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⭐︎突然の再会
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しおりを挟む実家の足しになるよう仕送りをするために少しでもお給料が良く、保育の定員も少ないという理由で選んだ再就職先だったけれど、保育士の入れ替わりが激しいことを見落としていた……。ちゃんとリサーチしてから探せば良かったと後になって後悔したものだ。
そうは言っても目の前にいる子供たちは待ってくれない。
足元に可愛らしい子供のモミジ手が絡みついてくると、ぷにぷにほっぺのキュルンとしたお顔が見上げてくる。
「あまかわしぇんしぇ、おなかぺこぺこ~」
「そうだね、あともう少しでお昼ごはんだから、おもちゃお片付けしてお歌歌って、それからおてて洗ったら食べようね」
「あい!」
勢いよくいいお返事が返ってくると、早速散らかっているおもちゃを片付けだした。その小さな背中を見ると微笑ましくていつまでも見ていたくなる。
っと、ダメダメ。ぼーっとしてるとまた主任に睨まれてしまうからと慌てて作業に移った。
夕方に保護者が迎えにくるまではブロックや絵本の読み聞かせ、ごっこ遊びなどをして過ごす。
今日のシフトは遅番のため、延長保育まで子供たちを見守ることになっている。
夕方は特に人数も少なくなるため合同で保育を行うことになるのだが、子供たちの年齢がバラバラになると怪我やトラブルなどが起こりやすくなる。
さらに疲れて眠くなる子もいるため、時間帯の特性として喧嘩が起きやすい。
そんな折、別室で一歳児のおむつ替えに手を焼いているとき、保育室から泣き叫ぶ声が突然聞こえてきた。
その甲高い声に驚いたのか、他の子たちもつられて泣き出して大騒ぎになっている。
慌てて戻ると、私より年下の本橋先生と熊谷先生が三歳児と二歳児の男児二人のそばに駆け寄って、様子を確認していた。
見ると一人は頭を押さえ、一人は口から血を流している。場所的に喧嘩をしていたはずみでぶつかったか、立ち上がった拍子に当たった可能性がある。どちらにせよ早急に応急処置をしなければならない。
「大丈夫!? とにかく止血しましょう。保冷剤が必要だから持ってきますね。それまで様子見おを願いします」
「はい。ありがとうございます。それと天河先生、主任呼んできてくださいますか。他の子の対応お願いしたいので」
「了解です」
私はおむつ替えをした子供を別の部屋に避難させ、他の先生も駆けつけてくれたので子供たちの対応をしてもらうことにし、私は職員室へ急いだ。
職員室へ戻ると、子供たちの泣き声がここまで聞こえているにもかかわらず、主任の高野先生は机に座って悠々と携帯を見ていた。
あれ? 騒ぎが聞こえてない?
そう思うものの、背後から近づくと手元を下げて携帯ゲームに興じている。
こんなときなのにゲーム!? ううん、それよりまだいまは仕事中だ。明らかに職務放棄よね。
「あの、高野先生。いま保育室で子供たちがぶつかって怪我をしたみたいなんです。他の子もつられて危険なので、見守りをお願いできますでしょうか」
背後から声をかけると、慌てる様子もなくやっとこちらへ振り向いたため、現在の状態と事故の経緯を大まかに伝えた。
ところが私の報告を聞いて慌てて保育室に向かうかと思いきや、変わらず座ったまま。
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