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第9章 知ってしまったから
共に在りたい
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カイは暗がりの中で目を覚ました。身体が動かず、目だけが開く。口の中に水を感じて、何だろうかと不思議に思うと、レナの姿が目に入った。
レナは木のコップを持っていたが、カイの目が開いたのを見るとコップを置き、仰向けのカイに覆いかぶさる形で抱き付く。
「カイ・・! 目が・・覚めたの・・?」
カイは声を発しようとしたが、それすらも叶わなかった。自分の上に乗っているレナを抱きしめようとしても、身体が全く動かない。
(『気』を失ったせいか・・)
せいぜい目を動かす程度の動きしか行えないことが分かると、レナの『気』を探った。
(良かった・・元気そうだ)
普段通りの様子を確認してカイは安堵する。レナは目だけを動かすカイを眺めて、恐らくまだ身体は動かないのだろうと理解した。
「良かった・・あなたが、目を覚ましてくれた・・」
レナは涙を浮かべながらそう言うと、カイの頬に自分の頬を当てる。普段よりレナの頬が随分と温かく、カイの頬は冷たかった。
「心配したのよ? それに、とても・・悲しかった」
耳元でそう呟いたレナに、カイは胸が締め付けられる。
謝りたいのに、声が出せない。悲しませてすまなかったと言えないもどかしさに、カイはぐっと目を瞑って悔やんだ。
「それに、あなた・・自分で水すら飲めないんだもの・・」
カイは何を責められているのかよく分からなかったが、レナがそのまま言葉を繋げた。
「昨日からずっと、水も食料も私が口移ししてるのよ? おかしいじゃないの・・こんなの・・。まだ動けないんでしょ? きっと、暫く同じことを続けるわよ?」
レナの口が尖っている。それを見て、カイはああそうかと思い出した。
目を覚ます直前に、責められたばかりだ。
カイはレナの怒った顔を見て、思わず目元で笑う。
「何で笑ってるのよ? あなたのせいよ。私・・こんな形で一方的に唇を奪うようなことをしても、ちっとも嬉しくないんだから・・」
レナの目に、じわじわと涙が溜まって行く。それを隠すように、レナはしがみついているカイの身体に涙を擦りつけた。
カイは身体を動かすことは叶わなかったが、涙がじんわりと服の胸元に広がって行くのが分かる。
(早く・・少しだけでも動けるようにならなければな)
カイは身体を震わせて泣いているレナを前に、何も出来ない自分を悔やむ。
声すら掛けられない。背中をさすることすらできない。
(そんなことで、泣く必要はない・・)
カイはレナの涙を止めたかった。その術を持たない今の自分がもどかしい。
(夢の中で触れて・・ずっとはぐらかしてきた罪を知った。もうこれからは、そんなことで悩ませたりしない)
レナは暫く泣いていたが、そのうち落ち着いたのか泣き止んだ。顔を上げてカイを覗き込む。
「ずっと怒っていたの。こんなことになって・・。でもね、あなたが目を覚ましてくれたんだと思ったら、もうどうでも良くなってきたわ」
レナはいつもの笑顔を浮かべた。
「おかえりなさい、カイ」
ずっと張りつめていた気持ちをようやく解放し、嬉しそうな顔で大粒の涙を零していた。
レナは木のコップを持っていたが、カイの目が開いたのを見るとコップを置き、仰向けのカイに覆いかぶさる形で抱き付く。
「カイ・・! 目が・・覚めたの・・?」
カイは声を発しようとしたが、それすらも叶わなかった。自分の上に乗っているレナを抱きしめようとしても、身体が全く動かない。
(『気』を失ったせいか・・)
せいぜい目を動かす程度の動きしか行えないことが分かると、レナの『気』を探った。
(良かった・・元気そうだ)
普段通りの様子を確認してカイは安堵する。レナは目だけを動かすカイを眺めて、恐らくまだ身体は動かないのだろうと理解した。
「良かった・・あなたが、目を覚ましてくれた・・」
レナは涙を浮かべながらそう言うと、カイの頬に自分の頬を当てる。普段よりレナの頬が随分と温かく、カイの頬は冷たかった。
「心配したのよ? それに、とても・・悲しかった」
耳元でそう呟いたレナに、カイは胸が締め付けられる。
謝りたいのに、声が出せない。悲しませてすまなかったと言えないもどかしさに、カイはぐっと目を瞑って悔やんだ。
「それに、あなた・・自分で水すら飲めないんだもの・・」
カイは何を責められているのかよく分からなかったが、レナがそのまま言葉を繋げた。
「昨日からずっと、水も食料も私が口移ししてるのよ? おかしいじゃないの・・こんなの・・。まだ動けないんでしょ? きっと、暫く同じことを続けるわよ?」
レナの口が尖っている。それを見て、カイはああそうかと思い出した。
目を覚ます直前に、責められたばかりだ。
カイはレナの怒った顔を見て、思わず目元で笑う。
「何で笑ってるのよ? あなたのせいよ。私・・こんな形で一方的に唇を奪うようなことをしても、ちっとも嬉しくないんだから・・」
レナの目に、じわじわと涙が溜まって行く。それを隠すように、レナはしがみついているカイの身体に涙を擦りつけた。
カイは身体を動かすことは叶わなかったが、涙がじんわりと服の胸元に広がって行くのが分かる。
(早く・・少しだけでも動けるようにならなければな)
カイは身体を震わせて泣いているレナを前に、何も出来ない自分を悔やむ。
声すら掛けられない。背中をさすることすらできない。
(そんなことで、泣く必要はない・・)
カイはレナの涙を止めたかった。その術を持たない今の自分がもどかしい。
(夢の中で触れて・・ずっとはぐらかしてきた罪を知った。もうこれからは、そんなことで悩ませたりしない)
レナは暫く泣いていたが、そのうち落ち着いたのか泣き止んだ。顔を上げてカイを覗き込む。
「ずっと怒っていたの。こんなことになって・・。でもね、あなたが目を覚ましてくれたんだと思ったら、もうどうでも良くなってきたわ」
レナはいつもの笑顔を浮かべた。
「おかえりなさい、カイ」
ずっと張りつめていた気持ちをようやく解放し、嬉しそうな顔で大粒の涙を零していた。
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