転生オトメ恋世界

夢見月まひわ

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二章

43 大切な人③

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 王城へと連れられ三日経っても、母様は私のもとへと戻らなかった。
 そして父親との初めての出逢い以降、王城は慌ただしくなり、私は広い部屋に一人、何も出来ずにただ呆然と母様が無事に戻ってくる事を願い、部屋の隅でうずくまっていた。

「母様、、、母様、、、、、」

 そんな折、部屋の扉が叩かれ、私が返事を返す間もなく、扉をあけて一人の青年が私の元へと近寄りました。

「ーーーーー綺麗な髪だ。これじゃあの連中も血相を変えて事を荒立てるのも無理はないか」

 そう呟きニコリと微笑んだ。

「俺はアルマンシェ=ラウグス。君の兄にあたる者だ」

 私の部屋を訪れたのは当時、第三王子と呼ばれていたアルマンシェ兄上だった。
 魔王大国であるラウグス王国の王子序列は年齢に囚われず、魔導士としての実力が全てだった。
 アルマンシェ兄上は我ら次期王の資格を持つ兄弟の誰よりも年長に当たるが、その才は悲しき事に誰よりも劣っていた。
 王家の長男でありながらも、魔法の素質はゼロに等しく、生まれて間もない弟にその序列を抜かされていた。

「ーーーーー母が無事である事を願うのもまた良いだろう。母想いである事は優しさ故だ。だけどな、優しさで人は救えない。誰かを救いたいと、護りたいと本当に思うなら強くなれ!幸いにも君には魔導士としての素養が十分にあると聞いている。優しき我が弟、エーデルトラウトよ。きっと君の母を救うために、君の力が必要になるだろう。なんて、、、全てが俺の妄言なわけだが。さぁ、君はこれからどうしたい?」

 アルマンシェ兄上とはその日初めて出会った。ゆえにアルマンシェ兄上の人柄も何も知らずに、信用など出来るはずもなかった。
 それでもーーーーー。

「僕は強くなりたい!」

 もちろん母様を救いたいという想いが大きいが、その想いが本気であると、この人に知って欲しい。今思うとそのような想いも混ざっていたと思う。

「良い目だ!君がそう願うなら俺も全力でサポートしよう!」

 その日を境に私は魔導士の修練を始める事となった。

 アルマンシェ兄上の助言もあり、王族が受ける魔導士としての修練が厳しいものだと知り、それなりの覚悟を決めていたのだが。

「ーーーーー嘘だろ、、、まだ8歳だぞ、、、、、」

 私は王族に課された魔導士の修練を難なくこなし、2年あまりの年月を経て黒魔道士の称号を得た。そしてそれと同時に第一王子としての地位を確立していた。

 しかし、母様は未だ見つかってはいなかった。
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