える日を楽しみにしています」
「ん、、、あ、あぁ!こっちこそ楽しかったぞ!嬢ちゃんはこれから【神縁の儀】だったな!良い人と巡り会えるといいな!」
「はい!それではお元気で」
「おう!またな!」
私は一礼したのち、検問所へと向かいました。
検問所には二人の騎士様が立ち並び、ここを通る人達の身元などを確認していました。
ちなみにですが、先程話していたお方は平然とその横の門を潜って街の中へと入られていました。
、、、騎士様と何か関係のある方だったのでしょうか?
門兵様とも顔見知りのようでしたし、、、
と、そんな事を考えているうちに、早々に私の番が回ってきました。
それなりに並ばれていたようにも思いましたが、駅の改札並みにスムーズなのですね。
「ここへは何をしに来た!」
「私は学校へと通う道中、ここの街にて【神縁の儀】を行う為に立ち寄りました」
「どこから来た!」
「ここより更に東に位置するリビット村より参りました」
「荷物検査を行う!荷物を全てここにおけ!」
私は門番様の指示に従い、手に持っていた布を上から被せただけの麻の籠を台の上に置きました。
「、、、荷物は本当にこれだけか?」
「はい。確認されるとは思いますが、その中に入ってる二着分の着替えと王都まで行くための路銀しか持ち合わせておりません」
私がそう言うと、横にいたもう一人の方が荷物の中を確認し、首を縦に振りました。
「そうか、、、だが、見るに貴様の身に付けている服にはいくつか物を隠せそうな所があるな」
ポケットや袖のことでしょうか?
確かに小物程度でしたら入りそうですね、、、しかし一人一人そこまで調べていてはかなり時間が掛かるようにも思うのですが、今までの方にそのような検査をしていたようにも思えませんし、いったいどう言う事なのでしょうか?
「貴様はこっちの部屋に入れ!」
部屋?あぁなるほど、別室に通して他の方の検閲を行う仕組みでしたか。
ですが、、、
「通ってよし!次!」
後ろの方がそのまま通られているのですが。
私、何を疑われているのでしょう?
そんな風に思いながら扉の前で佇んでいると、騎士様が背中をぐいっと押して、私を部屋の中へと押し込めました。
部屋の中は至ってシンプルな造りでした。ただ周囲には酒瓶が大量に転がっており、お世辞にも綺麗とは言えない状態ですが。
お酒の匂いも酷いですね、、、この場にいるだけで酔ってしまいそうです。
まさか、職務中に飲んでいたりはしませんよね?
私がその部屋の汚さに唖然としていると、私と一緒に入ってきた騎士様が部屋の鍵を閉め、こう声を掛けてきました。
「ーーー服を脱げ」
「、、、、、、」
男は返答も待たずに、私に迫り、壁まで追い込み、身体を触ってきました。
、、、そう思いたくはありませんでした。
この世界は私にとって優しさに満ち溢れていましたから。
ですがそれは私が世界を知らなかっただけなのでしょう。そしてこれはそれを知ろうとしなかった罰なのでしょうか?
「へへっ、、、確かてめぇ【シンエンのギ】に行くところだったっけか!可哀想にな、、、運命の相手に会う前に俺に喰われちまうんだからよ!まぁあ、それも運命ってか!?がははははははは!!!」
でもだからといってこのままお父様、お母様から頂いたこの身をこのような方に委ねる気は毛頭ありませんけど。
「そんな冷てぇ目で見んなよな、せっかく俺様がお前を優しく愛してやろうっていうのに」
ーーー愛、、、!?
「あなたが、、、私を、ですか、、、?」
「おうよ!俺がお前を愛してやるよ!一日中、いや、なんならこれからずっとだってーーーーー」
そこでズドンッと砲弾が壁に直撃したような爆音と共に石造の壁が壊れ、薄暗い部屋に灯りが差しました。
「な、なにごとだっ!!?」
そう慌てて部屋に駆けつけた騎士様達が目にしたのは、きっと目を疑う光景だったことでしょう。だって状況を飲み込めずにその場に立ち尽くしていましたから。
そして私は、爆撃に驚き腰を抜かしている情けない男に近付き、こう言いました。
「ーーーこのような歪な愛、死んでも要りませんから」
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