<完結> βの俺が運命の番に適うわけがない

燈坂 もと

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< 本編 >

51.生まれ育ったお家でキミと(1)

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玄関のドアを開けると、父さんと優斗が俺たちを玄関で出迎えてくれた。

「やぁやぁ、ようこそ。士郎の父の時任 成一郎です。遠いところ、来てくれてありがとう」
「にぃにー!おかえり!……!……えと、ときとう、ゆうと、だよ。よろしくね」

優斗は練習してたのか、よろしくね、と言った後ぺこ、とお辞儀をした。か、かわいすぎる……ウチの弟は天才です。


圭介さんには昨日、俺から家族の写真を見せていた。
総兄が、優斗を、ぶっつけ本番で、いきなり黒木に会わせるのは、黒木には酷だ。と言ったからなんだけど……。
何でか理由が分からず、まあでも見せるだけだし、と見せたら、圭介さんは悶え始めた。

「……っ!!!小さい士郎がいる……っ!!!……可愛すぎる……!!!!」
「この子は、優斗っていって、俺の弟なんです、けど……えっと、圭介さん、おちついて???」
「士郎、無理だろう。優斗は士郎に瓜二つなんだから」

優斗は俺と、めちゃめちゃ似てる。
俺の3歳の時の写真を見ても、あれ、これ優斗?ってなるくらい。

「士郎大好き芸人の黒木に、いきなり優斗を会わせちゃうと、成一郎さんも優里香さんも……優斗までビビっちゃうから。先に見せといて正解だったな……ははっ。こんな黒木、初めて見た。面白すぎる」

士郎大好き芸人て。と心の中でツッコミを入れた。
でも、身悶えては彼を見て、胸がほっこりする。
じんわり、暖かい。

「……俺、こんなかわいい圭介さん……見れて嬉しい」
「はーあっつい。士郎がこんなに黒木にのめり込むなんてな……予想外だよ。ふふ。……おめでとう、士郎。何か、ある前に、相談はしろよ?話くらいは、聞くから」

そう言われて、俺もずっと、聞きたくても聞けなかった事がある、と思い出した。恐る恐る、口を開く。

「……総兄も。1人で抱え込まないで、ね?俺でよかったら……話聞くからね。いつでも、待ってるから」

総兄は、最初キョトン、としてたけど……恥ずかしそうな顔になって、指で頬をぽりぽり掻いた。

「……まあ、俺も色々あるけど……何か、士郎とこんな話した事ないから……恥ずかしいな。でも、ありがとう……士郎。しんどくなったら、話、聞いて」

わかった!任せて!と自分の胸にドン、とグーパンしたら、俺の弟が頼もしすぎる、と笑ってくれた総兄は、キラキラしてて。
女の子の出入りが激しかった時よりも、スッキリしてる様な気がした。

「……じゃ、俺……教授の、研究手伝ってくるから……朝まで、帰らない」
「わかった。気をつけてね。いってらっしゃい」

きっと、総兄の相手は、あの人だろう。
2人とも大好きだから……うまく、いってほしい。

「佐伯は……行ったのか。……士郎……?今日も……一緒に朝まで君の横に……いたい」

俺の耳に口付けを落として、耳元で響く低い声にゾクゾクする。俺も彼に耳打ちした。

「いい、ですよ。…………ね、圭介さん……俺の部屋、行こ?……早く、キス、したい……」
「……ああ。俺も、そう思っていた。……おいで」


昨日の、キスも……えっちでよかった……

……!……じゃ、なくて…………!!!
俺のスケベ!!!今、実家だよ……!!!!

俺の頭の横にある(であろう)昨日のえっちな映像を、片手でパタパタと消してる俺の横で圭介さんは口を開いた。

「黒木、圭介です。突然の来訪だったにも関わらず、ありがとうございます。今日は、よろしくお願いします。……優斗、くん。今日は士郎兄ちゃんと一緒に俺とも遊んでほしい。遊んで、くれるかな?」
「……!えと、……ぱぱ、このおにいちゃんと、あそんで……いいの?」

遊んでいいか不安そうな優斗は、父さんの手をくいくいっと、引っ張った。
ウチの弟、防衛本能も、ちゃんと働いてて偉い。天才です。

「構わないよ。今は着いたばかりだから、もうちょっと後で遊んでもらいなさい」
「……!わかった……!……けいすけにいちゃん、あとで、でんしゃであそぼうね!」
「……ぐっ!……小さい士郎が、俺に笑いかけてくれてる……!!!かわいすぎる……!……ああ。楽しみにしてるよ」

総兄の言う、士郎大好き芸人は……強ち間違ってないのかも……面白くて、かわいい。

「……ふふ。圭介くん、こんなとこで立ち話もなんだから、狭いところだけれど、どうぞ上がって?」
「は、お義父さん、すみません。お邪魔、します」


わ。 お義父さん て文字が、見えた。

圭介さんの計画が着々と進んでいる様で。
俺は可笑しくなって、くすくすと1人、笑ってしまったのだった。



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