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<回想> 3月29日 幼なじみ
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春休みに入って少ししてから萌々香ちゃんの呼びかけで幼なじみ達が何人か集まる事になった。
集合場所は萌々香ちゃんの実家である洋食店だった。夜、洋食店を貸し切りにして、久しぶりに幼なじみが集まった。
萌々香ちゃんの実家の洋食店は小さなお店だけれども、よく部活の打ち上げ、会社などの忘年会といったイベントで貸し切りになる事もあるお洒落なお店だ。
(今日帰り道で怜央に右膝の事話してみようかな)
私はそんな事をぼんやり考えていた。
今日は、萌々香ちゃんを筆頭に怜央、私、そして残り五人ほどの幼なじみが集まった。一番年下は私と怜央。年上は今年大学四年になった雄介くんだった。
(あれ? 萌々香ちゃんと仲良しだったはずの、絵美ちゃんと舞ちゃんがいない)
絵美ちゃんと舞ちゃんは萌々香ちゃんと同じ歳の女の子だ。
(商店街側のスーパーでは二人と顔を合わせる事があるのに。確かこの間休みに入る前に会った時は「旅行に行くお金もなくてさ暇なのよ」と、言っていたのに。今日は何か用事があったのかな)
集まった幼なじみのメンバーがまばらな事に違和感を覚えるが、萌々香ちゃんの言葉に思考を止められてしまう。
「明日香ちゃんこれを皆のテーブルに運んでくれる?」
「うん」
私はキッチンカウンターから覗く、萌々香ちゃんに声をかけられ振り向く。カンターテーブル越しに、チキンやポテトが盛られた大きなバスケットを受け取る。
「おっと」
思わず落としそうになり、私は持ち直す。すると、私の後ろから包み込む様に私の両手の上からバスケットを受け取る手が伸びた。
怜央だった。怜央の手は温かかった。
「俺が持つ。落としそうだしな」
私を後ろから包み込む様に抱きしめた怜央。私は身動きが取れず怜央を見上げるしかない。
(こっ、この体勢は。何だか抱きしめられている様な)
私は顔を赤くして怜央にバスケットを託した。逞しい胸板を後頭部で感じて驚いた。
(おかしいな部活動で着替えている時、怜央は上半身裸になっているのを見ているのに。何か恥ずかしい)
「あっ、あっ、ありがとう」
私は盛大に度盛りながら怜央にバスケットを渡すとササッと離れた。
「別に? どういたしまして」
怜央は私の慌てた態度に笑いながらバスケットを持ち、フロアに歩いて行った。
そしてフロアで幼なじみ達の声が上がる。
「おー怜央! 何だ~お前またでかくなったか?」
「そういえばこの間、近くの体育館でバレーボールをしていたな。あんなスパイクを打たれたら引くって」
「練習試合を見に行ったんだぜ」
一つ、二つ年上の幼なじみに囲まれて話を弾ませていた。今日集まったのは萌々香ちゃんと私以外、男子だった。
「へぇ~何か彼氏って感じじゃん?」
いつもなら萌々香ちゃんは高い声で話すのに、私の前だと比較的トーンが低めで話す事が多い。
その声で話し始めると私は何となく肩に力が入ってしまう。何故だと言われると昔からの癖としか言いようがないのだが。
「そうなのかな」
彼氏と言っても怜央以外誰とも付き合った事のない私は分からなくてぼんやりと答える。
「気がつかないの? さりげなく明日香ちゃんの事に触れていたいっていうのがみえみえじゃないの。今だって後ろから抱きしめるポーズだったでしょ?」
「うっ、言われてみればそうだったかも」
(ひぇ~恥ずかしいところを見られちゃったかな)
私は急に温度が上がった頬をパタパタと手であおった。
萌々香ちゃんはそんな私の顔を見ながら口の端を上げて笑った。相変わらず目が大きくてぽってりとした唇。
(こういう顔って何て言うんだったかなそうだ、たぬき顔だ。芸能人でもたぬき顔の女性は人気があるよね)
萌々香ちゃんはエプロンを外しながら大きく首の開いた桃色のワンピースを披露した。身体にさりげなくフィットした柔らかなニット。
(かわいいなぁ。私はボーダーのシャツに、ジーンズのタイトスカートにスニーカー。私もワンピースにすれば良かったかな)
そんな事を私は見比べて考えてしまう。
萌々香ちゃん厨房から出てくると空のグラスをいくつも乗せた銀のトレイを私に渡す。
「はい。このグラスをお願いね」
「うん」
そう言ってトレイを受け取ろうとしたが萌々香ちゃんがそのトレイを離そうとしなかった。
「どうしたの?」
萌々香ちゃんに尋ねると萌々香ちゃんが私の頭からつま先までを見つめる。
「へぇ~相変わらず明日香ちゃんはスタイル良いわね。なーんか陸上選手ってさ、もっと筋っぽいと思っていたのに」
「えー? ひどいなぁ。そんな事ないよ?」
何だか心ない事を言われている様な気がするけれども私はいつもの萌々香ちゃんなので笑って済ませる。
遠くで怜央と幼なじみの男の子達が話している声が聞こえる。何を話しているか分からないけれどもずいぶん盛り上がっている様だ。
そんな声が気になるので思わず背伸びをしてフロアの方を覗いたが、突然萌々香ちゃんが低い声で聞いてきた。
「明日香ちゃん。怜央と付き合って二ヶ月が過ぎたのよね?」
「えっ? そういえばそうだね」
二月の頭に付き合おうと言う事になり、気がつけば三ヶ月目に突入しようとしてた。
集合場所は萌々香ちゃんの実家である洋食店だった。夜、洋食店を貸し切りにして、久しぶりに幼なじみが集まった。
萌々香ちゃんの実家の洋食店は小さなお店だけれども、よく部活の打ち上げ、会社などの忘年会といったイベントで貸し切りになる事もあるお洒落なお店だ。
(今日帰り道で怜央に右膝の事話してみようかな)
私はそんな事をぼんやり考えていた。
今日は、萌々香ちゃんを筆頭に怜央、私、そして残り五人ほどの幼なじみが集まった。一番年下は私と怜央。年上は今年大学四年になった雄介くんだった。
(あれ? 萌々香ちゃんと仲良しだったはずの、絵美ちゃんと舞ちゃんがいない)
絵美ちゃんと舞ちゃんは萌々香ちゃんと同じ歳の女の子だ。
(商店街側のスーパーでは二人と顔を合わせる事があるのに。確かこの間休みに入る前に会った時は「旅行に行くお金もなくてさ暇なのよ」と、言っていたのに。今日は何か用事があったのかな)
集まった幼なじみのメンバーがまばらな事に違和感を覚えるが、萌々香ちゃんの言葉に思考を止められてしまう。
「明日香ちゃんこれを皆のテーブルに運んでくれる?」
「うん」
私はキッチンカウンターから覗く、萌々香ちゃんに声をかけられ振り向く。カンターテーブル越しに、チキンやポテトが盛られた大きなバスケットを受け取る。
「おっと」
思わず落としそうになり、私は持ち直す。すると、私の後ろから包み込む様に私の両手の上からバスケットを受け取る手が伸びた。
怜央だった。怜央の手は温かかった。
「俺が持つ。落としそうだしな」
私を後ろから包み込む様に抱きしめた怜央。私は身動きが取れず怜央を見上げるしかない。
(こっ、この体勢は。何だか抱きしめられている様な)
私は顔を赤くして怜央にバスケットを託した。逞しい胸板を後頭部で感じて驚いた。
(おかしいな部活動で着替えている時、怜央は上半身裸になっているのを見ているのに。何か恥ずかしい)
「あっ、あっ、ありがとう」
私は盛大に度盛りながら怜央にバスケットを渡すとササッと離れた。
「別に? どういたしまして」
怜央は私の慌てた態度に笑いながらバスケットを持ち、フロアに歩いて行った。
そしてフロアで幼なじみ達の声が上がる。
「おー怜央! 何だ~お前またでかくなったか?」
「そういえばこの間、近くの体育館でバレーボールをしていたな。あんなスパイクを打たれたら引くって」
「練習試合を見に行ったんだぜ」
一つ、二つ年上の幼なじみに囲まれて話を弾ませていた。今日集まったのは萌々香ちゃんと私以外、男子だった。
「へぇ~何か彼氏って感じじゃん?」
いつもなら萌々香ちゃんは高い声で話すのに、私の前だと比較的トーンが低めで話す事が多い。
その声で話し始めると私は何となく肩に力が入ってしまう。何故だと言われると昔からの癖としか言いようがないのだが。
「そうなのかな」
彼氏と言っても怜央以外誰とも付き合った事のない私は分からなくてぼんやりと答える。
「気がつかないの? さりげなく明日香ちゃんの事に触れていたいっていうのがみえみえじゃないの。今だって後ろから抱きしめるポーズだったでしょ?」
「うっ、言われてみればそうだったかも」
(ひぇ~恥ずかしいところを見られちゃったかな)
私は急に温度が上がった頬をパタパタと手であおった。
萌々香ちゃんはそんな私の顔を見ながら口の端を上げて笑った。相変わらず目が大きくてぽってりとした唇。
(こういう顔って何て言うんだったかなそうだ、たぬき顔だ。芸能人でもたぬき顔の女性は人気があるよね)
萌々香ちゃんはエプロンを外しながら大きく首の開いた桃色のワンピースを披露した。身体にさりげなくフィットした柔らかなニット。
(かわいいなぁ。私はボーダーのシャツに、ジーンズのタイトスカートにスニーカー。私もワンピースにすれば良かったかな)
そんな事を私は見比べて考えてしまう。
萌々香ちゃん厨房から出てくると空のグラスをいくつも乗せた銀のトレイを私に渡す。
「はい。このグラスをお願いね」
「うん」
そう言ってトレイを受け取ろうとしたが萌々香ちゃんがそのトレイを離そうとしなかった。
「どうしたの?」
萌々香ちゃんに尋ねると萌々香ちゃんが私の頭からつま先までを見つめる。
「へぇ~相変わらず明日香ちゃんはスタイル良いわね。なーんか陸上選手ってさ、もっと筋っぽいと思っていたのに」
「えー? ひどいなぁ。そんな事ないよ?」
何だか心ない事を言われている様な気がするけれども私はいつもの萌々香ちゃんなので笑って済ませる。
遠くで怜央と幼なじみの男の子達が話している声が聞こえる。何を話しているか分からないけれどもずいぶん盛り上がっている様だ。
そんな声が気になるので思わず背伸びをしてフロアの方を覗いたが、突然萌々香ちゃんが低い声で聞いてきた。
「明日香ちゃん。怜央と付き合って二ヶ月が過ぎたのよね?」
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