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2章
情愛
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上の階まで繋がっている階段。この続きにユリシーズがいる。
「帰ってきたのですか……?」
力のない声がした。今まで聞いたことがない弱弱しい声。
「帰ってきました。あなたは大丈夫なの?」
「いいえ。全く大丈夫ではありません」
きっぱりと言われて違和感を覚える。なにかしら、この感じ。
「昨日……公爵家の庭に来たのは……」
「ノクスです」
「撃たれたって聞いたの。私も遠くから見ていたけれど……」
恐る恐る階段を上っていくと、降りてきたユリシーズが私を目に入れて……そして大粒の涙を目からこぼした。
「どうして泣いているの?」
「もう、二度と会えないかと……私がどれだけ泣き暮らしていたか……」
「ワンって鳴いたの?」
「……いえ。その『鳴く』ではなく」
ユリシーズは素早く階段を降りてきた。無言でひょいと軽く抱き上げられて濡れた目で私を運んでいく。銃に撃たれたところはどうなっているのかしら。
「あの、ユリシーズ」
「絶対に公爵家になんか帰らせません」
「……私が油断したの。ごめんなさい」
ユリシーズの横顔が見える。はっきりと隈ができていて、目も充血していて……。
「私がいなくなって、眠れなかった?」
「当り前じゃないですか」
怒った顔をしている。何に怒っているかは、まだ分からない。
「私も、昨日は眠れなかった」
「昨日だけですか?」
冷たい声でそう言うと、ユリシーズは私を片手で抱えたまま部屋の扉を開ける。
器用ね、と思っているとそのまま私を運び……ベッドの上に放り投げた。
「お互い寝不足のようですね。いまから寝ます」
「は??」
「私はアイリーンがいないと眠れない身体になってしまいました。これからアイリーンを抱きしめて寝ます」
「……別に、いいわよ」
なんなら、撫でて寝かしつけてあげてもいいけれど、と言いそうになってやめた。
久しぶりのベッドに転がされた私に、ユリシーズの身体が被さってきたから。
「この家の至る所に貴女の匂いが残っているのに、姿がないのは辛かったです。人狼が伴侶を追って衰弱死してしまう理由が分かりました。愛する伴侶を身近に感じてその姿を探してしまう。生きるのが辛すぎます」
ぎゅうっと上から彼の重みがかかる。身体の奥がビリビリと痺れて、自分が溶けてしまいそう。
好きな人に抱きしめられる感覚を、久しぶりに思い出した。
「それで眠れなかったのね。今日はゆっくり寝られそう?」
「眠るのが惜しいですが、辛くて眠れない日々とは決別できそうです」
「そう」
これから一緒に眠るのであれば、このドレスを着たままでは無理だ。
「後ろの紐を解いてくれる? このままじゃ苦しいの」
ユリシーズは体重をかけたまま私の背に手を回して、そっと私の唇に唇を重ねた。背中の紐を探りながら、確かめるように何度も口づけを繰り返す。
解く紐を探り当てると、私のドレスは簡単に緩んだ。
まずい。ドレスで寝るのは無理だと思ってお願いしたものの、それがユリシーズに服を脱がせてとお願いしたのだといまさら気付く。
「ちょっ……んんっ」
待って、と言ったのに、口を塞がれて伝わらない。ユリシーズの熱にあてられて何も考えられなくなりそうだけど、このまま流されたら大変な姿をさらす羽目になってしまう。
ドレスを抱えるようにして胸元を抑えると、荒い息が耳をくすぐった。
「抱きしめて眠るだけのつもりだったのに、どうして貴女は……」
「わ、私だってそのつもりで……」
さらに、ドレスの下に着ているコルセットのことを忘れていた。
これを脱がずに眠るのは無理だ。でも、コルセットを外したらほぼ裸になってしまう。それはまずい。非常にまずい。
だけど、目の下に隈があるユリシーズを見て一刻も早く寝なくちゃとも思う。
どうしよう。どうしたらいいの。
「私のバスローブを貸しますから、中に着ている硬い下着を脱いで着替えてください。下着の紐を解くところまでは手伝います」
「ありがとう」
「狙ったわけではないのですよね? 私が暴走してしまったらどうするつもりだったのですか……」
私を起き上がらせて、ユリシーズはコルセットの紐を解く。
ベッドから立ち上がって、項垂れながらベッド脇にあった紺色のバスローブを差し出してきた。
「これを」
片手で胸元を抑えたまま、バスローブを受け取る。
この人が暴走したらどうなるのか見てみたい、と思った。
本当は何をしたかったのかを知りたくて、だから、私の本能はユリシーズを欲しているのかもしれない。
公爵家に狙われていると分かった今、そんなこと考えていたらいけないのに。
ユリシーズもガウンに着替えるらしく、私に背を向けて服を脱ぎ始めた。
その隙にドレスとコルセットも下着も全て脱ぎ捨ててバスローブだけを羽織る。柔らかい綿の肌触りが良くて素肌に気持ちがいい。
「もう大丈夫よ」
シャツを脱ぎかけていたユリシーズが振り返って、私を見た途端ぶわっと赤くなる。
「?」
「貴女という人は……」
そう言ってまた背を向けてしまった。
ディエスは純情というか、すぐ照れてしまうらしい。
「どうしてそんなに恥ずかしがっているの?」
「私の気持ちを知りながら、そんな恰好をするなんて……」
あなたに渡されたバスローブを羽織っただけじゃないの。
確かに胸が際どいところまで見えているかもしれないけれど、私の育った地域ではこのくらいなら下品でも性的でもなかった。足だけは絶対に出すなと言われていたけれど。
「ちゃんと隠しています」
「もしかして、今までそんな姿を他人に晒してきたのですか?」
「いいえ? 人前で下着を外したのは初めてよ」
「……今の状態を想像してしまったじゃないですか」
後ろ姿のユリシーズは、耳が真っ赤になっている。
ああ、帰ってきた、と思った。
「あなた」
そっと後ろから抱き着くと、ユリシーズは身体をこわばらせる。
ごくりと生唾を飲み込んだ音がした。
「ずっと会いたかった。胸にあなたの手紙を隠して帰ってきたのよ」
その手紙は、脱いだ服の上に置いている。
「アイリーンがいることがどれだけ幸せか。もうどこにも行かないでください」
「私だって、どこにも行きたくなかった」
思わず口を尖らせる。自分の意思で公爵家に行ったわけではないし、そもそもユリシーズと離れなければペトラに捕まることもなかった。
そういえば、ペトラに事情を聞いたりしたのかしら。
ユリシーズはこちらに向き直って私の頬に触れる。ボタンを外したシャツから素肌が覗いていた。
そういえば、昨日撃たれたはずでは……?
「撃たれたところは?」
「ええ。怪我には至りませんでした」
「?」
怪我に至らなかった……?
それってどういうこと……?
「どうやら撃たれたのはこの辺だったようですが、内出血痕すら残りませんでしたね」
そう言ってユリシーズがはだけた腹部をさする。
怪我を見ようとして彫刻のような身体をハッキリ見てしまった。顔が熱い。
「満月と新月の夜、人狼は銀製の武器を使わないと怪我をさせるのも難しいのです」
「……そうなの?」
「だから、あなたの元に向かいました。狼化したノクスには銃弾も剣も効きません」
「最初から教えていてくれたらよかったのに。無駄に心配しちゃったじゃないの」
「いや、まさかこんな事態になるとは思わなかったので」
「満月の前に生き血を飲むのは、狼化しないために?」
「不便ですからね。1日だけだとはいえ」
「かわいいのに」
「……」
「なによ?」
「妬けます」
潤ませた目が真剣に訴えてくるから、なんて言葉をかければいいのか迷ってしまう。
「貴女には私を見ていて欲しいのです」
「……見ているけれど、ディエスに対しては男の人を意識してしまうもの」
狼が相手だとかわいいだけなのに、ディエスの見た目は完全に男性だから……。
「意識、ですか……?」
「そうよ。恥ずかしくてまともに見られないし、抱きしめられただけで私は全身が心臓になったみたいになるし、どうしたらいいのか……」
正直に白状をした。素直になったつもりで。
ユリシーズは切なげな顔を浮かべると、私を抱きしめる。
そして私はまた抱き上げられ、ベッドの上に身体が沈んだ。
「もう、我慢をするのは止めてもいいですか?」
シャツを脱いだユリシーズに抱きしめられ、耳元の言葉に怖気づいてしまいそう。
素肌が触れ合うと、服を着たまま抱きしめられるよりもずっと心地いい感覚に息が漏れる。きっと、私の全身は彼に触れたがっているのだと思う。
「ユリシーズ……」
相手は夫で、私は彼が好きで、彼は私を愛している。
どうなっても、後悔はしないーー。
本当は、その愛を受け止めてみたいと思っていた。
離れてみて、思い知ったの。
あなたの妻として、もう少し踏み込んだ関係になりたい。
私はそっとうなずいて、ユリシーズの耳に口づけをした。
「帰ってきたのですか……?」
力のない声がした。今まで聞いたことがない弱弱しい声。
「帰ってきました。あなたは大丈夫なの?」
「いいえ。全く大丈夫ではありません」
きっぱりと言われて違和感を覚える。なにかしら、この感じ。
「昨日……公爵家の庭に来たのは……」
「ノクスです」
「撃たれたって聞いたの。私も遠くから見ていたけれど……」
恐る恐る階段を上っていくと、降りてきたユリシーズが私を目に入れて……そして大粒の涙を目からこぼした。
「どうして泣いているの?」
「もう、二度と会えないかと……私がどれだけ泣き暮らしていたか……」
「ワンって鳴いたの?」
「……いえ。その『鳴く』ではなく」
ユリシーズは素早く階段を降りてきた。無言でひょいと軽く抱き上げられて濡れた目で私を運んでいく。銃に撃たれたところはどうなっているのかしら。
「あの、ユリシーズ」
「絶対に公爵家になんか帰らせません」
「……私が油断したの。ごめんなさい」
ユリシーズの横顔が見える。はっきりと隈ができていて、目も充血していて……。
「私がいなくなって、眠れなかった?」
「当り前じゃないですか」
怒った顔をしている。何に怒っているかは、まだ分からない。
「私も、昨日は眠れなかった」
「昨日だけですか?」
冷たい声でそう言うと、ユリシーズは私を片手で抱えたまま部屋の扉を開ける。
器用ね、と思っているとそのまま私を運び……ベッドの上に放り投げた。
「お互い寝不足のようですね。いまから寝ます」
「は??」
「私はアイリーンがいないと眠れない身体になってしまいました。これからアイリーンを抱きしめて寝ます」
「……別に、いいわよ」
なんなら、撫でて寝かしつけてあげてもいいけれど、と言いそうになってやめた。
久しぶりのベッドに転がされた私に、ユリシーズの身体が被さってきたから。
「この家の至る所に貴女の匂いが残っているのに、姿がないのは辛かったです。人狼が伴侶を追って衰弱死してしまう理由が分かりました。愛する伴侶を身近に感じてその姿を探してしまう。生きるのが辛すぎます」
ぎゅうっと上から彼の重みがかかる。身体の奥がビリビリと痺れて、自分が溶けてしまいそう。
好きな人に抱きしめられる感覚を、久しぶりに思い出した。
「それで眠れなかったのね。今日はゆっくり寝られそう?」
「眠るのが惜しいですが、辛くて眠れない日々とは決別できそうです」
「そう」
これから一緒に眠るのであれば、このドレスを着たままでは無理だ。
「後ろの紐を解いてくれる? このままじゃ苦しいの」
ユリシーズは体重をかけたまま私の背に手を回して、そっと私の唇に唇を重ねた。背中の紐を探りながら、確かめるように何度も口づけを繰り返す。
解く紐を探り当てると、私のドレスは簡単に緩んだ。
まずい。ドレスで寝るのは無理だと思ってお願いしたものの、それがユリシーズに服を脱がせてとお願いしたのだといまさら気付く。
「ちょっ……んんっ」
待って、と言ったのに、口を塞がれて伝わらない。ユリシーズの熱にあてられて何も考えられなくなりそうだけど、このまま流されたら大変な姿をさらす羽目になってしまう。
ドレスを抱えるようにして胸元を抑えると、荒い息が耳をくすぐった。
「抱きしめて眠るだけのつもりだったのに、どうして貴女は……」
「わ、私だってそのつもりで……」
さらに、ドレスの下に着ているコルセットのことを忘れていた。
これを脱がずに眠るのは無理だ。でも、コルセットを外したらほぼ裸になってしまう。それはまずい。非常にまずい。
だけど、目の下に隈があるユリシーズを見て一刻も早く寝なくちゃとも思う。
どうしよう。どうしたらいいの。
「私のバスローブを貸しますから、中に着ている硬い下着を脱いで着替えてください。下着の紐を解くところまでは手伝います」
「ありがとう」
「狙ったわけではないのですよね? 私が暴走してしまったらどうするつもりだったのですか……」
私を起き上がらせて、ユリシーズはコルセットの紐を解く。
ベッドから立ち上がって、項垂れながらベッド脇にあった紺色のバスローブを差し出してきた。
「これを」
片手で胸元を抑えたまま、バスローブを受け取る。
この人が暴走したらどうなるのか見てみたい、と思った。
本当は何をしたかったのかを知りたくて、だから、私の本能はユリシーズを欲しているのかもしれない。
公爵家に狙われていると分かった今、そんなこと考えていたらいけないのに。
ユリシーズもガウンに着替えるらしく、私に背を向けて服を脱ぎ始めた。
その隙にドレスとコルセットも下着も全て脱ぎ捨ててバスローブだけを羽織る。柔らかい綿の肌触りが良くて素肌に気持ちがいい。
「もう大丈夫よ」
シャツを脱ぎかけていたユリシーズが振り返って、私を見た途端ぶわっと赤くなる。
「?」
「貴女という人は……」
そう言ってまた背を向けてしまった。
ディエスは純情というか、すぐ照れてしまうらしい。
「どうしてそんなに恥ずかしがっているの?」
「私の気持ちを知りながら、そんな恰好をするなんて……」
あなたに渡されたバスローブを羽織っただけじゃないの。
確かに胸が際どいところまで見えているかもしれないけれど、私の育った地域ではこのくらいなら下品でも性的でもなかった。足だけは絶対に出すなと言われていたけれど。
「ちゃんと隠しています」
「もしかして、今までそんな姿を他人に晒してきたのですか?」
「いいえ? 人前で下着を外したのは初めてよ」
「……今の状態を想像してしまったじゃないですか」
後ろ姿のユリシーズは、耳が真っ赤になっている。
ああ、帰ってきた、と思った。
「あなた」
そっと後ろから抱き着くと、ユリシーズは身体をこわばらせる。
ごくりと生唾を飲み込んだ音がした。
「ずっと会いたかった。胸にあなたの手紙を隠して帰ってきたのよ」
その手紙は、脱いだ服の上に置いている。
「アイリーンがいることがどれだけ幸せか。もうどこにも行かないでください」
「私だって、どこにも行きたくなかった」
思わず口を尖らせる。自分の意思で公爵家に行ったわけではないし、そもそもユリシーズと離れなければペトラに捕まることもなかった。
そういえば、ペトラに事情を聞いたりしたのかしら。
ユリシーズはこちらに向き直って私の頬に触れる。ボタンを外したシャツから素肌が覗いていた。
そういえば、昨日撃たれたはずでは……?
「撃たれたところは?」
「ええ。怪我には至りませんでした」
「?」
怪我に至らなかった……?
それってどういうこと……?
「どうやら撃たれたのはこの辺だったようですが、内出血痕すら残りませんでしたね」
そう言ってユリシーズがはだけた腹部をさする。
怪我を見ようとして彫刻のような身体をハッキリ見てしまった。顔が熱い。
「満月と新月の夜、人狼は銀製の武器を使わないと怪我をさせるのも難しいのです」
「……そうなの?」
「だから、あなたの元に向かいました。狼化したノクスには銃弾も剣も効きません」
「最初から教えていてくれたらよかったのに。無駄に心配しちゃったじゃないの」
「いや、まさかこんな事態になるとは思わなかったので」
「満月の前に生き血を飲むのは、狼化しないために?」
「不便ですからね。1日だけだとはいえ」
「かわいいのに」
「……」
「なによ?」
「妬けます」
潤ませた目が真剣に訴えてくるから、なんて言葉をかければいいのか迷ってしまう。
「貴女には私を見ていて欲しいのです」
「……見ているけれど、ディエスに対しては男の人を意識してしまうもの」
狼が相手だとかわいいだけなのに、ディエスの見た目は完全に男性だから……。
「意識、ですか……?」
「そうよ。恥ずかしくてまともに見られないし、抱きしめられただけで私は全身が心臓になったみたいになるし、どうしたらいいのか……」
正直に白状をした。素直になったつもりで。
ユリシーズは切なげな顔を浮かべると、私を抱きしめる。
そして私はまた抱き上げられ、ベッドの上に身体が沈んだ。
「もう、我慢をするのは止めてもいいですか?」
シャツを脱いだユリシーズに抱きしめられ、耳元の言葉に怖気づいてしまいそう。
素肌が触れ合うと、服を着たまま抱きしめられるよりもずっと心地いい感覚に息が漏れる。きっと、私の全身は彼に触れたがっているのだと思う。
「ユリシーズ……」
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