モブを自称するモテモテハーレム主人公君の友達役になった俺は彼を観察するのが趣味の1つです。

ムラタカ

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第2話  元カノは五大女神の1人です。

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「ね?お昼休み…開けておいてよ…」



「は?なんで…?」



「お願いだから…」





そう言い残してアイツ…冬真静留は去っていった。

いまさら元カノであるアイツが俺なんかに何の用だ……と普通ならなるのだろうが…ぶっちゃけた話がならないのだ…。



何故ならば…アイツが俺に接触して来た理由は察しがつくからだ。 

アイツが今現在片思いしている相手、宮藤雅人と親密な関係になりたい。

しかし自分以外の女神に邪魔されて親密どころか近づく事すら出来ないでいる。

だから宮藤雅人と仲が良い俺を利用し、距離を詰めたい…そんな事を考えてるのだろう。

フッた相手を自分の今の恋愛に利用しようというのだ、

大した度胸だが…普通考えついても実行に移そうなんて思えない筈だ。



まぁ…幸い俺はアイツにOKともハイとも言ってはいないので要望に応える義理も義務も無い。

無視で良いだろう。



 

トイレを済ませて軽く手洗いを済ませ教室に戻れば丁度予鈴が鳴る5分前、俺は自分の席へと向かい座る。

暇つぶしにスマホを開きいつも見ているニュースサイトをなんとなく眺める。

世の中は変わらない。

芸能人の結婚報道から浮気まで様々、誰彼が付き合ったとか別れたとか、または何処そこのアイドルが裏でアレコレ…

どうやら世の中も俺の過ごす日常とさして大きな違いは無いらしい。





「よ、大将、今日もたいへんだったな!」



「そう思うなら俺を助けてくれよ」



「ヤダよめんどくせー」





俺に話かけて来たのは隣の席の友人、大地智樹だ。

智樹とは席変えで今の席になってから友人になった。

友達になったのもごく最近だし別に親友とかではないが気楽に話せる分、ハーレム主人公の宮藤雅人よりも友達感は高い。

と言うよりも俺はアイツに友人としての比重を置いてはいないのだがな。





「しかし朝っぱらからむかつく奴はだよなアイツ、学校中の女神様侍らせてヘラヘラしてそれを隠そうともしねーし、囲ってリンチにしてーわ、マジで」



「まぁそう言うなって、そんな事したらその女神様達の報復が怖いしな」



「それなぁ~、なんであんな奴がモテんだろ?不思議だわ」



「マジでな~」



「お前よくアイツと友達やってんよな、俺なら耐えられんわ」



「いやいや、コレが案外面白いんだよ」



「マジかよー変態だな~」



「誰が変態やねんー!」 





そう、宮藤雅人を観察するのは面白い

勘違いして欲しくないのは宮藤という人間自体には何の魅力もない。

アイツ個人には毛ほどの関心も興味もない。

智樹が言うように囲ってリンチにしたって多分良心は痛まないだろう。

俺にとって奴はその程度の存在だ。

では何故友人をやってるのか?



見ていて面白いからだ。

何故あんな少し顔が良いだけの陰湿オタクがモテるのか?女受けがいいのか?

それはわからないがそこはさして重要ではない。

考えても見て欲しい。

この学校には殆どの生徒から熱狂的な支持を受ける美少女…通称女神が5人もいる。

異なる特徴を持つ美少女達は身持ちが固く下手に男に靡く事はない。

優に50人を越える男子生徒達から告白されたにも関わらず、一度もイエスと答えなかった彼女達があのなんの変哲もない凡人にあそこまでハートマークを飛ばしているのだ。

コレを異常と呼ばずしてなんと呼ぶ?



5人の女神達は表面上は仲良くしつつも互いに牽制しながらもあの凡人を取り合って水面下で醜い争いをしているのだ。

あたりまえだが修羅場もいくつかあった。

俺はそう言うのを見るのが面白いと…楽しいと思う様になったんだ。



当たり前だが最初はこんな馬鹿みたいな嗜好は無かった。


あの日…半年前に冬真静留にフラレた俺に救いなんて無かった。

いつもの時間。

俺にとって神聖で何にも代え難い特別な時間。

静留と図書室で過ごす大切な時間。

そこであの女は一方的に…そう…一方的に別れ話をきりだしたのだ。



「私…好きな人が出来たの…」



「へ?…今…なんて……?」



「宮藤雅人君…私あの人が好きなの……どうしても好きになったの…だから…智春…いえ…足立君…私と別れてくれない?」



「ちょ…ちょっとまってよ…意味が…わからない…別れてくれないって……」



「なんども言わせないでくれる?…別れて欲しいって…そう言ったの…、理解出来る?」



「理解出来るって…出来る訳無いだろ!!何故そんな、突然…」



「仕方ないじゃない…好きになってしまったのだから…それに私の事を思うなら…私の事を応援するのがかつての恋人だった貴方の義務じゃないかしら?」



「は?何言って…」



「それじゃ…もう私に話しかけないで…宮藤君に勘違いされたくないの…お願いね?足立君」





今にして思うのは何故あんなクソ女を好きだったのか真面目にわからないが別れて正解だったって事だ。

女神だか図書室の天使だか知らないがあんなクソ女…こっちから願い下げだ。



でもあの女のお陰で楽しい趣味が出来たのだ。

けっして悪い事ばかりじゃない。



最初は嫌がらせしてやろうと思い宮藤に近づいた。

宮藤は簡単に俺に心を開いた。

男友達に飢えていたアイツはなんなら5女神そっちのけで俺を優先する。

俺が遊びに誘えば5女神との約束をすっ飛ばして俺との予定を優先するし、俺が何かしら頼めばアイツは5女神の頼みだって蹴っ飛ばす。



ただ勘違いしないで欲しい。

アイツは俺に友情とかを感じてそんな態度を取ってるんじゃない。

唯一無二、自分が女にモテてる現状を自慢出来る相手が俺しかいないから俺をキープしているだけなのだ。



言ってしまえば俺も宮藤も似た者同士なのかもしれない。

互いの利害が一致したから友達ごっこをしているだけ。

それだけのやっすい関係な訳だ。



宮藤を利用してクソ女…冬真静留に嫌がらせをしようと思っていたんだけど俺が何かせずとも嫌がらせは既に達成されていた。

宮藤からは変なフェロモン物質でも出てるのかあの男は昔から変にモテたらしい。

何をしなくても女が勝手に向こうから近づいて来るのだそうだ。

しかも5女神みたいな弩級の美少女ばかりが。

つまりは既に冬真静留が入り込む余地など最初から無かったのだ。



アイツの周りは常にギスギスと胃が痛くなるような珍事が頻繁に起こる。

俺はそれを特等席で見る事が出来るのだ。

しかも俺はあくまでモブ的なポジション。

当事者にはなり得ないから俺が痛い目に合う事は無い。

正に特等席な訳だ。

 

自分でもいびつで歪んだ趣味だと思うが一度体験してしまえば辞められないのだ。







授業中、俺はただボーとボードに書き殴られた文字を眺める。

退屈で眠たいだけの授業は時間の経過に伴い過ぎていく、学生の身分からすれば教師というのは酷く容易い仕事だと思ってしまう。

だってそうだろ?

教卓の前でダラダラと教科書の中身を読めばそれで済むのだから、生徒が理解してようがしてなかろうが差して問題じゃない。

理解出来ないならそれは理解出来ないソイツの自己責任で教師の責任にはならないのだからテストの結果を適当にディスっておけばそれで良いのだ。

だからホントに楽な仕事だと思う。



勿論これは表面的な部分から推測してるだけで他にも面倒なことは色々とあるのだろうが学生の身分でそんなモノを察してやる必要は無い。 

教師達など所詮は生徒にとってやって良い事とやっては駄目な事を判断する為のボーダーライン程度の役にしかならないのだ。

だからそんな奴らに気を回すのは無意味だ。







そんな事を考えたりしてると昼休みになっている。

俺は冬真静留が根城にしている図書室には勿論行かず教室で仲の良い男連中と一緒に学食に行く。

既にハーレム主人公の周りにはハーレムが出来ていて、奴にとっては幼馴染であるクラス委員長や俺の姉ちゃんである聖女さま、奴にとっての義妹のアイドル後輩ちゃん等が宮藤を囲っている。

多分これから生徒会室にでも行ってワチャワチャするのかな?

ま、今はそれより昼飯だ。

趣味も大事だが何事も腹を満たしてからだ。





「でもアイツ実際どうやって女神達とあんだけ仲良くなれたんだろな?」



「仲良くってレベルじゃねーだろ?あれ、俺あんなの正直ちょっと引くわ」



「まぁ羨ましいのもガチだけど毎日あれはしんどそーだよなー」



「なんだなんだ?見苦しいぞ?敗者の強がりか~?」



「ハーレムとかいいから彼女が1人欲しいわ」



「普通に普通の恋愛してみてぇよな?」



「それなぁ~」





昼飯をつつきながらくそ下らない雑談に性を出す。

下らないがこんな時間も貴重だ。

しかし彼女か…

半年前のあの件が頭を過る。

俺のなかで少なからずトラウマになってるあの件のお陰でしばらく恋愛はノーサンキューって所だ。





「智春は彼女とか欲しいだろ~」



「う~ん、どうだろうな~」



「お?なんだなんだ?」



「まぁ…いたらいたで面倒くさいと思うぞ?微妙に変わった髪型一つで気付かないとギャーギャーうるさいしこっちの服装にもとやかく言って来るし」



「まっ…まさかお前…」



「コイツ…まさか…噂に聞くリア充とかいう奴か!!」



「おのれ!裏切り者め!」





俺の発言でヒートアップする男共。

彼女がいない同盟を結んだ仲で1人だけ彼女持ちは裏切りである。

彼等のボルテージは何処までも燃え上がっていく。

そんな時だった。





「探したわよ…足立君…」



「………」





5女神の1人である冬真静留がやって来た。







「へ…?冬真さん…」



「何故図書室の天使が、こんな所に…?」





俺の友人達を含め、学食にいる生徒がみんな意外な者を見る目で冬真静留を見る。

彼女は学食を普段使わない。



騒がしい場所を嫌う彼女は基本1人で図書室で弁当を食うのが日課だ。

なので学食に現れたのが意外なのだろう。





「私…言ったわよね?お昼は開けておいてって」





そんな5女神の1人で図書室の天使なんて呼ばれているクソ女は俺を睨みつけながらそんな事を言って来たのだ。






面倒くさい事になった。



         あとがき───────────────────────

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