<完結> βの俺が運命の番に適うわけがない

燈坂 もと

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< 本編 >

59.生まれ育ったお家でキミと(7)

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「爺、俺の部屋の風呂の準備は?」
「既に準備済みでございます。」

圭介さんが、そうか、助かる、ありがとう。と言って簗瀬さんに声をかけると、簗瀬さんは、お礼まで自然に言える様になって……!とまた涙していた。

俺が特別、こうしなさい、とか指示をした訳じゃないけど、圭介さんはきっと、いい方向に変わっていってるんだと思う。
それが、俺と出逢って、俺と心を通わせた事が、ひとつの要因だとしたなら、とても……嬉しい。

「学院と話はついたからね!外泊届の訂正はオッケーだ。明日は……8時に寮に到着すれば、間に合うだろう?」
「そうだな。……生徒会の朝会が8時30分からだから……充分だ」

お義父さんが圭介さんにこそ、っと耳打ちしたと思ったら圭介さんは、パァッと顔を輝かせていた。

え、なんだろ。なんか、気になる。
これは、只の勘、だけど。
でも、俺の野生の勘が、訴えている。
多分、間違いなく、絶対に。

……俺に関連する話を、している気がする。

「それじゃあ……僕は今から14時までの間ちょっと、自室に引きこもるから……簗瀬。誰も部屋に入れない様にして。」

明るく剽軽なお義父さんは、そこにはどこもいなくて。
獲物を狩るような、鋭い目線にちょっと慄いてしまった。
承知しました、という簗瀬さんは穏やかな顔つきで返事をしている。

「圭介、14時にダイニングで。じゃ、士郎くん、圭介の部屋でゆっくりしてて?……また、後でね」
「あっ、は、はい!今日は、お世話に、なります……!」

何もだよ~、と手をヒラヒラさせながら、お義父さんは奥へと消えていった。
あの目線、俺の見間違い、かな。
ちょっと、普段とのギャップに吃驚してしまった。

「……士郎?疲れて、いないか?今から俺の部屋へ行って、少し休もう。」
「あ、はい……!」

爺が、案内しますよ。と簗瀬さんが先導してくれて、圭介さんの部屋へ向かった。

圭介さんの実家は、恐ろしく広い。
部屋に辿り着くまでに、5分はかかった気がする。

「……じゃ、爺。14時に必ずダイニングに、向かうから……誰も、入れない様によろしく頼む。」
「……!ほっほっ。旦那様にそっくりになられて。爺は嬉しゅうございます。承知いたしました。……士郎さん、また後で」
「あっはい!ありがとう、ございます。今日はお世話になります」

それでは、とペコと頭を下げて簗瀬さんは去っていった。

「士郎、突然……色々とすまない。父さんはパワフルな人で……驚いただろう」

俺をぎゅ、と、抱きしめながら俺の髪を優しく梳く彼の手に安心して……俺も彼に身体を委ねた。

「ううん。元気で吃驚したけど……お義父さんが移動をヘリでって提案してくれたお陰で、寮まで我慢しなきゃって思ってた……その……圭介さんと、えっちなこと……すぐ、出来たし……圭介さんの、ご実家にも伺えて、嬉しい、よ?」
「……っ、……本当に……君は、……君の良いところは隠さないで素直に全部教えてくれるところだ……」

ちゅ、と俺の頬に口唇を落とすと、彼の目線が興奮の色に変わっていた。
あ、これ、スイッチ入った、かも。

俺を横抱きに抱き上げて、彼はドアを開ける。
さっきのお義父さんと同じ、獲物を見つけたときの様な、顔……その表情が俺だけに向けられていることに……堪らなくゾクゾクした。

「士郎……?部屋に入って、さっきの、続きをしたい……14時まで……誰にも邪魔されないから……覚悟、して?」
「……っ。……は、い。よろしく、お願い……します。」

ふふ、と笑った圭介さんは、死ぬほどカッコよくて。

俺は今から、この愛しい人に、愛しい人の部屋で……めちゃめちゃにされるんだろうなと、期待で震えてしまった。





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