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11 勝敗
しおりを挟む二刀流の騎士といえば"星と月の輝き~レイヴァテインの姫~"にも存在していた。それが栄誉騎士爵オルセル=アンデュークの嫡子であり、攻略対象のリグル=アンデュークだった。
「ティアラ嬢とこうして向き合えた事が、私の人生を善きものとしてくれました。だからこそ、私はここで貴女に敗北を教えて差し上げたいと思います」
「ふふ、面白い冗談ですわ」
オルセル騎士の眼光が鋭くなり、和やかなムードから一変し、息つく間もない剣撃が場を沸かせた。
「おいおい⁉︎ あの嬢ちゃん、団長のあの動きにもついていくのかよ⁉︎」
「ついていく? 馬鹿を言うな……あの子は剣一本で、団長の二刀流全てを防いでいるんだぞ……いったい何者なんだ、あの子は……」
オルセル騎士の二刀流は複数の流派からなる絶え間ない技の連撃。流れるように放たれる技の数々が必殺たり得る威力を持っていた。
本当に器用ね。そして呆れるほどの努力家。
技の一つ一つが片手で繰り出せるように工夫され、最短にし最速で剣が振るわれる。
更には前の技の挙動に合わせて、次の技を用意しておけば、ほぼノータイムで強力な一撃が叩き込まれる。
これじゃ攻撃に転じる隙もないわね。
様々な流派を学び、膨大な量の技を修得し知り尽くしてなお、果てない自己研鑽に時間を割かないと、あの境地にはいけないでしょうね。なんて……まだまだ素人目だけど。
「まさか全ての攻撃を剣一本で凌ぐだなんて思ってもいませんでしたよ……⁉︎」
「あら、もしかして今のが本気だったのでしょうか? でしたら悪いことをしましたね。気遣い程度にでも苦しい表情を見せるべきだったでしょうか?」
「ご心配には及びません! むしろそうでなくてはこの身に滾る血が抑えられそうにありませんので!」
「……あらあら、どうやら私たちは似た者同士のようですわね」
急激な魔力消費による精神への影響は、個人によって異なるとテルミッド教官との試合の後で知った。
酒に酔った人が泣き上戸だったり、笑い上戸だったりするように、個人差があるとのこと。
そんな風に考えると私、悪役令嬢ティアラの魔力消費による精神への影響は、凶暴化とでも言うのだろう。
というか何故そもそも魔力消費により人格変化が起きるのか? と言うことについては、魔力消費に伴う精神への負荷に、多少の快楽を感じる事が原因らしい。ようは一時的な薬物依存のようなもの。だからこそ私や彼のように魔力消費を助長させる好戦的な人格への変化が起こりやすいそうだ。
そしていま彼にその兆しが出たということは、つまりーーーーー。
「全身全霊で参ります‼︎」
次の瞬間に勝負が決まる。
「ーーーーーさぁ、決着をつけましょう!」
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