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第1章 任務終了後の事件
アウグス家
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レナは、周囲の人から教えてもらったアウグスの家に到着した。人の家を訪れるのは人生初で、どうしたら良いのか分からず、入口でもじもじしてしまう。
入口のドアを叩けば良いのだろうか、声を上げれば良いのだろうか、声を掛けるとしたら何と言えばいいのか・・そんなことを考えながら何も行動を起こせずにいると、後ろから声を掛けられた。
「ねえ、うちに何か用なのかな?」
そこに居たのは、ダークブラウンの髪をした優しそうな若い男性だった。歳はレナとさほど変わらないだろうか。白い肌にそばかすが目立つ素朴な顔をしている。
「あ、ええと……アウグスさんの家に、用が……」
レナがしどろもどろに答えると、
「うちに? 何か今日あったっけ?」
と男性は不思議そうにレナを見た。
「あの……兄から、ここを聞いて……」
レナが困ったように言うと、若い男性は「ああ」と声を上げ、
「君、リオの妹だろ?」
と納得していた。
(レオナルド……ちゃんと私のことを話してくれていたなんて……)
レナは、先ほど玄関先で会ったジャンに飲み物を用意されると、熱い紅茶をゆっくり飲んだ。
「おいしい……」
これまでレナが飲んできたような上質な茶葉ではなかったが、喉が渇いて緊張していた身体に、温かい紅茶が沁みていく。
「そう、良かった。それにしても……エレナはリオにあんまり似てないんだなあ」
ジャンはレナをじろじろと見ると、しみじみ言った。『エレナ』は名前を聞かれた時、咄嗟に出た『え、レナ……』がそのままレナの通り名になったものだ。
「そ、そうですか? 兄は、少し目つきが鋭いですよね……」
レナが誤魔化すように言うと、ジャンはニッコリと笑う。
「僕の妹が君を見たら何て言うか分からないけど、リオはちょっと神々しいよね。君は素朴な感じがするけど、美人だし」
「そ、そうですか……? 兄は神々しいんですね」
レナは自分が褒められたことには特に礼も言わずに、暗殺が専門のレオナルドが神々しいとは他人の印象とは面白いなと心の中で呟く。
「うん。うちの妹はレオナルドのこと、本当に神様の使いか何かだと思っているよ。命を救われたのもあるけど、やっぱりカッコよかったからなー……」
ジャンが思い出しているのがレオナルドの戦った場面なのだろうと思うと、レナはぞっとした。
レナが母親を目の前で殺された時は、その芸術的な動きがただただ恐ろしかった。その日から数日が経過していたが、思い出すことにも抵抗がある。
「で、エレナはどうしたの? そんな身一つでうちに来るなんて、よっぽど何かがあったとしか思えないよね?」
ジャンに聞かれて、レナは戸惑った。
「あ……あの……住んでいたところを追い出されまして……行くところもなくて……」
レナがもじもじしていると、ジャンはニッコリ笑った。
「そうか。うん、僕は別にいいよ。でも、ずっとって訳にもいかないと思うんだけど……何か次に行くアテとかない? それまでの期間限定ってことでどう?」
ジャンに提案されて、レナは思わず「あのっ、ブリステ公国に頼れそうな先があって。でも、お金どころか何も持っていないので、お仕事を探さないといけないかなって思うんですが……」とジャンに伝える。
レナはブリステ公国に行ったことはなかったが、カイやロキなら事情を伝えれば助けてくれるのではないかと咄嗟に思いついたのだ。
「なるほど……仕事ね……。ブリステに行きたいんなら、もう少ししたら父親と僕でポテンシアに行商に行くから、途中まで付いてくる? ブリステの国境近くで別れたらいいんじゃない? 仕事は、行商を手伝ってもらうことくらいしかないから、お給料はあんまり渡せないかもしれないけど……」
ジャンがそう言うと、レナはぱっと明るい顔をして「良いんですか? ありがとうございます!」とお礼を言う。
ジャンはそのレナの顔を見て「やっと笑ったね。君、笑った方がずっと可愛いのに」と微笑んだ。
入口のドアを叩けば良いのだろうか、声を上げれば良いのだろうか、声を掛けるとしたら何と言えばいいのか・・そんなことを考えながら何も行動を起こせずにいると、後ろから声を掛けられた。
「ねえ、うちに何か用なのかな?」
そこに居たのは、ダークブラウンの髪をした優しそうな若い男性だった。歳はレナとさほど変わらないだろうか。白い肌にそばかすが目立つ素朴な顔をしている。
「あ、ええと……アウグスさんの家に、用が……」
レナがしどろもどろに答えると、
「うちに? 何か今日あったっけ?」
と男性は不思議そうにレナを見た。
「あの……兄から、ここを聞いて……」
レナが困ったように言うと、若い男性は「ああ」と声を上げ、
「君、リオの妹だろ?」
と納得していた。
(レオナルド……ちゃんと私のことを話してくれていたなんて……)
レナは、先ほど玄関先で会ったジャンに飲み物を用意されると、熱い紅茶をゆっくり飲んだ。
「おいしい……」
これまでレナが飲んできたような上質な茶葉ではなかったが、喉が渇いて緊張していた身体に、温かい紅茶が沁みていく。
「そう、良かった。それにしても……エレナはリオにあんまり似てないんだなあ」
ジャンはレナをじろじろと見ると、しみじみ言った。『エレナ』は名前を聞かれた時、咄嗟に出た『え、レナ……』がそのままレナの通り名になったものだ。
「そ、そうですか? 兄は、少し目つきが鋭いですよね……」
レナが誤魔化すように言うと、ジャンはニッコリと笑う。
「僕の妹が君を見たら何て言うか分からないけど、リオはちょっと神々しいよね。君は素朴な感じがするけど、美人だし」
「そ、そうですか……? 兄は神々しいんですね」
レナは自分が褒められたことには特に礼も言わずに、暗殺が専門のレオナルドが神々しいとは他人の印象とは面白いなと心の中で呟く。
「うん。うちの妹はレオナルドのこと、本当に神様の使いか何かだと思っているよ。命を救われたのもあるけど、やっぱりカッコよかったからなー……」
ジャンが思い出しているのがレオナルドの戦った場面なのだろうと思うと、レナはぞっとした。
レナが母親を目の前で殺された時は、その芸術的な動きがただただ恐ろしかった。その日から数日が経過していたが、思い出すことにも抵抗がある。
「で、エレナはどうしたの? そんな身一つでうちに来るなんて、よっぽど何かがあったとしか思えないよね?」
ジャンに聞かれて、レナは戸惑った。
「あ……あの……住んでいたところを追い出されまして……行くところもなくて……」
レナがもじもじしていると、ジャンはニッコリ笑った。
「そうか。うん、僕は別にいいよ。でも、ずっとって訳にもいかないと思うんだけど……何か次に行くアテとかない? それまでの期間限定ってことでどう?」
ジャンに提案されて、レナは思わず「あのっ、ブリステ公国に頼れそうな先があって。でも、お金どころか何も持っていないので、お仕事を探さないといけないかなって思うんですが……」とジャンに伝える。
レナはブリステ公国に行ったことはなかったが、カイやロキなら事情を伝えれば助けてくれるのではないかと咄嗟に思いついたのだ。
「なるほど……仕事ね……。ブリステに行きたいんなら、もう少ししたら父親と僕でポテンシアに行商に行くから、途中まで付いてくる? ブリステの国境近くで別れたらいいんじゃない? 仕事は、行商を手伝ってもらうことくらいしかないから、お給料はあんまり渡せないかもしれないけど……」
ジャンがそう言うと、レナはぱっと明るい顔をして「良いんですか? ありがとうございます!」とお礼を言う。
ジャンはそのレナの顔を見て「やっと笑ったね。君、笑った方がずっと可愛いのに」と微笑んだ。
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