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⭐︎突然の再会
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色白で目がパッチリのぽっちゃりで、当時実写映画化されていた子豚の『ブーブ』に似ていたため、クラスのみんなから“ブーブ”と呼ばれていた。
それがコンプレックスでもあったけれど、朝日くんはそんな私でも関係なく仲良くしてくれていたのだ。
おかげで辛い思いをせずに済んだけれど、突然の引っ越しを強いられたあとは、精神的に参ってしまい、みるみるうちに痩せた。
今はグンと背も伸び、百六十五センチメートルで体重も平均的。髪はロングでラベンダーアッシュに染めている。化粧っけはほとんどないけれど、昔揶揄われていた太った“ブーブ”からは想像できないくらい変わった自覚はある。
幼いころの私を知っている親戚も、今の姿から想像がつかないといつも驚かれるのに、一目見ただけで分かる朝日くんの記憶力はどうなっているのか。
「でも、どうして私のこと分かったの?」
「あぁ、これ」
差し出されたタオルを見ると、端にフルネームで『天河美詞』と名前が書いてある。
子供たちのものと混同しないよう、先生の私物にも名前を書いて紛失を防いでいるのだ。
朝日くんはその名前を見ただけで分かったってこと? それだけで?
と疑問に思うけれど、仲の良かった友達の中でも特に一番親しかった親友の朝日くんだからこそ、気づいてくれたのかもしれない。
それより想像できなかったのは彼の方だ。
昔の朝日くんは髪は金髪に近い薄茶色で、色白で頬もふっくらとして私より背が低かった記憶がある。
今の彼の髪は茶色いものの全体的に濃く、輪郭もシャープで男らしく、背だって私よりも二十センチ以上は高い。声もうっとりするような低音で、「みーちゃん」と可愛らしく呼んでいた小学生当時の面影はない。
唯一昔と変わらないのは、優しそうな目元に長いまつ毛とエメラルドグリーンの瞳だけ。
――そうか、この瞳を見たことがあると思った記憶は朝日くんだったのね。
ようやく合点がいって喜びそうになったけれど、感動的な再会のはずがこんなことになってしまっている……。
「朝日くん、お願いだからスーツや靴は弁償させてくれないかな」
「だから本当にいいよ。このくらいのこと、長い人生の間にたまにはあるだろ。気にしないで」
いくら幼馴染とはいえ、クリームをぶちまけておいて簡単に許される筈はない。それに今なにもしなければ、朝日くんはきっと何事もなかったかのように立ち去ってしまうはず。
「でも――」
まだ言い募っていると、朝日くんはあごに手を添えて、少し考えてから私の手元を見て微笑んだ。
「だったら久しぶりに会えたことだし、クリーニング代のかわりにお茶でもおごってくれない?」
柔らかく笑ってウインクを一つ落とされ、その妖艶な目つきにドキッと胸が震えた。
男前にウインクをされてドキドキしない女性はいないだろうけれど、朝日くんの笑顔は別格だ。昔から天使のように微笑むのだ。
って、今はそんなことを思っている場合ではない。お茶をおごるだけで迷惑をかけたことが帳消しになるとは到底思えない。
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