【R18】ライフセーバー異世界へ

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070 慰めて欲しい その3

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 優しく撫でる様なシャワーを浴びながら、ザックは私を軽々と抱き上げる。ふわりと浮いたかと思うと体が入れ替わり、今度は私が壁を背にする。
 ゆっくりと体を床に降ろされるが、ザックは左腕を私の後ろの腰に回しギリギリ私がつま先立ちになる様に体を支えてくれた。
 私は水泳選手として過ごしていた学生時代は今となっては昔の事だが、名残もあり筋肉質な体つきだ。だが、ザックにかかればか弱い女性と同じ様になる。
 お姫様抱っこに体が大きいとは言え男性に片手で体を支えられるなんて。
 私が思わずときめいて、ザックを見上げる。
「ん?」
 ザックが不思議そうに私を見つめると右手で私の頬を撫でる。
「ザックって力持ちだね。私も軽々持ち上げるんだもん」
「力持ちって。ナツミなんて軽い軽い。もっと太ってもイイぐらいだ」
「太ってイイって、どうせおっぱいがもっと大きければいいと思っているんでしょ」
「おっぱいねぇ~俺はどっちでもいいかなぁ」
 ザックは私の頬を何度も撫でながら意地悪そうに微笑んだ。ゆっくりと顔を傾けて私の耳にわざと音を立ててキスをする。
「だって、男の人が言う太ってイイって、大体おっぱいの事なんだもん。んっ」
 耳の中にザックの吐息とリップ音が響く。
 ゾクッとして身震いをしてしまう。
「えぇ~心外な。ナツミの体は全部気持ちが良くて俺は虜なんだけどなぁ」
 ザックは舌を這わせながらゆっくりと耳朶を下がる。そして、首筋をゆっくりと舐めながら下がる。それから首の根元と鎖骨の辺りをずっと行ったり来たりする。


 ──なぁ、ナツミ。意見を言ったのは誰なんだ?


「あっ」
 体を震わせ必死につま先立ちで堪える。体をくの字に曲げたくてもザックの左腕が腰の後ろに巻きつき、体を密着させているので、真っすぐにしか立つ事を許されない。
「ここ、弱いな……」
 ザックが掠れた声で呟きながら、何度も首筋にキスを繰り返す。耐えられなくて首を反ると、ザックが私の股の間に左足を差し入れる。
 足のつけ根は先程からザックの分身を舐め続けたせいで興奮し、ぐっしょりと自分の蜜が滴り落ちていて内太股を濡らしている。
「へぇ……」
 ザックが差し込んだ足でその滑りを感じたのだろう。私の内太股に差し込んだ膝を擦りつけた。
「こっ、これは、その」
 言い訳が通るはずもない。興奮していましたと言っている様なものだ。私は分かっていたが恥ずかしくて俯いてザックの胸にすがりついてみた。
 顔から火が出そうなぐらい赤くなっている。
「なぁ、俺のイク顔どうだった?」
 ザックは再び私の耳元で呟く。熱い吐息が耳の中を撫でる。それから耳朶を口に含んで舐める。


 ──俺以外の男が、ナツミの口で達した時はどうだった?


「かっ、か、顔は、い──」
 顔は──
 私は俯いて縮こまりながら瞳を閉じる。瞼の裏にザックの先程の達した瞬間の顔が映る。
 声を堪える顔はまさに男の色気たっぷりで、思い出してもうっとりしてしまう。
「い?」
 ザックが笑いながら再び私の首筋を舐めた。そして、とうとう胸の頂きを右の空いている手でくすぐりはじめる。降り注ぐシャワーのお湯が肌を撫でていくのに私は鳥肌を立たせていた。
「色っぽくって、ずっと見ていたかった。あっ……」
 私は乳首を弄られ体をよじったが、ザックは力を入れて離してくれない。ああ、駄目だよ。それは気持ちが良いの。
「色っぽい?」
 ザックは意外そうに声を上げて顔を上げる。
「うん……あんなに苦しそうな顔をするなんて知らなくて。その後ほっとした様な顔がね、あっ」
 私はザックの指で胸の頂きを弾かれる度にビクビク体を揺らす。
 腰も震えてつま先立ちで立っているのが辛くなってくる。しかし止めて欲しくない。


 ──知らなくて、って事は、顔を見る事が出来たのは俺が初めてか?


 不意に動きが止まったザックに私は不意に声を上げてしまう。
「止めないで……」
 自分で驚く位怨めしそうな声だった。太い腕に縋りながらザックを見上げる。
 その様子に少し驚いたのはザックだった。目を丸くして口を少し開けて私を見つめていた。おでこに張り付いた金髪からシャワーのお湯が伝わり落ちてくる。
「お願い。私も……」
 不思議とシャワーを浴びて体が温まっているのに、ちっとも体の内側の熱量に追いついてきてくれない。体の中で熱が燻って、放出される出口を求めている。
 ザックはそんな私をジッと見つめながら、切なそうに瞳を細める。


 ──そうやって、お願いするのも俺が初めてか?


「イカせてよ」
 私はザックに噛みつく様に抱きついた。その途端ザックが息が出来ないぐらい荒々しいキスをしてきた。ザックの分厚い舌が私の口内を荒々しく舐めあげる。

 荒々しいのに歯がぶつからないのはザックがとてもキスが上手だからだろう。そのキスが経験豊富なのを物語っている。
 そう考えると途端にトニの顔や昨日訪れた踊り子達の、数々のザックの前を通り過ぎた女性達の姿が蘇り、胸を掴まれた様に切なくなった。

 あんな風にトニに偉そうな事を言っておきながら、私だってしっかりヤキモチを焼いている。

 ねぇ、ザックの好みの女性はどうやって誘ったの?
 そして、私みたいな女で満足出来る?
 だから、もっと、もっと。
 私は右足の膝裏に右手を差し込んで、横に足を自ら広げた。
 それが私のザックを誘う精一杯だった。
「ねぇ……」
 お願い──最後は恥ずかしくて声にならない。
 ここまでしておきながら言えないって私はなんて意気地がないのだろう。
 何だか情けなくてグチャグチャな気持ちになって私は涙が溢れてきた。

 ザックは無言で私を見つめると、何故か寂しそうに笑った。しかしその笑顔は優しいものだった。それから、ペロリと右手の長い指を舐めると私の足のつけ根に手を伸ばした。
「泣くなよ……そんな顔で見られたら、俺はナツミを壊してしまう」
 そう言ってザックは長い指で私のぷっくり膨れた花芯をゆっくり撫で上げた。


 ──なぁ、ナツミ。こうやって、俺以外の男にも求めた事はあるか? そんな事を考えるのは、自分だって数多の女と好き勝手をしておきながら、勝手だと分かっているのに。こんなに胸が張り裂けそうになるのは……




 それから、どれぐらい時間が経ったのだろう。お互いの荒い息しか聞こえない。
 シャワーを浴びながらザックの指に翻弄された私は、それは大きな叫び声を上げて達した。
 それを聞き届けるとザックは私を担いでシャワーの部屋から出ると、ベッドの上にドサリと落とした。濡れたままの体の水分をベッドのシーツが吸い取っていく。
 

 ザックが私の体を何度も突き上げる。だけれど、ザックは私が達しようとしたらわざと律動を止めてしまう。
 ザックだってもう一度達したいと思っているに違いない。だって、ザックの私の中にもぐり込んだ熱い杭は今までになく大きくて固い。
「何で止めちゃうの……」
 私は我慢出来なくて泣くのを通り越して鼻をすすりながら私を組み敷いているザックを怨めしそうに見上げる。
 シャワーを浴びながら指で達した時に放出された熱は再び体の中で燻っている。
 むしろ何倍にも膨れ上がっている様な気がする。
 暗い部屋の中、ベッドサイドのランプの光だけがザックの輪郭を浮かび上がらせている。
「ずっと繋がっていたいから」
 先程まで何度も名を呼び掛けても無言だったザックがぼそりと呟いた。低くて掠れた声。
「繋がっていたい?」
 私が鼻をすすってザックの首に腕を巻きつけ尋ねる。涙でかすんだ目の前をザックがキスで舐め取ってくれる。
 ザックは苦しそうに顔をゆがめる。泣き出しそうな顔だった。
 どうしてそんな顔をするの?
 ザックがその顔を私の首筋に埋めながらくぐもった声を上げる。
「ナツミの中で溶けて、ずっとこのままでいたい。そうしたら、ナツミの全部は俺のものになるか?」


 ──なぁ、ナツミ。苦しくて辛いほど、人を好きになるのは俺が初めてか? それとももうそんな思いは誰かにした事があるか?


 ザックが不思議な事を言う。
 私の視界にザックの首に回した自分の腕が目に入った。ひっかき傷が見える。別荘でマリンが溺れて私の腕をひっかいた痕だ。

 その時私は、別荘で心寂しくなった自分の事を思い出した。

 マリンが怪我したのを最初に助けたザック。そして、その二人の姿を見た時とても不安になって──私はザックが好きなのだと実感した──
 
 ああ、今のザックはあの時の私と似ているかも。
 漠然としたむなしさと、不安。
 ザックも私と同じ様に感じる時があるのかもしれない。

 だって、ファルの町の海に沈む夕日を一人見つめたい時があると言っていた。
 
 私は鼻水を再びすすりながら、ザックの首に回した腕を解いて、私の首筋に埋めたザックの頭を抱きしめた。それからポンポンとザックの濡れた金髪を撫でる。
 ザックはびくりと肩を震わせる。もちろん私の中にもぐり込んでいるザック自身もピクリと動いた。

「私はザックが好きだよ」
 私はザックの頭をギュッと抱きしめて呟く。ザックの体が硬直した。
「ザックを好きになってね、幸せだよ。だけど、同じぐらいザックを思うと、苦しくて、切ないと思うの……」
 人を好きになるのは初めてではない。もちろん苦しくて辛い思いをした。

 私の言葉にザックがゆっくりと上体を起こす。それから濃いグリーンの瞳を丸くしていた。意外だと言わんばかりの顔だった。

「嫉妬して辛かったり苦しかったり。それでも、私にとってザックはとても愛しい人だよ」
 それからザックの頬を撫でるとザックは、ハッと息を呑んで私の手を取り口づけた。

「ナツミって……」


 ──凄いな。俺の不安を取り除いて、救い出してくれるなんて。


「ん?」
「いや。俺も苦しいと思うぐらいナツミが──」
 そこまでザックは言いかけて、いつもの様に白い歯を見せて笑うと深いキスで口を塞がれる。
「あっ、は、狡いよぉ。最後までちゃんと言ってくれない、と」
 途切れ途切れに私はザックに抗議をするが、ザックは嬉しそうに笑いながら再び私の口を塞ぐ。苦しくて私は瞳を閉じるが、ザックがゆっくりと腰を動かしはじめてくれたので、気持ちが良くてどうでも良くなってきた。
 それから、ザックはずっとキスで口を塞いだまま抽送を繰り返す。溜め息に似た私の喘ぎ声が響く。しかし、もちろんザックの感じている声も聞こえる。
「ぅん、ちゅ。あっ、こら根元から締めつけると堪らないから、駄目だって、あっ」
「そんな事してない、よ」
「いや、さっきから俺のアレをゆっくりと締め上げるとか、ヤバイって」
「だって、ザックが焦らすから、あっ!」
「だから、ずっと繋がっていたいって、言った、だろ!」
 そう言ってザックが力一杯私を突き上げると私はあっけなく達してしまった。散々焦らされて達した体は痙攣してザックの分身を体の奥へと呼び込む。ザックも腰を何度か打ち付けてブルブルと震えると熱を再び私の中で放ったのが分かった。

「はぁ、ああ……」
 私の口の中で爆ぜた様子とは違い、組み敷いた私を見つめながら恍惚としていた。
 汗なのか、シャワーの水滴なのか分からないが、ボタボタとザックの体から私の体に流れる。その姿を私がジッと見つめているとザックが恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「何だよ、見るな」
「何で? 凄く格好良くて色っぽいのに」
 私も肩で大きく何度も息をしながらザックにキスを強請った。
「ナツミも可愛かった……でも毎回泣くなよな。朝、目が腫れるぞ」
 私の様子にザックは嬉しそうに笑いながら何度もキスを繰り返した。
「だって……」
 気持ちよくても泣いてしまうのだから仕方ない。私は口の中でもごもご呟いた。
「ナツミ。ほら、キスをもっと」
 今度はザックが私にキスを強請った。
 そして、次の日の仕事もあるのに、スズメの鳴き声が聞こえるまで私達は抱き合った。



 ──俺を本当に慰めてくれるのはナツミだけだ。そんなナツミはきっと誰かを好きになった事があるだろう。それが嫉妬なのは分かっている。初めてではないのが嫌なんてな、俺は勝手で酷い奴だよな。

 しかし、俺は女を好きになったのは初めてなんだ。切なくて、苦しくて。そして幸せだと生まれて初めて知ったよ──
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