LOVE肉

闇堕ちユウ

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2.惹かれる

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 布団に潜り込みながら純也は真っ暗のスマホ画面を眺めていた。
 先ほどは気にしない素振りをしていたが、実は"ほんの少し"興味を持ってしまっていた。それも転売ヤーとしてのさだめに近い興味であった。

"LOVE肉"

(広告で釣ってアダルトページに繋げるのか?)
(ただの美味しいお肉って事なのか?)
(はたまたまじでラム肉?)

 純也はすでに先ほどの検索ルートを辿り始めていた。食品から"訳あり"で検索してこのへんに...あった。

"美味しいLOVE肉あります"

 今度はためらいもなく広告をクリックした。ページが開くまでは構えていたが、いざ蓋を開けてみると思ったよりもあっけらかんとしていた。よくある健康食品のようにただただお肉の美味しさを伝えていたのだ。

「なんだ」

 安堵と落胆の声を漏らしながら純也はその紹介文を流し読みする。
"今なら初回限定500円!"

「やっす」

 ありふれた広告文にあきれつつも、最後まで読んでしまった。
"今すぐ購入をクリック!"

「初回限定で価格下げるってことはリピーター狙いか」
「いや待て待て...何の肉か書いてないぞ...」

 ツッコミどころ満載の内容であったが純也はすでに"惹かれていた"500円という格安の設定もあり悩む時間もなく購入を選択してしまうのであった。



→3.惹かれる2に続く
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