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第24話 3人目の…脱落者
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私が智君と付き合う様になってしばらくした後に雅君にも動きがあった。
なんと、あの雅君に恋人が出来たのだ。
相手は冬真静留さん。
学校の5大女神って言われてる女生徒の1人で彼女自身も図書室の天使と言われてるものすごい美人さんだ。
そして私の彼氏、智君の元カノさんでもある。
私達はお互い過去に関わりのある男の子、
私が幼馴染の雅君…宮藤雅人君の情報を。
冬真さんは元彼である智君の情報を互いに出し合い、やり取りをしてお互いの恋を応援し合う…そんな約束をした。
結局私達は大した助け合いをする事無く、互いの恋を成就させていた。
そう、冬真さんも雅君と自力でお付き合いする仲に漕ぎ着けたのだ。
私はそれを強く意外に思う。
雅君の方から告白なんてあり得ないし、あの雅君が額面通りに他者からの告白を受け入れる事なんて本当にありえるのかな?
どれも信じられない。
では雅君と冬真さんの間を取り持った誰かがいるのだろうか?
4女神の誰かと言う事になるけど誰もそんな事をするメリットがない。
ではその他の誰かとか?
例えば自分達が信奉する各勢力の女神達を雅君に取られない様にするために他の女神の誰かに雅君を擦り付けたみたいな?
これならまだ可能性はある。
でも雅君は極度の人見知りだ。
昨日今日知り合った人の助言を聞く様な人じゃないし、自分から告白なんて勇気ある行動はしない。
しかも相手側からの告白も素直に受け取らない…。
誠意ある告白を嘘告と捉える屈折した価値観の持ち主の雅君では恋人なんて一生出来ないくらいは普通に思ってたからこそ…意外なんだ。
「ま…今更どうでも良いけどね…」
そう…
どうでも良い。
もう私に雅君への恋愛感情はない。
私が本当の意味で初めて好きになったのは智君…足立智春君だ。
今更雅君に何があったとしても私には心底関係がなかった。
「………」
「どうしたの?花楓ちゃん…?」
「茜ちゃんはこれでいいの?」
「?なにが?」
「何がって!だって…あの女…」
彼女の名前は宮藤花楓。
雅君…宮藤雅人の義理の妹だ。
久々に…それはそれは…凄い久々に私は彼女から直々にお呼ばれされていた。
彼女の部屋の窓からはたった今その雅君とその彼女である冬真静留さんがデートに出かけて行った。
デートだと言うのに雅君の装いは普段と変わった所はなく、私は心の中だけでタメ息をつく。
私はそんな雅君を頭のなかで掻き消して目の前の少女に視線を向けて言葉を発した。
「そうだね…このままいくと雅君は多分後悔するね」
「……だったらさぁ!?」
「でもこれは雅君の選んだ道だよ?私達にはどうしょうも出来ない」
「い……うぅ…」
そう…これは雅君が選んだ道だ…
あの人…冬真静留さんは自分本意な人だ…
同じく身勝手な雅君とは十中八九衝突する。
上手く行きっこないのだ。
「私の事を選んでくれてたら…雅兄の事を幸せにしてあげれたのにぃ…!」
「兄妹で結婚は出来ないんだよ?」
「だったら外国に行くもん!外国なら出来るって漫画で見たもん!」
「そんなに簡単な事じゃないと思うよ?」
「わっ…わかってるよ!」
「わかってないよ?大体…雅君は花楓ちゃんを異性として認識してないよ?そんな所からどうやって結婚まで持ち込むの?」
「ぐぅ…だっ大体茜ちゃんはどうなの?雅兄の事?もう好きじゃないの?」
「私にはもう…大好きな彼氏がいるし…」
「し…信じらんない!尻軽だよ!あんなに昔から想い続けてたのに!そんなの変だよ!」
「想い続けるのはしんどいんだよ…私は叶いもしない願いを追い続けるのに疲れたの…疲弊した心を拾い上げて…癒やしてくれたのが今の彼氏…智君なの…今の私は智君の事で頭の中いっぱいなの…たとえ花楓ちゃんに軽蔑されても構わない…私は私の幸せを叶えたい」
「うぅ…そんなの…ズルいよ…」
多分…いや、絶対に花楓ちゃんも私と同じだ。
もうその想いが叶い祝福されることはない事を察している。
それでも想い続けた願いがこんな形で無に帰るのが許せないのだろう。
それじゃこれまで自分が歩んで来た道は何だったんだってなるから…。
でもその感情は後悔したく無いからって所が源泉だ。
たぶん…いや、絶対に雅君が好きだから手放したくないって気持ちからは来ていない。
これまでの苦労が水の泡になるのが嫌だから認めたくないんだ。
多分もう…彼女も…。
「花楓ちゃんも好きな人を見つければいいよ」
「私が好きなのは雅兄なの!変な事を言わないで!」
「どの道雅君は私達以外の人を選んだ…妹や幼馴染じゃ、雅君には届かないんだよ…」
「もういい、帰って…」
「はぁ…じゃ帰るね…」
私はそのまま直ぐ隣の自分の家に帰る。
薄情かも知れないがこれは彼女自身の問題で、私がとやかく言う資格も権利もない。
彼女が答えを出さなくてはならない問題なんだ。
でもこれだけはハッキリと言える。
彼女もまた私と同じだ。
後に引けなくなった感情を正当化するために雅君が好きって気持ちを利用して現状に留まっている。
免罪符にしてるんだ…。
多分彼女は、もう…それ程…雅君の事を…
好きでは無いのだろう…。
隣の家に住む雅兄の幼馴染、九条茜は自分の家に帰って行った。
幼馴染とは便利な物だ。
行こうと思えば互いの家が目と鼻の距離なのだから。
でも私は義妹…同じ生活空間に…一緒にすんでるんだ。
だからワタシの方が圧倒的に有利…!
幼馴染だかなんだか知らないけど妹はそれ以上に近い存在なんだ。
後は色仕掛けで仕掛ければ雅兄だって男の子なんだ。
直ぐに私に手を出してくるはず!
そんな風に思っていた頃が私にもあった。
雅兄はヘタレだ。
それも超がつくレベルの。
多感なお年頃の女が家の中にいる。
しかも敢えて露出度の高いキャミやハーフパンツをきてわざとらしく前を歩いたりしてるのに一向に手を出されない。
痺れを切らしてベッドに突撃した事や胸やお尻を擦り付けてやった事も一回や二回じゃない。
でもあの人は今日に至るまで一度も手を出しては来なかった。
妹といっても義理だ、血は繋がってない。
形式上の兄妹なんだ。
だから拘る必要なんてない。
普通の男の子なら手を出している。
なのにそれが無い。
自信を無くしそうになる…
でも私はヘラったりしない。
何故なら私には私が如何に可愛いか、如何に愛らしいかを語ってくれる男の子達がいる。
「はぁ~!今日も花楓たんはカワイぃいですよぉ!」
「花楓ちゃんマジ天使!KMT!KMT!」
「えへ!花楓、そんなに可愛い?」
「「「「可愛いぃぁぁぁああぁぁぁ!」」」」
「「「花楓ちゃんマジ天使!KMT!KMT」」」
「えへ!皆ぁ~ありがとぉ!!花楓、元気出たぁ!!」
「推しが元気なら僕達も元気で~~すっ!」
「元気いっぱいの花楓ちゃんかぁわぁいぃ~」
「かえでちゃーん!すきーー!」
学校の一教室を丸ごと貸し切りにして私達専用のたまり場とし、彼等は今日も私を祭り上げ、私を鼓舞し称える。
普通教室の私的専有なんてあり得ないし、どうやったのか知らないけど、私のファン?の男の子がどうにかしてしまったらしい。
いやはや末恐ろしい。
1年の私が5大女神に数えられているのはこの人達からの求心力の賜物だ。
義兄にヘコまされた私の自信は彼等によって直ぐ様持ち直す。
「あ、これ、雅兄のお弁当で作りすぎたのを詰め込んだお弁当の余りだけど欲しい?」
「なぁにぃ!?姫の手作り?」
「ぼじぃー!!」
「いくら払えばいいですが!」
「言い値で買います!」
「あは!お金なんて取らないよぉ!皆でわけあって食べてね!」
「ああ!姫の慈愛が骨身にしみる!」
「姫に感謝!!」
「姫ありがとうございます!」
「さすかわ花楓たん!」
この人達は私の事が大好きだ。
中にはデブやガリのブサメンからイケメンといって差し支えのない端正な顔立ちの男の子もいる。
しかし見た目で優劣とかがある訳では無い。
みんな私を推す事に対してはそんなもの大した問題じゃないらしい。
この人達は私を応援する事に対して凄い結束力をもっている。
普通は同担拒否で揉めそうな物なのに…そんな話は聞いたことがない。
私は彼らにどうしても聞いてみたい事があった。
それはつい最近までは気にも止めなかった疑問。
「ねえ?皆に聞いて見たい事があるんだけどいい?」
「え?姫が俺達に?」
「どんな事でも聞いてくれ!」
「花楓ちゃんの力になれる事こそ俺達の望みだ!」
「皆…ありがとう!…えっとね…花楓が雅兄の事が大好きなのは知ってるよね?」
「当然知ってるよ!」
「姫の事ならなんだって知ってるさ!」
「皆は花楓が雅兄に取られちゃうとか思わないの?雅兄に独占されて皆ともう会えなくなるかもしれないとか考えないの?」
「モチロン考えてるよ」
「当然だね…」
「そりゃ…ね…」
「だったらどうして…」
「それが推しの見つけた道なら仕方ないよ!」
「花楓ちゃんが幸せならALLオッケーですわ!」
「花楓ちゃまの幸せが俺等の幸せだからぁー(泣)」
「「「「推しが幸せならオッケェーっです!!!」」」」
「み…みんな…」
私が幸せになる事…それこそが皆の幸せだと言う。
こんな考え方…私の中には無かった…。
雅兄と結ばれ、両想いとなる。
それが私のゴールだと…そうずっと思ってきた。
しかし皆は違う。
私と結ばれなくてもいい。
私が幸せになること。
それが彼らにとってのゴールなんだ。
私に雅兄の幸せを願い、祝福する事が出来るか?
わからないけど…
いや、それこそが相手を思いやるという事なんだろう。
そこに行くと私はアウトだ。
私は雅兄と誰かが結ばれて幸せになる事を容認出来ない狭い心の人間だ。
雅兄の隣にいるのはあの冬真静留だ。
茜ちゃんはあの2人が上手く行く可能性にかなり懐疑的だったし、それは私も同意見だ。
それに…どの道…雅兄の隣に私はいない
私が雅兄と幸せになる未来はもうない。
それと私には茜ちゃんみたいに特定の誰かを好きになる気持ちもない…。
こんな私でも…支えてくれる皆の支えに私自身がなれるなら…それはとても良い事だと思う。
「よし!決めたよ皆!」
「え?」
「どうしたの姫?」
「何かご決断なされたので?」
「……私…もう雅兄は諦める!これからは皆の花楓になるね!!皆が私を支えてくれた分私が皆の支えになるね!!」
「お……」
「へ…」
「?…、」
一瞬の間の後…
「「「「「「ウォおおおおおおあぁぁ!!」」」」」」
「「「「ひゃぁぉぁぁしゃぉぁ!!!!」」」」
「「「よっしゃぁぁああー!!」」」
花楓の前に集まった男子生徒達は歓びの雄叫びを上げる。
皆、歓びの涙を流して歓喜に打ち震えている。
ここに1人またハーレムから脱退する者が現れる。
それは義理の妹という属性を持つ少女、宮藤花楓だった。
───────────────────────
あとがき
本作への応援コメントに♡や☆等ありがとうございます。
大変励みになります。
なんと、あの雅君に恋人が出来たのだ。
相手は冬真静留さん。
学校の5大女神って言われてる女生徒の1人で彼女自身も図書室の天使と言われてるものすごい美人さんだ。
そして私の彼氏、智君の元カノさんでもある。
私達はお互い過去に関わりのある男の子、
私が幼馴染の雅君…宮藤雅人君の情報を。
冬真さんは元彼である智君の情報を互いに出し合い、やり取りをしてお互いの恋を応援し合う…そんな約束をした。
結局私達は大した助け合いをする事無く、互いの恋を成就させていた。
そう、冬真さんも雅君と自力でお付き合いする仲に漕ぎ着けたのだ。
私はそれを強く意外に思う。
雅君の方から告白なんてあり得ないし、あの雅君が額面通りに他者からの告白を受け入れる事なんて本当にありえるのかな?
どれも信じられない。
では雅君と冬真さんの間を取り持った誰かがいるのだろうか?
4女神の誰かと言う事になるけど誰もそんな事をするメリットがない。
ではその他の誰かとか?
例えば自分達が信奉する各勢力の女神達を雅君に取られない様にするために他の女神の誰かに雅君を擦り付けたみたいな?
これならまだ可能性はある。
でも雅君は極度の人見知りだ。
昨日今日知り合った人の助言を聞く様な人じゃないし、自分から告白なんて勇気ある行動はしない。
しかも相手側からの告白も素直に受け取らない…。
誠意ある告白を嘘告と捉える屈折した価値観の持ち主の雅君では恋人なんて一生出来ないくらいは普通に思ってたからこそ…意外なんだ。
「ま…今更どうでも良いけどね…」
そう…
どうでも良い。
もう私に雅君への恋愛感情はない。
私が本当の意味で初めて好きになったのは智君…足立智春君だ。
今更雅君に何があったとしても私には心底関係がなかった。
「………」
「どうしたの?花楓ちゃん…?」
「茜ちゃんはこれでいいの?」
「?なにが?」
「何がって!だって…あの女…」
彼女の名前は宮藤花楓。
雅君…宮藤雅人の義理の妹だ。
久々に…それはそれは…凄い久々に私は彼女から直々にお呼ばれされていた。
彼女の部屋の窓からはたった今その雅君とその彼女である冬真静留さんがデートに出かけて行った。
デートだと言うのに雅君の装いは普段と変わった所はなく、私は心の中だけでタメ息をつく。
私はそんな雅君を頭のなかで掻き消して目の前の少女に視線を向けて言葉を発した。
「そうだね…このままいくと雅君は多分後悔するね」
「……だったらさぁ!?」
「でもこれは雅君の選んだ道だよ?私達にはどうしょうも出来ない」
「い……うぅ…」
そう…これは雅君が選んだ道だ…
あの人…冬真静留さんは自分本意な人だ…
同じく身勝手な雅君とは十中八九衝突する。
上手く行きっこないのだ。
「私の事を選んでくれてたら…雅兄の事を幸せにしてあげれたのにぃ…!」
「兄妹で結婚は出来ないんだよ?」
「だったら外国に行くもん!外国なら出来るって漫画で見たもん!」
「そんなに簡単な事じゃないと思うよ?」
「わっ…わかってるよ!」
「わかってないよ?大体…雅君は花楓ちゃんを異性として認識してないよ?そんな所からどうやって結婚まで持ち込むの?」
「ぐぅ…だっ大体茜ちゃんはどうなの?雅兄の事?もう好きじゃないの?」
「私にはもう…大好きな彼氏がいるし…」
「し…信じらんない!尻軽だよ!あんなに昔から想い続けてたのに!そんなの変だよ!」
「想い続けるのはしんどいんだよ…私は叶いもしない願いを追い続けるのに疲れたの…疲弊した心を拾い上げて…癒やしてくれたのが今の彼氏…智君なの…今の私は智君の事で頭の中いっぱいなの…たとえ花楓ちゃんに軽蔑されても構わない…私は私の幸せを叶えたい」
「うぅ…そんなの…ズルいよ…」
多分…いや、絶対に花楓ちゃんも私と同じだ。
もうその想いが叶い祝福されることはない事を察している。
それでも想い続けた願いがこんな形で無に帰るのが許せないのだろう。
それじゃこれまで自分が歩んで来た道は何だったんだってなるから…。
でもその感情は後悔したく無いからって所が源泉だ。
たぶん…いや、絶対に雅君が好きだから手放したくないって気持ちからは来ていない。
これまでの苦労が水の泡になるのが嫌だから認めたくないんだ。
多分もう…彼女も…。
「花楓ちゃんも好きな人を見つければいいよ」
「私が好きなのは雅兄なの!変な事を言わないで!」
「どの道雅君は私達以外の人を選んだ…妹や幼馴染じゃ、雅君には届かないんだよ…」
「もういい、帰って…」
「はぁ…じゃ帰るね…」
私はそのまま直ぐ隣の自分の家に帰る。
薄情かも知れないがこれは彼女自身の問題で、私がとやかく言う資格も権利もない。
彼女が答えを出さなくてはならない問題なんだ。
でもこれだけはハッキリと言える。
彼女もまた私と同じだ。
後に引けなくなった感情を正当化するために雅君が好きって気持ちを利用して現状に留まっている。
免罪符にしてるんだ…。
多分彼女は、もう…それ程…雅君の事を…
好きでは無いのだろう…。
隣の家に住む雅兄の幼馴染、九条茜は自分の家に帰って行った。
幼馴染とは便利な物だ。
行こうと思えば互いの家が目と鼻の距離なのだから。
でも私は義妹…同じ生活空間に…一緒にすんでるんだ。
だからワタシの方が圧倒的に有利…!
幼馴染だかなんだか知らないけど妹はそれ以上に近い存在なんだ。
後は色仕掛けで仕掛ければ雅兄だって男の子なんだ。
直ぐに私に手を出してくるはず!
そんな風に思っていた頃が私にもあった。
雅兄はヘタレだ。
それも超がつくレベルの。
多感なお年頃の女が家の中にいる。
しかも敢えて露出度の高いキャミやハーフパンツをきてわざとらしく前を歩いたりしてるのに一向に手を出されない。
痺れを切らしてベッドに突撃した事や胸やお尻を擦り付けてやった事も一回や二回じゃない。
でもあの人は今日に至るまで一度も手を出しては来なかった。
妹といっても義理だ、血は繋がってない。
形式上の兄妹なんだ。
だから拘る必要なんてない。
普通の男の子なら手を出している。
なのにそれが無い。
自信を無くしそうになる…
でも私はヘラったりしない。
何故なら私には私が如何に可愛いか、如何に愛らしいかを語ってくれる男の子達がいる。
「はぁ~!今日も花楓たんはカワイぃいですよぉ!」
「花楓ちゃんマジ天使!KMT!KMT!」
「えへ!花楓、そんなに可愛い?」
「「「「可愛いぃぁぁぁああぁぁぁ!」」」」
「「「花楓ちゃんマジ天使!KMT!KMT」」」
「えへ!皆ぁ~ありがとぉ!!花楓、元気出たぁ!!」
「推しが元気なら僕達も元気で~~すっ!」
「元気いっぱいの花楓ちゃんかぁわぁいぃ~」
「かえでちゃーん!すきーー!」
学校の一教室を丸ごと貸し切りにして私達専用のたまり場とし、彼等は今日も私を祭り上げ、私を鼓舞し称える。
普通教室の私的専有なんてあり得ないし、どうやったのか知らないけど、私のファン?の男の子がどうにかしてしまったらしい。
いやはや末恐ろしい。
1年の私が5大女神に数えられているのはこの人達からの求心力の賜物だ。
義兄にヘコまされた私の自信は彼等によって直ぐ様持ち直す。
「あ、これ、雅兄のお弁当で作りすぎたのを詰め込んだお弁当の余りだけど欲しい?」
「なぁにぃ!?姫の手作り?」
「ぼじぃー!!」
「いくら払えばいいですが!」
「言い値で買います!」
「あは!お金なんて取らないよぉ!皆でわけあって食べてね!」
「ああ!姫の慈愛が骨身にしみる!」
「姫に感謝!!」
「姫ありがとうございます!」
「さすかわ花楓たん!」
この人達は私の事が大好きだ。
中にはデブやガリのブサメンからイケメンといって差し支えのない端正な顔立ちの男の子もいる。
しかし見た目で優劣とかがある訳では無い。
みんな私を推す事に対してはそんなもの大した問題じゃないらしい。
この人達は私を応援する事に対して凄い結束力をもっている。
普通は同担拒否で揉めそうな物なのに…そんな話は聞いたことがない。
私は彼らにどうしても聞いてみたい事があった。
それはつい最近までは気にも止めなかった疑問。
「ねえ?皆に聞いて見たい事があるんだけどいい?」
「え?姫が俺達に?」
「どんな事でも聞いてくれ!」
「花楓ちゃんの力になれる事こそ俺達の望みだ!」
「皆…ありがとう!…えっとね…花楓が雅兄の事が大好きなのは知ってるよね?」
「当然知ってるよ!」
「姫の事ならなんだって知ってるさ!」
「皆は花楓が雅兄に取られちゃうとか思わないの?雅兄に独占されて皆ともう会えなくなるかもしれないとか考えないの?」
「モチロン考えてるよ」
「当然だね…」
「そりゃ…ね…」
「だったらどうして…」
「それが推しの見つけた道なら仕方ないよ!」
「花楓ちゃんが幸せならALLオッケーですわ!」
「花楓ちゃまの幸せが俺等の幸せだからぁー(泣)」
「「「「推しが幸せならオッケェーっです!!!」」」」
「み…みんな…」
私が幸せになる事…それこそが皆の幸せだと言う。
こんな考え方…私の中には無かった…。
雅兄と結ばれ、両想いとなる。
それが私のゴールだと…そうずっと思ってきた。
しかし皆は違う。
私と結ばれなくてもいい。
私が幸せになること。
それが彼らにとってのゴールなんだ。
私に雅兄の幸せを願い、祝福する事が出来るか?
わからないけど…
いや、それこそが相手を思いやるという事なんだろう。
そこに行くと私はアウトだ。
私は雅兄と誰かが結ばれて幸せになる事を容認出来ない狭い心の人間だ。
雅兄の隣にいるのはあの冬真静留だ。
茜ちゃんはあの2人が上手く行く可能性にかなり懐疑的だったし、それは私も同意見だ。
それに…どの道…雅兄の隣に私はいない
私が雅兄と幸せになる未来はもうない。
それと私には茜ちゃんみたいに特定の誰かを好きになる気持ちもない…。
こんな私でも…支えてくれる皆の支えに私自身がなれるなら…それはとても良い事だと思う。
「よし!決めたよ皆!」
「え?」
「どうしたの姫?」
「何かご決断なされたので?」
「……私…もう雅兄は諦める!これからは皆の花楓になるね!!皆が私を支えてくれた分私が皆の支えになるね!!」
「お……」
「へ…」
「?…、」
一瞬の間の後…
「「「「「「ウォおおおおおおあぁぁ!!」」」」」」
「「「「ひゃぁぉぁぁしゃぉぁ!!!!」」」」
「「「よっしゃぁぁああー!!」」」
花楓の前に集まった男子生徒達は歓びの雄叫びを上げる。
皆、歓びの涙を流して歓喜に打ち震えている。
ここに1人またハーレムから脱退する者が現れる。
それは義理の妹という属性を持つ少女、宮藤花楓だった。
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あとがき
本作への応援コメントに♡や☆等ありがとうございます。
大変励みになります。
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