41 / 107
< 本編 >
41.そのままの、君でいて
しおりを挟む今日は入学式の翌日の金曜、という事で特に講義がある訳でもなく。
午前中は学院内の自由行動だった。
俺は、祥くんと咲耶と3人で、咲耶に教えてもらいながら、色々なところを周った。
ほんとにこの学院は広すぎる。俺、多分ここにある施設、全部覚えきれない気がする……
咲耶は、この学院の施設の配置を全部覚えてるみたいで(すごすぎん?)、行きたくても場所が分からないとこあったらいつでも言ってくれ、と快活な様は、とても頼もしかった。
お昼休憩は……まあ、色々あり……(給湯室は壁が薄い。ほんとに、気をつけたいと、思いました)(小並感)
午後からは、1年生が多目的ルームに集まって、クラスもぐちゃぐちゃにグループワークをした。
何人かのβにも会えて、嬉しかったなあ。
グループワーク後は自由時間だったため、接点のない生徒と話をしたり、ケーキや、アフタヌーンティーを楽しんだりしたりする生徒もいた。
俺は、他のβの生徒には、β枠に選出された事もあり、自己紹介をしなくても、名前を覚えられていて、話しかけてくれたβの子たちと楽しく会話をした。
あと、祥くんがαの生徒に恐ろしい程、言い寄られていたけど、物怖じせず、軽く遇らってて……!
俺が圭介さんにするべき態度は、祥くんなのかも……?!
祥くんの好みのタイプ、とか聞いたことないけど……祥くんなら、すぐ良い人が出来そうだ。
咲耶もモテまくってた。
祥くんに言い寄ってない、他のαやβは咲耶を取り囲んでいる。
咲耶、かっこいいもんなあ。咲耶の魅力は、圭介さんとは真逆な気がする。
この2人が同じクラスだったなら、そこにいる生徒は気が気じゃ無かっただろう。
この学年は、祥くんと咲耶で人気が二分しそうだ。
「……くそ。話しかけたいのに……誰の匂いか知らないけど……マーキング、きっつ……」
「俺も……!めっちゃ色気エグいから、声だけでも掛けたかったのに……!あれは、相当ヤバい相手がいるな。近寄んない方が、身のためだわ」
……?誰の、話だろ?こっち、俺しかいない、けど。
色気、なんて俺には微塵もない事が明らかだから、俺の事じゃない事は確かだけど……、α?であろうあの2人には俺に見えない誰かが見えてるんだろうか……こ、こわい。
俺、変な匂いしないよな?くんくん。うーん。特に臭くないような……
はっ!俺が気付いてないだけで、この匂いが、めちゃめちゃ臭い……?!
そうだったなら、ごめんなさい……!と去っていった彼らに心の中で両手を合わせて謝っておく。
ふわ、っと。
ここにいないのに、圭介さんのフランボワーズが香った気がした。
幻臭……?!俺、どれだけあの匂い好きなの……ヤバすぎる。
そこに、くつくつ笑いを殺しながら、咲耶がやってきた。
「はー、おもろすぎる。ほんと……無理だよなあ、普通のαじゃ。士郎、お前……クソほどヤバいやつに、目、つけられてんのな」
「へ?!俺、命か、何か狙われてるの?!全然気付いてなかった……!」
「あー違う違う。ははっ!お前、天然だなあ」
咲耶は、よく笑う。
太陽みたいな人だ。出会った時から、とても眩しい。キラキラしている。
圭介さんは、月みたいな人。
暗闇に、美しく存在してるイメージ。
無表情……かと思ってたけど、最近じゃ怒ったり、微笑んでくれたり、……溶ける様に、見つめてくれたり。
……興奮して、余裕がない表情、だったり……
毎日形が変わる月の様に色んな表情を、俺、だけに見せてくれてる、気がする。
じわじわ、嬉しさが込み上げて、胸がギュゥ、っとなった。
彼に、逢いたい。
咲耶が、俺の横に来て、トン、と壁に凭れた。
俺の意識が、咲耶に向いた。
「……何か、さ。上手く、表現出来ないんだけど。俺、お前には幸せになってほしいんだよなあ」
腕を組みながら俺を見ている咲耶の表情は、答えが分からない回答を考えながら出してる感じで。
俺は、よく分からない内容に、とりあえず続きを待ってみる。
うーん。と言いながら咲耶は続けた。
「アイツのことはどーでもいいけど。……お前には、悲しい思い、絶対……して、ほしくない」
アイツ???誰の事だ???
ていうか、今、俺の話、してる???
「……咲耶の言ってることが、よく分かんない。分かるように、説明してほしい……」
「いーのいーの。まだ分かんなくて。ま、士郎はさ。そのままでいてよ。」
「……俺は、ずっと、俺のままかも。……ん?どういうこと?やっぱり、分かんないや」
「……ははっ!そうだよなあ。お前は、お前だ」
そういいながら、咲耶は大きい手で俺の頭をわしゃわしゃした。
あああ。髪の毛がぐしゃぐしゃになってる……!
でも、咲耶の大きい手は、すっごく暖かかった。
「士郎は、士郎のままでいて。もし、無理して疲れるようならさ、それは……士郎じゃないから。自然体の士郎でも、それでも、疲れる時があったら……そん時は俺ンとこにおいで。いくらでも、話聞くし。いくらでも、泣いていいから。」
「……何の話かは、よく、分かんないけど……でも、ありがと。その時がきたら、もしかしたら……頼るかも」
「おお。任せとけ!いつでも、待ってるからな」
月曜から、弁当お願い出来るか?って聞かれたから、うん、って答えたら、ニカッて笑って、やった!という咲耶に、周りからキャーッと黄色い声が飛んだ。
やっぱり、モテる男は一味違う。
咲耶の言動……ひとつひとつに周りが一喜一憂しているようだった。
咲耶の話は殆ど意味がわからなかったけど、俺がしんどくなった時、咲耶を頼っていい、って事だったんだろう。
俺も、咲耶には幸せになってほしいし、悲しい思いはしてほしくない。
咲耶がもし、しんどくて俺に、話聞いてほしいっていう時がきたら、その時は俺も力になりたい。
咲耶の優しさに触れた気がして、心があったかくなった。
55
あなたにおすすめの小説
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる
ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。
そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。
「一緒にコラボ配信、しない?」
顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。
これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。
※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる