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第4章 ポテンシア王国に走る衝撃

ルイス・ポテンシアとリブニケ王国

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 ポテンシア王国第四王子のルイスは、ルリアーナという国が昔から好きだった。そして、その国の第一王女レナにずっと恋い焦がれていた。彼女を手に入れるため、緻密な作戦を練って、見合いに参加した。国の陰謀からレナを守るため、奔走した。

 作戦は功を奏し、ついこの間まで、レナはルイスの婚約者だったのだ。

 それが今、第一王女のレナは肖像画だけの存在になり、ルリアーナ城で微笑んでいる。ルイスはその肖像画を飾ったレナの部屋だった場所で、リブニケ王国との書簡のやり取りを振り返っていた。

 レナが存命だった頃、ルイスはルリアーナ王国とリブニケ王国の関係性についての情報を持たなかった。ルリアーナの王族がリブニケの王族から派生しているらしい、という話を小耳に挟んだ程度で、それ以上踏み込んだ事実を掴むことは出来なかったからだ。

 ところが、ルイスがルリアーナに入ってからというもの、次々と事情が分かり始めたのだ。

 以前、王女に手をかけようとしたメイソンを筆頭に、女王・王女信仰をしていたルリアーナ正教会の活動費は、リブニケ王国の有力者たちからの支援で成り立っていた。
 リブニケ王国は、いざとなったらポテンシア王国に攻め込めるよう、ルリアーナとの関係を維持しておきたかったらしい。

 ルイスがそれを把握できたのは、ルリアーナ正教会が信仰対象の王女を失って閉鎖寸前の立場になっていく段階で、支援者だったリブニケ王国の王族と貴族の動きを掴めたからだ。

 最初にその情報を掴んだ時、裏側にいたリブニケ王国の有力者はルイスを消そうとした。
 自分たちこそルリアーナを掌握するはずだと思っていたリブニケ王国の支援者たちは、反ポテンシアの姿勢でルイスに向かってきた。
 が、ルイスはあっさりとリブニケ王国の手の者たちを撃退し、リブニケ王国に接触した。

『私はポテンシア人で第四王子だが、ポテンシア国王を誰よりも憎み、滅ぼそうとしている』

 ルイスのその想いは、リブニケ人に通じた。婚約者を亡くしルリアーナを愛した不憫な若者のために、ルリアーナの地にリブニケ人兵士たちが集うようになった。

 ルイスが統治をするようになってからのルリアーナは、豊かな農業国としての姿とはだいぶ様子が違ってきている。
 ルイスの育てた衛兵たちと、リブニケ王国からやってきている精鋭たちが、日頃からルリアーナ内の治安のために働くようになっていた。

 ルイスは軍事を持たせた途端、愛するルリアーナの治安が悪くなる心配もした。しかしリブニケ王国から来た兵士たちの素行は思った以上に礼儀正しく、ポテンシアで漏れ聞こえて来る悪評を疑いたくなるほどに優秀だった。

 ルイスも、リブニケ人も目的は同じだった。

 ポテンシア国王を討つ。

 ルイスにとってほぼ怨恨に近いこの目的は、達成に向かって着々と準備が進められていた。
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