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一章:転生乙女
10 無罪でしたから
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"騎士の街"こと、都市リアーナの城壁に突然、轟音とともに大きな穴が空きました。と、その穴を空けた張本人が語っているわけですが。
騎士様が大勢いらっしゃいましたね。
この街の厳重さを身をもって知ることができましたが、如何せん、数だけのようですね。
「ーーーそこの貴様!ここで何をしている!」
大勢いらっしゃる騎士様の一人がそう声を上げました。
そのお言葉に対して、私はこう返しました。
「見て分かりませんか?私は今しがた、この場で、この騎士様を騙る野盗に襲われそうになっていたところです」
「野盗だと、、、?そこにいるのは我が同胞、ガーナヴ副隊長だ!騎士であるガーナヴがそのような事をするはずがないだろう!この嘘つきめ!」
騎士だから、、、ですか、、、
なれば、彼らも『同じ穴のムジナ』という事なのでしょうか。それとも彼はこの方と長い付き合いで彼の事を深く知っている、という事なのでしょうか?
幼馴染?親友?いいえ、戦友でしょうか。
まぁ、そのどちらでも構いませんが。
なにせ私ーーーーー怒っているのですから!
「皆の者!あの女を捕まえろ!」
騎士様のその号令で5人の騎士様が前に出ました。
このような人が副隊長とは、、、程度が知れますね。
ですが、もともと私は暴力というのを好みません。
このような惨状にしておきながらも、いうに事をかいて平和主義者を名乗りますから。
ですから、彼らには気付きを与えなくてはいけませんね。
「ーーーでは、あなた方に問います。ここはどのような目的で造られたお部屋なのでしょうか?」
その問いに、前に出ていらした騎士様方が顔を見合わせ、こう言いました。
「そこは、、、休憩部屋だ」
「ーーーだ、そうですが、ガーナヴ副隊長と言いましたか。貴方は私をこの場にどのような目的で連れ込みましたか?」
「、、、そ、それは、、、」
彼は青い顔をして言葉を詰まらせてしまいました。なので、代わりに私が答えます。自問自答します。
「私はこの個室、もとい休憩室にお酒に酔ったこの方の慰み者として、無理矢理連れ込まれたのです!」
「ーーーな!?ち、違う!俺は!」
「違いますか?なら、どういった理由だったのでしょう?やましい事がなければ、お教え願えませんか?」
「、、、、、、」
また、だんまりですか。
それではこちらの言い分で全て話が通ってしまい、余計に事態が悪化するばかりですよ。
まぁ反論する余裕もないということでしょうが。
、、、やっている事がいじめっ子、、、いいえ、それよりタチの悪い事をしてしまいましたね、、、
ですがきっと、これでこの方には何かしらの罰が下ることでしょう。だって前に出て来られた騎士様達が明らかに動揺していらっしゃいますもの。
けれど私としてもやり過ぎてしまった感は否めません。もし、この方の罪が死罪にでもなろうものなら、ミスマッチかもしれませんが、情状酌量を求めましょう。
しかし、最後にこれだけは言っておきませんと。
と、私はガーナヴに近付きこう言うのです。
「私の大事な方々が私にくださった愛。そして私が大事な方々に送った同等の愛。それらを貴方のいう不愉快な愛と、同じにしないでください」
ガーナヴは項垂れてしまい、騎士様に取り囲まれ、その場から離れて行きました。
そして万事解決に思えたところで、ある一つの剣先が私に向けられました。
「どういったご用件でしょうか?」
「どうもこうもない!貴様を連行する!」
先程、大勢の騎士様を指揮なさっていた方が私にそう言いました。
「この件に関して、同行なら分かりますが、どうして連行されなくてはならないのでしょうか?」
「この壁の穴だ!何の魔法を使ったのかは知らんが、貴様がやったのだろう!」
「ええ、そうですね。否定はしません」
まぁ魔法は使っていませんが、、、この方には分からないのでしょうね。
「ならば貴様を捕らえるのは、道理であろう!」
そう言う騎士様の表情は、いわゆるドヤ顔でした。
なぜに、、、?
言い返す訳ではありませんが、それに対して私はこう言いました。
「では、直せばいいのですね」
「ふっ、、、あぁ今すぐにここを直せば無罪にしよう。だが、今すぐに出来なければお前を連行しーーーーー」
私は騎士様の言葉を遮り、壁に手を触れ、ある魔法を行使しました。
それはズバリーーーーー土属性魔法です。
魔法名?ありませんよ、そんなものは。
そして私は騎士様に言います。
「直しましたよ。騎士様」
「、、、は?」
「ですから壁は直しました。なので私は無罪ですね。それでは失礼します」
私はそう言葉を残し、再び薄暗くなった部屋の扉を開けて、その場を去りました。
そしてその場に取り残された騎士様はというと。
「は、、、、、、?」
しばらくその場で呆然と立ち尽くしていたそうです。
休憩室だからといって、サボりは良くありませんよ。騎士様。
騎士様が大勢いらっしゃいましたね。
この街の厳重さを身をもって知ることができましたが、如何せん、数だけのようですね。
「ーーーそこの貴様!ここで何をしている!」
大勢いらっしゃる騎士様の一人がそう声を上げました。
そのお言葉に対して、私はこう返しました。
「見て分かりませんか?私は今しがた、この場で、この騎士様を騙る野盗に襲われそうになっていたところです」
「野盗だと、、、?そこにいるのは我が同胞、ガーナヴ副隊長だ!騎士であるガーナヴがそのような事をするはずがないだろう!この嘘つきめ!」
騎士だから、、、ですか、、、
なれば、彼らも『同じ穴のムジナ』という事なのでしょうか。それとも彼はこの方と長い付き合いで彼の事を深く知っている、という事なのでしょうか?
幼馴染?親友?いいえ、戦友でしょうか。
まぁ、そのどちらでも構いませんが。
なにせ私ーーーーー怒っているのですから!
「皆の者!あの女を捕まえろ!」
騎士様のその号令で5人の騎士様が前に出ました。
このような人が副隊長とは、、、程度が知れますね。
ですが、もともと私は暴力というのを好みません。
このような惨状にしておきながらも、いうに事をかいて平和主義者を名乗りますから。
ですから、彼らには気付きを与えなくてはいけませんね。
「ーーーでは、あなた方に問います。ここはどのような目的で造られたお部屋なのでしょうか?」
その問いに、前に出ていらした騎士様方が顔を見合わせ、こう言いました。
「そこは、、、休憩部屋だ」
「ーーーだ、そうですが、ガーナヴ副隊長と言いましたか。貴方は私をこの場にどのような目的で連れ込みましたか?」
「、、、そ、それは、、、」
彼は青い顔をして言葉を詰まらせてしまいました。なので、代わりに私が答えます。自問自答します。
「私はこの個室、もとい休憩室にお酒に酔ったこの方の慰み者として、無理矢理連れ込まれたのです!」
「ーーーな!?ち、違う!俺は!」
「違いますか?なら、どういった理由だったのでしょう?やましい事がなければ、お教え願えませんか?」
「、、、、、、」
また、だんまりですか。
それではこちらの言い分で全て話が通ってしまい、余計に事態が悪化するばかりですよ。
まぁ反論する余裕もないということでしょうが。
、、、やっている事がいじめっ子、、、いいえ、それよりタチの悪い事をしてしまいましたね、、、
ですがきっと、これでこの方には何かしらの罰が下ることでしょう。だって前に出て来られた騎士様達が明らかに動揺していらっしゃいますもの。
けれど私としてもやり過ぎてしまった感は否めません。もし、この方の罪が死罪にでもなろうものなら、ミスマッチかもしれませんが、情状酌量を求めましょう。
しかし、最後にこれだけは言っておきませんと。
と、私はガーナヴに近付きこう言うのです。
「私の大事な方々が私にくださった愛。そして私が大事な方々に送った同等の愛。それらを貴方のいう不愉快な愛と、同じにしないでください」
ガーナヴは項垂れてしまい、騎士様に取り囲まれ、その場から離れて行きました。
そして万事解決に思えたところで、ある一つの剣先が私に向けられました。
「どういったご用件でしょうか?」
「どうもこうもない!貴様を連行する!」
先程、大勢の騎士様を指揮なさっていた方が私にそう言いました。
「この件に関して、同行なら分かりますが、どうして連行されなくてはならないのでしょうか?」
「この壁の穴だ!何の魔法を使ったのかは知らんが、貴様がやったのだろう!」
「ええ、そうですね。否定はしません」
まぁ魔法は使っていませんが、、、この方には分からないのでしょうね。
「ならば貴様を捕らえるのは、道理であろう!」
そう言う騎士様の表情は、いわゆるドヤ顔でした。
なぜに、、、?
言い返す訳ではありませんが、それに対して私はこう言いました。
「では、直せばいいのですね」
「ふっ、、、あぁ今すぐにここを直せば無罪にしよう。だが、今すぐに出来なければお前を連行しーーーーー」
私は騎士様の言葉を遮り、壁に手を触れ、ある魔法を行使しました。
それはズバリーーーーー土属性魔法です。
魔法名?ありませんよ、そんなものは。
そして私は騎士様に言います。
「直しましたよ。騎士様」
「、、、は?」
「ですから壁は直しました。なので私は無罪ですね。それでは失礼します」
私はそう言葉を残し、再び薄暗くなった部屋の扉を開けて、その場を去りました。
そしてその場に取り残された騎士様はというと。
「は、、、、、、?」
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休憩室だからといって、サボりは良くありませんよ。騎士様。
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