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第7章 争いの種はやがて全てを巻き込んで行く
離れていても、愛してる
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カイが駐屯地の計画のために旅立ってから、レナがマクウェル家に身を寄せるようになって2週間が経った。
リリスの両親はルリアーナの王女だというレナに最初こそ大きく驚いていたが、すっかり普通にレナと接するようになっている。
「リリス、何か要るものがあったら言ってね。身体第一で今はゆっくり休んで」
レナがリリスの世話をすることも多くなり、レナは人生で初めて看護というものを経験していた。
リリスは懐妊してから何度か起き上がれない日を過ごすようになり、精神的にも弱ってしまうことが増えていた。
その度にレナはリリスの手を握ってルリアーナの民謡や童謡を歌い、リリスを落ち着けている。
呪術の力を含んだレナの歌は、リリスの精神を鎮めて身体の不調すら癒した。
そんな様子を目の当たりにしたシンは、レナの能力に度々驚いていた。
「人が2人も1つの身体に同居しているんだもの、それは不調も起こるでしょうね。魂同士がぶつかったりもするわ」
レナは呪術師らしく、時折そんなことを口走って、常人には見えないものを見ているようだった。
「レナって、カイには勿体ないわね」
リリスがベッドで横になったままレナを褒めると、「逆じゃなくて?」とレナは目を丸くした。
「きっと、カイはレナのお陰で毎日幸せだったんだろうな。私、レナが来てくれて良かったもの」
リリスがそう言って喜ぶ度、レナはリリスのことを好きになった。
マクウェル家の人も、シンも、レナにとってかけがえのない人になっていく。
「カイは、私を孤独から何度も救ってくれたのよ」
レナがリリスにそう説明する度、リリスは「実際は逆っぽいけど」と笑う。マクウェル家には穏やかで幸せな時間が流れていた。
「シン……レナって、不思議な子ね。誰より気高くも見えるのに、とても素朴で、一緒にいると落ち着くの。怒らないから正直に言って欲しいんだけど、シンの好みど真ん中でしょ、あの人の外見」
「まあ……見た目はね?」
「言っておくけど、レナは性格も私より良いわ」
リリスとシンが2人きりでレナの話をする。
リリスの腹部が少しだけ目立ってきているのをシンは何度もさすりながら、「性格に優劣なんてないし、リリスの性格が好きなんだけどな」と笑った。
「レナさんにお手紙みたい。あら、カイ・ハウザーからじゃない」
その日、リリスの母がそう言って届いた手紙の差出人を確認してニコニコしていた。
レナはカイから手紙をもらったのは初めてだった。
レナは差出人のカイの名前に、初めて見る恋人の字が角ばった硬そうな癖があるのを嬉しそうに確認した。
ひとりでこっそり読みたい気がしつつも、何となくマクウェル家の人たちも内容が気になっているのが分かり、その場で開封して読むことにする。
『大切な人へ
レナ、すぐに迎えに行くと約束したのに、マクウェル家に頼り切ってしまうことになり、怒らせていないか、悲しませていないか心配している。こちらは、ようやく現場を離れられそうな見込みが出て来たところだ。それまで、少しの間だけ待っていて欲しい。すまない。離れているが、愛しているよ。
追伸、気付くと隣にレナの姿を探してしまって困っている。早く会いたい。
カイ・ハウザー』
レナがカイの手紙を読んでいる間、隣にいるリリスの母に音読されてレナは顔から火を噴きそうになっていた。
まさかカイもマクウェル家で手紙を晒されているとは思ってもいないだろう。
「やあだ。カイ・ハウザーってこんな手紙を書くのねえ。案外隅に置けないわあ」
「ママ、今はレナの彼なんだから、からかっちゃダメよ」
レナが何も言えずに真っ赤になっている隣で、リリスとその母がニヤニヤしている。
(嬉しい……嬉しい……でも……恥ずかしい!)
レナはカイの手紙を持って、マクウェル家で与えられている自室に逃げ込んだ。
カイの筆跡で書かれた「レナ」の文字を指でなぞると、恋人の姿を思い出す。
普段はあまり言葉をくれないカイが、手紙ではストレートに会いたいと寄越してきたことが、レナは幸せだった。
(私も……早く会いたい……)
レナはカイの手紙を胸に抱きしめて、離れた場所で自分を探してくれているらしい恋人を想う。
駐屯地にいるのであればこちらから手紙を出すことはできないが、もうすぐ会えるのであれば我慢しよう、と前向きになれた。
(『離れていても、愛しているよ』って、カイが書いたの? 本当に?)
リリスの両親はルリアーナの王女だというレナに最初こそ大きく驚いていたが、すっかり普通にレナと接するようになっている。
「リリス、何か要るものがあったら言ってね。身体第一で今はゆっくり休んで」
レナがリリスの世話をすることも多くなり、レナは人生で初めて看護というものを経験していた。
リリスは懐妊してから何度か起き上がれない日を過ごすようになり、精神的にも弱ってしまうことが増えていた。
その度にレナはリリスの手を握ってルリアーナの民謡や童謡を歌い、リリスを落ち着けている。
呪術の力を含んだレナの歌は、リリスの精神を鎮めて身体の不調すら癒した。
そんな様子を目の当たりにしたシンは、レナの能力に度々驚いていた。
「人が2人も1つの身体に同居しているんだもの、それは不調も起こるでしょうね。魂同士がぶつかったりもするわ」
レナは呪術師らしく、時折そんなことを口走って、常人には見えないものを見ているようだった。
「レナって、カイには勿体ないわね」
リリスがベッドで横になったままレナを褒めると、「逆じゃなくて?」とレナは目を丸くした。
「きっと、カイはレナのお陰で毎日幸せだったんだろうな。私、レナが来てくれて良かったもの」
リリスがそう言って喜ぶ度、レナはリリスのことを好きになった。
マクウェル家の人も、シンも、レナにとってかけがえのない人になっていく。
「カイは、私を孤独から何度も救ってくれたのよ」
レナがリリスにそう説明する度、リリスは「実際は逆っぽいけど」と笑う。マクウェル家には穏やかで幸せな時間が流れていた。
「シン……レナって、不思議な子ね。誰より気高くも見えるのに、とても素朴で、一緒にいると落ち着くの。怒らないから正直に言って欲しいんだけど、シンの好みど真ん中でしょ、あの人の外見」
「まあ……見た目はね?」
「言っておくけど、レナは性格も私より良いわ」
リリスとシンが2人きりでレナの話をする。
リリスの腹部が少しだけ目立ってきているのをシンは何度もさすりながら、「性格に優劣なんてないし、リリスの性格が好きなんだけどな」と笑った。
「レナさんにお手紙みたい。あら、カイ・ハウザーからじゃない」
その日、リリスの母がそう言って届いた手紙の差出人を確認してニコニコしていた。
レナはカイから手紙をもらったのは初めてだった。
レナは差出人のカイの名前に、初めて見る恋人の字が角ばった硬そうな癖があるのを嬉しそうに確認した。
ひとりでこっそり読みたい気がしつつも、何となくマクウェル家の人たちも内容が気になっているのが分かり、その場で開封して読むことにする。
『大切な人へ
レナ、すぐに迎えに行くと約束したのに、マクウェル家に頼り切ってしまうことになり、怒らせていないか、悲しませていないか心配している。こちらは、ようやく現場を離れられそうな見込みが出て来たところだ。それまで、少しの間だけ待っていて欲しい。すまない。離れているが、愛しているよ。
追伸、気付くと隣にレナの姿を探してしまって困っている。早く会いたい。
カイ・ハウザー』
レナがカイの手紙を読んでいる間、隣にいるリリスの母に音読されてレナは顔から火を噴きそうになっていた。
まさかカイもマクウェル家で手紙を晒されているとは思ってもいないだろう。
「やあだ。カイ・ハウザーってこんな手紙を書くのねえ。案外隅に置けないわあ」
「ママ、今はレナの彼なんだから、からかっちゃダメよ」
レナが何も言えずに真っ赤になっている隣で、リリスとその母がニヤニヤしている。
(嬉しい……嬉しい……でも……恥ずかしい!)
レナはカイの手紙を持って、マクウェル家で与えられている自室に逃げ込んだ。
カイの筆跡で書かれた「レナ」の文字を指でなぞると、恋人の姿を思い出す。
普段はあまり言葉をくれないカイが、手紙ではストレートに会いたいと寄越してきたことが、レナは幸せだった。
(私も……早く会いたい……)
レナはカイの手紙を胸に抱きしめて、離れた場所で自分を探してくれているらしい恋人を想う。
駐屯地にいるのであればこちらから手紙を出すことはできないが、もうすぐ会えるのであれば我慢しよう、と前向きになれた。
(『離れていても、愛しているよ』って、カイが書いたの? 本当に?)
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