魔王な悪役令嬢はハッピーエンドに立ち向かう!

夢見月まひわ

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19 大魔導士

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「ーーーーーえ? ティアラ様が魔術師様と対決なさるのですか?」
「う~ん、魔術師とはまだ呼べない子達だけど。昨日その子達から勝負を申し込まれてね。明後日には王城の訓練場を借りて勝負ができそうなの」

 ダークスが公爵家別邸に訪れたその翌日のこと。私は元々予定していた伯爵令嬢キュニー様とのお茶会を楽しみながら、その話題に触れていた。

「怖くはないのですか?」
「そうね……誰かを傷付ける、もしくは自分が傷付くことに常に恐怖を感じているわ。でもね、私にはやり遂げたい目標があるの。今はまだ詳しく話せないけれど、その為に必要だっていうのなら、苦手な事もやりたくない事も私はただ全力で突き進むだけ! そういう覚悟をしたの」

 どうせ死ぬならいっそのこと……なんて、半分自暴自棄みたいなものでしょうけど。

「ティアラ様はお強いのですね……」
『ええ。そうね。私は最強だもの! でも、そういう貴女だってーーーーー』



(……まだ短い時間ではありますが、ティアラ様はとても賢くお強い方なのだと知ることが出来ました。それに比べて私は……ティアラ様の思うような人間ではないと思うのです……だって私は、人間ではありませんから……)

「我儘を言ってしまい申し訳ありません。祖父様じじさま
「我儘など……キュニーはただお友達が心配なんだろ?」
「……はい」

 ティアラとダークスが対決する当日、キュニー=グリフォードは馬車に乗り、王城へと向かっていた。


 ◇


 ちょうどその頃、王城では鉄製の剣を片手に持った私と、子供用の魔術師装束黒ローブに身を包んだダークスとルーチェとの試合開始の合図が鳴らされた。

「ーーーーーいくぞ! ルシェ!」
「うん! 本気で行くよ!」

 その合図とともにルーチェがダークスの背後に回り、その両掌をダークスの背中に当て、魔法を発動した。

「《魔力譲渡マナヒール》!」

 ……予感はしていたけど、やっぱり彼女もまた神子なのね。それにあの魔法は確か《光》属性の補助魔法で自身の残存魔力から割合的に味方対象に分け与えるものだったわね……ってことは彼女は《光》属性の持ち主なのかしら。

「キタキタ‼︎ 最高の気分だぜ、ルシェ‼︎ そんじゃこっちから行くぜ‼︎ ーーーーー《暗黒玉ダークスフィア》」

 魔法を発動すると、ダークスの掌にバスケットボール大の黒球が現れ、次の瞬間予備動作もなく凄まじい勢いでこっちに飛んできた。

「嘘でしょーーーーーッ⁉︎」

 それを寸前で躱したが、球は軌道を変えて再び向かってくる。

 デバフ魔法《暗黒玉ダークスフィア》。
 攻撃対象の意識を完全なる闇へと誘う闇魔法。その効果は命中率と回避率をゼロにし、更に魔法防御力、物理防御力を著しく低下させる。そして30%の確率で恐慌状態(物理攻撃力、魔法攻撃力の低下)を付与する優秀過ぎるデバフだ。
 それをどうして。

「なんで……なんでダークスあんたがそれを使えるのよ……⁉︎」
「はぁ? 何故ってそりゃ、ちょっと考えりゃ分かんだろ? 俺が超天才な大魔導士様だからだ‼︎」

 はあ⁉︎ 何言ってんのよ、このダメ男は⁉︎ あんたはアンナ主人公が付いていなきゃ何にも出来ないボンクラ魔術師でしょうが⁉︎
 っていうかそれ以前に、あれは《闇》属性を持つダークスと主人公が力を併せて放つ《心醒魔法マギア・ノヴァ》だったはずでしょう⁉︎

 ………………あれ?
 そういえば王国騎士団団長のオルセル様も使ってた……。

 私……もしかして何か勘違いしてる?
 まさか《心醒魔法マギア・ノヴァ》は主人公がいなくても発動できるの?
 でも、もし本当にそうだっていうならーーーーー“主人公の魔法属性とお互いの深い絆によって発動される特別な魔法"っていう説明書きは一体どこへ行ったのよ⁉︎



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