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010 ジルさんの証言
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散々ジルさんと私が笑って一息ついた時だった。
ようやく気が付いた金髪のザックが顔を真っ赤にして喚きだした。
「そ、それならそうと早く言えー!」
かなり恥ずかしいのか耳まで真っ赤だ。なんだか可愛く見える。
「だって男だと決めつけてくるしそれ以外にも訂正したい事がいっぱいで、何から話していいのか分からないし」
私は改めて椅子に座り直した。
そうだよ否定する暇も与えてもらえなかったし、私もご飯を食べる以外の状況がイマイチ飲み込めていないし。
「シン! お前もどうして最初に気が付かないんだ」
急に話を振られた黒バンダナのシンが首を左右に振りながら必死に言い訳をしはじめた。
「だって……海の底からマリンさんを引き上げたぐらい力強いし、すっごく泳ぎが速いし、それにそれに、救助だってあんなにテキパキしてたし……」
最後は尻すぼみになって少し小さくなっていた。
「女って……嘘だろ?」
心底信じられないといった感じで呆然としているのは王子様、ノアだった。座っている私の頭のてっぺんから足の先まで、二、三回は視線を行ったり来たりさせている。
「はい、女子ですけど」
よく男子に間違われた事あるけれども、そこまで驚く?
少し肩幅広くて胸は胸筋的で胸板的な感じになっていますけれど。お尻とかのカーブは女性っぽい……はずだし。
しかし女である事を証明しろって言われると、まさかの全裸とか。段々と自信がなくなるところでジルさんがパンっと手を叩いた。
「私が彼女が担ぎ込まれてすぐ、意識がない時に服を着替えさせたの。体を拭いて、傷も確かめたけれども、正真正銘の女性だったわよ」
「体を拭いてくれたんですか? 何から何まですいません……」
そういえば頭皮からは清涼感のあるミントの香りがしていた事を思い出した。
海水につかっていた体だからベタベタしていたに違いない。この白シャツに着替えさせてくれたのも、ジルさんだったのか。
ジルさんは座ったままノアとザックを睨みつける。
「大体あんた達は彼女とマリンを担ぎ込んで、大騒ぎしていただけでしょ。やれ「軍に連絡する方が先だ!」とか「直接オーガの店に乗り込むのが先だ!」とか。ナツミやマリンはほったらかしだったわよね?」
「そ、それは生きていたのが分かっていたから……悪質な嫌がらせに関して軍に連絡する事と」
「マリンを溺れさせた犯人がオーガの店のヤツだって分かってたからで……」
ジルさんの冷静な態度に、急にしどろもどろになるノアとザック。
ジルさんの言っている事が図星なのだろう。
「と、言・う・よ・り・も! 彼女がナツミが男の子に見えるなんて。あんた達の目もたいした事ないわねぇ。しかもマリンまでそんな事言うなんて」
やれやれといった感じでジルさんは両方の掌を上にした。
「す、すみません……」
マリンも消え入りそうな声をあげる。
そうして、ジルさんに叱られた面々は声が小さいながらも「ありがとう」と言ってくれた。なんだか叱られた子供みたいだ。
「ならよし!」
と、最後にジルさんが締めくくる。
「……ホントは脱がしてから分かったんじゃねぇのかよ」
ボソッと呟いたのはザックだった。
そうだとしても、ジルさんの発言は嬉しい。
この際いいのだ。唯一この中で女性だって気持ちよく言いきってくれたのだから。
私は慌ててジルさんにお礼を言った。
「ジルさん。私こそありがとうございました。水着も脱がせにくかったんじゃないかなと」
鼻の頭を掻きながら照れ笑いをする。水着はツーピースのスポーツタイプだから、体にかなりフィットしていて脱がせづらかったに違いない。
「そうそう! あの下着のような服。変わった素材ね! 初めて見る素材だったわ! アレはどうやって作るの? 何処で手に入れる事が出来るの?」
急に思い出した様にジルさんが前のめりになって話しはじめる。
「え」
今度はジルさんに食いつかれて、椅子からのけぞってしまった。
そこに、先程まで厨房にいたシェフ、強面大男が両腕に新たな大皿を持ってやって来た。
「とにかくお前達も座ったらどうだ。椅子が足りないなら隣の席から持って来い。昼飯まだなんだろ? 今日はお前達の為に昼の間は店を閉めているんだ、ゆっくりしていけ」
ズン! と唐突に現れた強面大男に立っていた男性が驚いて振り向いた。
「は、はい……」
一番驚いたのは黒バンダナのシンだった。
他の皆は気が抜けたのか溜め息をつき、ノロノロと椅子に座りはじめた。
「そうねダンの言う通りね。料理ありがと。あ、ワインの追加お願いね」
強面大男でシェフのダンは「分かった」と小さく声をあげて、奥にワインを取りに行った。
皆何か浮かない顔で席についたが、美味しく湯気をあげている出来上がったばかりの料理の前で気を取り直したようだ。
美味しそう。先ほどもいい加減食べたはずなのに。これは……食べたい!
「じゃぁとりあえず昼食を取りながら話しましょうか。ね?」
ジルさんはワインが入ったグラスを持ち上げて、みんなに微笑んだ。
ようやく気が付いた金髪のザックが顔を真っ赤にして喚きだした。
「そ、それならそうと早く言えー!」
かなり恥ずかしいのか耳まで真っ赤だ。なんだか可愛く見える。
「だって男だと決めつけてくるしそれ以外にも訂正したい事がいっぱいで、何から話していいのか分からないし」
私は改めて椅子に座り直した。
そうだよ否定する暇も与えてもらえなかったし、私もご飯を食べる以外の状況がイマイチ飲み込めていないし。
「シン! お前もどうして最初に気が付かないんだ」
急に話を振られた黒バンダナのシンが首を左右に振りながら必死に言い訳をしはじめた。
「だって……海の底からマリンさんを引き上げたぐらい力強いし、すっごく泳ぎが速いし、それにそれに、救助だってあんなにテキパキしてたし……」
最後は尻すぼみになって少し小さくなっていた。
「女って……嘘だろ?」
心底信じられないといった感じで呆然としているのは王子様、ノアだった。座っている私の頭のてっぺんから足の先まで、二、三回は視線を行ったり来たりさせている。
「はい、女子ですけど」
よく男子に間違われた事あるけれども、そこまで驚く?
少し肩幅広くて胸は胸筋的で胸板的な感じになっていますけれど。お尻とかのカーブは女性っぽい……はずだし。
しかし女である事を証明しろって言われると、まさかの全裸とか。段々と自信がなくなるところでジルさんがパンっと手を叩いた。
「私が彼女が担ぎ込まれてすぐ、意識がない時に服を着替えさせたの。体を拭いて、傷も確かめたけれども、正真正銘の女性だったわよ」
「体を拭いてくれたんですか? 何から何まですいません……」
そういえば頭皮からは清涼感のあるミントの香りがしていた事を思い出した。
海水につかっていた体だからベタベタしていたに違いない。この白シャツに着替えさせてくれたのも、ジルさんだったのか。
ジルさんは座ったままノアとザックを睨みつける。
「大体あんた達は彼女とマリンを担ぎ込んで、大騒ぎしていただけでしょ。やれ「軍に連絡する方が先だ!」とか「直接オーガの店に乗り込むのが先だ!」とか。ナツミやマリンはほったらかしだったわよね?」
「そ、それは生きていたのが分かっていたから……悪質な嫌がらせに関して軍に連絡する事と」
「マリンを溺れさせた犯人がオーガの店のヤツだって分かってたからで……」
ジルさんの冷静な態度に、急にしどろもどろになるノアとザック。
ジルさんの言っている事が図星なのだろう。
「と、言・う・よ・り・も! 彼女がナツミが男の子に見えるなんて。あんた達の目もたいした事ないわねぇ。しかもマリンまでそんな事言うなんて」
やれやれといった感じでジルさんは両方の掌を上にした。
「す、すみません……」
マリンも消え入りそうな声をあげる。
そうして、ジルさんに叱られた面々は声が小さいながらも「ありがとう」と言ってくれた。なんだか叱られた子供みたいだ。
「ならよし!」
と、最後にジルさんが締めくくる。
「……ホントは脱がしてから分かったんじゃねぇのかよ」
ボソッと呟いたのはザックだった。
そうだとしても、ジルさんの発言は嬉しい。
この際いいのだ。唯一この中で女性だって気持ちよく言いきってくれたのだから。
私は慌ててジルさんにお礼を言った。
「ジルさん。私こそありがとうございました。水着も脱がせにくかったんじゃないかなと」
鼻の頭を掻きながら照れ笑いをする。水着はツーピースのスポーツタイプだから、体にかなりフィットしていて脱がせづらかったに違いない。
「そうそう! あの下着のような服。変わった素材ね! 初めて見る素材だったわ! アレはどうやって作るの? 何処で手に入れる事が出来るの?」
急に思い出した様にジルさんが前のめりになって話しはじめる。
「え」
今度はジルさんに食いつかれて、椅子からのけぞってしまった。
そこに、先程まで厨房にいたシェフ、強面大男が両腕に新たな大皿を持ってやって来た。
「とにかくお前達も座ったらどうだ。椅子が足りないなら隣の席から持って来い。昼飯まだなんだろ? 今日はお前達の為に昼の間は店を閉めているんだ、ゆっくりしていけ」
ズン! と唐突に現れた強面大男に立っていた男性が驚いて振り向いた。
「は、はい……」
一番驚いたのは黒バンダナのシンだった。
他の皆は気が抜けたのか溜め息をつき、ノロノロと椅子に座りはじめた。
「そうねダンの言う通りね。料理ありがと。あ、ワインの追加お願いね」
強面大男でシェフのダンは「分かった」と小さく声をあげて、奥にワインを取りに行った。
皆何か浮かない顔で席についたが、美味しく湯気をあげている出来上がったばかりの料理の前で気を取り直したようだ。
美味しそう。先ほどもいい加減食べたはずなのに。これは……食べたい!
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ジルさんはワインが入ったグラスを持ち上げて、みんなに微笑んだ。
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