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第11章 歴史を変える
迷いと器
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朝になり、レナはカイの腕枕で目を覚ます。
すでに目が開いているカイと目が合うと、「おはよう」を小さな声で言い合って軽いキスをした。
2人にとって、一緒に起きる朝は穏やかな幸せに包まれて始まるのがいつものことだった。
この日は、カイの眼差しに切なさが入り混じっている。
「今日、アウルに行ったら……ルリアーナに向かうの?」
「……そうだな」
カイに残された時間も、あと僅かだ。
レナを城に戻してしまったら、こうして朝を迎えることもできなくなってしまうのだろう。
「具合でも、悪い?」
明らかに沈んだ様子で身支度をしているカイを見て、レナが心配そうに声を掛けた。
「いや、気にしないでくれ」
そうは言うけど……とレナは不満げに自分の身支度を始める。
カイが落ち込んでいるのは珍しく、放っておくことなどできそうにない。
「昨日の夜、何か変な物でも食べたかしら?」
「食当たりの症状はないから心配するな」
相変わらずの態度に、レナはついムキになってしまう。
「ねえ」
カイの腕にしがみついて、自分の方へ意識を向けさせようとした。
「どうしたの? さっきから変よ」
カイは落ち込んでいながら、苛ついてもいた。どうにもならない、行き場のない気持ちが溢れてくる。
「何でもない」
「そんなわけないでしょう?」
心配するレナに、何が分かる、と言ってしまいそうになる。カイはそんな自分に一番腹が立った。
「……もう、恋人同士の時間は終わるのだなと思っただけだ」
「終わらないわ。終わらせないもの」
カイが半ば諦めた調子で言ったのに、レナは全く動じずに否定をした。
「あなたに私の護衛を任せても、恋人同士のままよ」
カイは自分の腕にしがみついてハッキリと言い切ったレナを見る。
「私を諦めないって約束はどうなるの? 昨日あなたは、『承知した』って言ったわ」
レナに責められカイは詰まる。
こういうところが堪らなく好きだと思うのに、心が無傷ではいられない。
「身分が、違い過ぎる。レナが女王になってしまったら、異国の下級貴族の身では——」
「黙りなさい!」
急に大きな声で命令を食らい、カイは固まった。
「私は、あなたしか好きになれない。あなたのことしか欲しくない。カイじゃなきゃダメよ。あなた以外の人を受け入れる人生なんて――」
レナが必死になっているのが分かった。カイは腕にしがみつくレナの顎を持ち上げる。
泣きそうな顔が、怒りながらカイを見据えていた。
「他の誰かを受け入れろなんて、誰が言った?」
カイは小さく笑って唇を重ねる。
不安を吐露してしまうと、レナには「叱られる」の一択らしい。
相変わらず強い恋人に、カイは叱咤されるだけだった。
「レナが大切だと思い知らされるたびに、失う不安がつきまとう」
カイはレナの瞼や頬にも唇を当てて、自分の奥にある弱い感情を吐き出した。
「あなたとの未来を、ちゃんと作って行くつもり。まだ、手探りだとしても……」
レナには迷いがない。
「頼もしいな」
後悔などしないと言い切るようなレナが、これから進む道なのだ。
人を導くような王の器に、カイもまた導かれていくのかもしれない。
「あなたが、そんな弱気だなんて意外よ」
レナはそう言うとカイに出発を促す。
カイは一度レナを強く抱きしめてから解放し、荷物を背負って部屋を後にした。
すでに目が開いているカイと目が合うと、「おはよう」を小さな声で言い合って軽いキスをした。
2人にとって、一緒に起きる朝は穏やかな幸せに包まれて始まるのがいつものことだった。
この日は、カイの眼差しに切なさが入り混じっている。
「今日、アウルに行ったら……ルリアーナに向かうの?」
「……そうだな」
カイに残された時間も、あと僅かだ。
レナを城に戻してしまったら、こうして朝を迎えることもできなくなってしまうのだろう。
「具合でも、悪い?」
明らかに沈んだ様子で身支度をしているカイを見て、レナが心配そうに声を掛けた。
「いや、気にしないでくれ」
そうは言うけど……とレナは不満げに自分の身支度を始める。
カイが落ち込んでいるのは珍しく、放っておくことなどできそうにない。
「昨日の夜、何か変な物でも食べたかしら?」
「食当たりの症状はないから心配するな」
相変わらずの態度に、レナはついムキになってしまう。
「ねえ」
カイの腕にしがみついて、自分の方へ意識を向けさせようとした。
「どうしたの? さっきから変よ」
カイは落ち込んでいながら、苛ついてもいた。どうにもならない、行き場のない気持ちが溢れてくる。
「何でもない」
「そんなわけないでしょう?」
心配するレナに、何が分かる、と言ってしまいそうになる。カイはそんな自分に一番腹が立った。
「……もう、恋人同士の時間は終わるのだなと思っただけだ」
「終わらないわ。終わらせないもの」
カイが半ば諦めた調子で言ったのに、レナは全く動じずに否定をした。
「あなたに私の護衛を任せても、恋人同士のままよ」
カイは自分の腕にしがみついてハッキリと言い切ったレナを見る。
「私を諦めないって約束はどうなるの? 昨日あなたは、『承知した』って言ったわ」
レナに責められカイは詰まる。
こういうところが堪らなく好きだと思うのに、心が無傷ではいられない。
「身分が、違い過ぎる。レナが女王になってしまったら、異国の下級貴族の身では——」
「黙りなさい!」
急に大きな声で命令を食らい、カイは固まった。
「私は、あなたしか好きになれない。あなたのことしか欲しくない。カイじゃなきゃダメよ。あなた以外の人を受け入れる人生なんて――」
レナが必死になっているのが分かった。カイは腕にしがみつくレナの顎を持ち上げる。
泣きそうな顔が、怒りながらカイを見据えていた。
「他の誰かを受け入れろなんて、誰が言った?」
カイは小さく笑って唇を重ねる。
不安を吐露してしまうと、レナには「叱られる」の一択らしい。
相変わらず強い恋人に、カイは叱咤されるだけだった。
「レナが大切だと思い知らされるたびに、失う不安がつきまとう」
カイはレナの瞼や頬にも唇を当てて、自分の奥にある弱い感情を吐き出した。
「あなたとの未来を、ちゃんと作って行くつもり。まだ、手探りだとしても……」
レナには迷いがない。
「頼もしいな」
後悔などしないと言い切るようなレナが、これから進む道なのだ。
人を導くような王の器に、カイもまた導かれていくのかもしれない。
「あなたが、そんな弱気だなんて意外よ」
レナはそう言うとカイに出発を促す。
カイは一度レナを強く抱きしめてから解放し、荷物を背負って部屋を後にした。
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