極上御曹司の純愛〜幼馴染に再会したら身も心も囲い込まれました〜

吉生伊織

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⭐︎大人になった彼

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「美詞は職場のお給料に満足してる?」

 本当に不躾な質問だな……と戸惑ってしまうけれど、経営の参考にでもするのだろう。

 私は持っていたフォークを置き、夜景を見ながら考えた。

「……ん~、どうだろう」

 満足しているかと聞かれれば、以前の職場よりはお給料も少し上がったけれど、仕送りしながらの生活では満足のいく金額ではない。

 だからといってどこも似たり寄ったりで、お給料がぐんと跳ね上がるような職場はすでに人気で空きが出ないのも事実。

 だから満足というよりも、こんなものかな……と受け入れているといった方が正しいかもしれない。

「それなりに、かな」
「それなりとは?」

 前のめりになり、真剣な眼差しで聞き返してくる朝日くん。

 その熱心な姿勢に経営者の熱意を感じ、少し戸惑ってしまった。なんだか面接されているような気分になってくる。

「不満はないんだけど、なんていうか……」

 話していいのかな? と一瞬ためらったけれど、朝日くんに話したところで仕事に影響はないはず。

 スーツのこともあるし、事業の参考にするためだと思えば、少しでも役に立つかな。

「保育の現場って理想だけでは勤まらないことも多くて。命を預かる責任の重さだったり、子供への対応の難しさだとか職員同士の人間関係とか……。
 給与と労働量にギャップがあるから、お給料が多いから満足、少ないから不満という基準では一概に言えなくて。あっ、もちろん、多ければ多いほどありがたいんだけどねっ」

 今の私には保育の現場よりも、いかに節約して実家の足しになるよう仕送りすればいいかというほうが一番頭を悩ませている。

 仕事に対しては、特定の人以外にはそれほど不満があるわけではないから。

「なるほどね。じゃあ美詞は仕事に関しては不満はないんだね」
「えっと、そういうわけじゃないんだけど……。でも、子供たちに関しては全然不満なんてないよ。毎日見てて飽きないし可愛いから。ただ、保育に関わる大人同士は色々と複雑で、大変だなって思う時があるくらいで」

 あぁ、これじゃあただの愚痴だ。

 お給料に関して聞かれてるのに、不満ばかりが口をついて出てくる。

 久しぶりに会った朝日くんに話すようなことじゃないな、と唇を引き結んだ。

 朝日くんを見ると、片手で顎を撫でながら何かを考えている。
 私の話なんて仕事に役立つとは思えないけれど……。

 私はまたグラスに口をつけ、いつのまにか注がれていたワインを飲み込み間をつないだ。

「俺も経営者の端くれの立場で会社を色々見てきたけど、美詞の場合はそもそも今の職場が合ってないのかもな。人間関係での不満が出るってことは、現場の質が低いということでもあるから」

 そう言われて、何も言えず苦笑いした。

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