43 / 49
二章
43 大切な人③
しおりを挟む
王城へと連れられ三日経っても、母様は私のもとへと戻らなかった。
そして父親との初めての出逢い以降、王城は慌ただしくなり、私は広い部屋に一人、何も出来ずにただ呆然と母様が無事に戻ってくる事を願い、部屋の隅でうずくまっていた。
「母様、、、母様、、、、、」
そんな折、部屋の扉が叩かれ、私が返事を返す間もなく、扉をあけて一人の青年が私の元へと近寄りました。
「ーーーーー綺麗な髪だ。これじゃあの連中も血相を変えて事を荒立てるのも無理はないか」
そう呟きニコリと微笑んだ。
「俺はアルマンシェ=ラウグス。君の兄にあたる者だ」
私の部屋を訪れたのは当時、第三王子と呼ばれていたアルマンシェ兄上だった。
魔王大国であるラウグス王国の王子序列は年齢に囚われず、魔導士としての実力が全てだった。
アルマンシェ兄上は我ら次期王の資格を持つ兄弟の誰よりも年長に当たるが、その才は悲しき事に誰よりも劣っていた。
王家の長男でありながらも、魔法の素質はゼロに等しく、生まれて間もない弟にその序列を抜かされていた。
「ーーーーー母が無事である事を願うのもまた良いだろう。母想いである事は優しさ故だ。だけどな、優しさで人は救えない。誰かを救いたいと、護りたいと本当に思うなら強くなれ!幸いにも君には魔導士としての素養が十分にあると聞いている。優しき我が弟、エーデルトラウトよ。きっと君の母を救うために、君の力が必要になるだろう。なんて、、、全てが俺の妄言なわけだが。さぁ、君はこれからどうしたい?」
アルマンシェ兄上とはその日初めて出会った。ゆえにアルマンシェ兄上の人柄も何も知らずに、信用など出来るはずもなかった。
それでもーーーーー。
「僕は強くなりたい!」
もちろん母様を救いたいという想いが大きいが、その想いが本気であると、この人に知って欲しい。今思うとそのような想いも混ざっていたと思う。
「良い目だ!君がそう願うなら俺も全力でサポートしよう!」
その日を境に私は魔導士の修練を始める事となった。
アルマンシェ兄上の助言もあり、王族が受ける魔導士としての修練が厳しいものだと知り、それなりの覚悟を決めていたのだが。
「ーーーーー嘘だろ、、、まだ8歳だぞ、、、、、」
私は王族に課された魔導士の修練を難なくこなし、2年あまりの年月を経て黒魔道士の称号を得た。そしてそれと同時に第一王子としての地位を確立していた。
しかし、母様は未だ見つかってはいなかった。
そして父親との初めての出逢い以降、王城は慌ただしくなり、私は広い部屋に一人、何も出来ずにただ呆然と母様が無事に戻ってくる事を願い、部屋の隅でうずくまっていた。
「母様、、、母様、、、、、」
そんな折、部屋の扉が叩かれ、私が返事を返す間もなく、扉をあけて一人の青年が私の元へと近寄りました。
「ーーーーー綺麗な髪だ。これじゃあの連中も血相を変えて事を荒立てるのも無理はないか」
そう呟きニコリと微笑んだ。
「俺はアルマンシェ=ラウグス。君の兄にあたる者だ」
私の部屋を訪れたのは当時、第三王子と呼ばれていたアルマンシェ兄上だった。
魔王大国であるラウグス王国の王子序列は年齢に囚われず、魔導士としての実力が全てだった。
アルマンシェ兄上は我ら次期王の資格を持つ兄弟の誰よりも年長に当たるが、その才は悲しき事に誰よりも劣っていた。
王家の長男でありながらも、魔法の素質はゼロに等しく、生まれて間もない弟にその序列を抜かされていた。
「ーーーーー母が無事である事を願うのもまた良いだろう。母想いである事は優しさ故だ。だけどな、優しさで人は救えない。誰かを救いたいと、護りたいと本当に思うなら強くなれ!幸いにも君には魔導士としての素養が十分にあると聞いている。優しき我が弟、エーデルトラウトよ。きっと君の母を救うために、君の力が必要になるだろう。なんて、、、全てが俺の妄言なわけだが。さぁ、君はこれからどうしたい?」
アルマンシェ兄上とはその日初めて出会った。ゆえにアルマンシェ兄上の人柄も何も知らずに、信用など出来るはずもなかった。
それでもーーーーー。
「僕は強くなりたい!」
もちろん母様を救いたいという想いが大きいが、その想いが本気であると、この人に知って欲しい。今思うとそのような想いも混ざっていたと思う。
「良い目だ!君がそう願うなら俺も全力でサポートしよう!」
その日を境に私は魔導士の修練を始める事となった。
アルマンシェ兄上の助言もあり、王族が受ける魔導士としての修練が厳しいものだと知り、それなりの覚悟を決めていたのだが。
「ーーーーー嘘だろ、、、まだ8歳だぞ、、、、、」
私は王族に課された魔導士の修練を難なくこなし、2年あまりの年月を経て黒魔道士の称号を得た。そしてそれと同時に第一王子としての地位を確立していた。
しかし、母様は未だ見つかってはいなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる