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⭐︎大人になった彼
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覚悟を決めて、朝日くんの胸ぐらを掴んで引き寄せ、頬に軽く触れるくらいのキスをした。
端正な顔に近づいただけでもドキドキと心臓が暴れて大変なのに、キスなんて難易度が高すぎる!
「こ、これでいい?」
「……終わり?」
目を開けると、朝日くんは眉を下げて残念そうな表情をしている。これ以上を求められても、友情としてのキスならこれくらいでいいのでは?
「うん。だめ?」
「だめ。こんなの小学生の時にしたキスよりお子様だろ」
わかってるけど、さすがに唇にはできない。
あのとき言っていた、“大人になったら好きな時にできる”という言葉は、恋人同士や夫婦間での話。友達同士に求めるものじゃない。
頭が堅いと思われるかもしれないけど、大人になったからこそ分別をつけなきゃいけない。
これ以上は無理です、と訴えるように朝日くんを見上げれば、わかりやすく不満そうな顔をしている。
「美詞ができないなら、俺がする。子供じゃないキスっていうのは、こうやってするんだよ」
「――っん!?」
言うより早く強く抱きしめられ、奪うように唇を塞がれた。
驚きのあまり目を見開くと、長いまつ毛を伏せた瞳が目の前にある。
抵抗しようにも、唇に触れたと思えば強く押し付けられ、さらには熱く湿った舌が唇をこじ開けてきた。突然のことに息をするのも忘れる。
やっとの思いで息継ぎをしたくて口を少し開けたところで、彼の舌が無理やり歯列を割って侵入してきた。
「んんっ……!」
呼吸が乱れ、これ以上は無理だと朝日くんの胸を押し返しても、力強い腕に抱えられ離れてくれない。そのまま倒れ込むように、ソファに押し倒されてしまった。
上から覆い被さる彼の熱い舌が絡み、ワインの酔いが混ざって頭が朦朧としてくる。
「……はぅ……んぁ……」
抵抗したくても彼の唇が心地よくて、このままずっと離れたくないと思うほど気持ちよくなっている自分がいる。
思わず鼻にかかった吐息を吐いてしまうと、それが朝日くんのなにかを煽ってしまったのか、角度を変えて貪るように舌を吸われた。
本当にこんなキスをしてもいいんだろうか。酔いに任せて十七年ぶりに再会した幼馴染とこんなことをして。
朝日くんはなにを思って私とキスしてるんだろう……。
「ん……待って……朝日く……んんっ」
「無理」
長身の彼は私の頭を腕で包むように囲い、覆い被さる身体はソファからはみ出ているのがわかる。
子供の頃はあんなに天使だったのに、今は獰猛な雄を匂わせるほど力強い。
私は怒涛の展開に頭がついていけず、翻弄されるままだ。
「美詞……もう逃さないよ」
抱きしめ合う互いの熱でさらに酔いが回り、私の頭は完全に真っ白になっていった。
どんどん薄れていく意識の中、エメラルドグリーンの瞳が私を見つめる。その瞳に吸い込まれ、キスの合間に囁きかけてくる彼の言葉に無意識に頷く私がいた。
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※挿絵など画像にはAiを使用しています。