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柊の葛藤⑩
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「ま、待ってください! 私だってしたいのはやまやまなんですが、その……ゴムが……」
オメガは、発情期に行為に及ぶと妊娠してしまう。
そのためゴムを用意すべきなのだが、この部屋には当然あるわけがなかった。
柊の部屋にも、どこに置いたか……。
そうしている間にも、悠衣は自分から柊の上に乗りあがって、今にも動き出しそうになった。
「中に、出してもいいから……まだ、足りない……」
何やら、ストッパーが外れてしまったようだ。
今の悠衣はオメガの本能に支配されて、アルファの、運命の相手に縋っている。
発情期だからというのもあるのだろう。
甘い匂いをより色濃くした悠衣は、柊のものを掴んだ。
「分かりました! ちょっと待ってください、今、ゴムを取ってくるので!」
「……逃げない?」
「逃げません」
「分かった」
いそいそと柊の上から悠衣は降りて、柊も軽く衣服を整え、隣の自室に向かう。
机の中を上から探って、三番目に漸く見つけて、再び悠衣の部屋に戻った。
「お待たせしました。では……しましょうか」
「うん!」
悠衣が両手を広げて柊を迎える。
それに幸せを感じながらも、柊は悠衣を押し倒した。
兄弟ながらも、恋人のように振舞ってきた柊と悠衣。
それは幼いころから変わらない、ずっと守ってきた二人きりの時の関係。
それが破られて晴れて今日、二人は恋人となった。
――だが、二人は兄弟。
運命であっても、兄弟である。
「柊……兄……?」
発情期も終わり、清々しい気分で階段を下りた悠衣は、ある違和感に気が付いた。
部屋がシンとしており、誰の気配も感じられない。
朝から違和感はあった。
いつもは起こしてくれるはずの柊に起こされず、もう遅刻ギリギリの時間だ。
呆然と呟きながらも、悠衣はキョロキョロと辺りを見渡す。
そして部屋を確かめようと再び階段を上がろうとしたところで、あるものが視界をかすめた。
サンドイッチがラップされている皿の下に、挟み込まれているもの。
四角く折りたたまれたものを開くとそれは、手紙のようだった。
『悠衣へ。
少しの間、家を出ます。
暫くの間のご飯は冷蔵庫に作り置きを置いておいたので、しっかり食べてくださいね。
貴方とのかけがえのない日々が思い起こされます。
小さいころからずっと見守ってきて、大きくなったら変わるかと思っていたのですが、変わらず貴方は『柊兄』と慕ってくれて。
ですが、僕たちは兄弟です。
兄弟は、恋人にも、番にもなれません。
恋人としての僕の事は忘れてしまいなさい。
貴方の恋人を、番を探しなさい。
その為に距離を置きましょう。
僕たちはずっと、普通の兄弟とは違う距離感でいました。
それを正すために、僕は暫く家を出ます。
帰ったら普通の兄弟でいられるように、貴方も心構えをしてくださいね。
では暫くお別れですが、僕がいなくてもちゃんと朝起きたり、宿題をしたり、しっかりしてくださいよ?
好き嫌いも、してはいけませんからね。
貴方の幸せを、僕はいつでも祈っています。
柊より』
オメガは、発情期に行為に及ぶと妊娠してしまう。
そのためゴムを用意すべきなのだが、この部屋には当然あるわけがなかった。
柊の部屋にも、どこに置いたか……。
そうしている間にも、悠衣は自分から柊の上に乗りあがって、今にも動き出しそうになった。
「中に、出してもいいから……まだ、足りない……」
何やら、ストッパーが外れてしまったようだ。
今の悠衣はオメガの本能に支配されて、アルファの、運命の相手に縋っている。
発情期だからというのもあるのだろう。
甘い匂いをより色濃くした悠衣は、柊のものを掴んだ。
「分かりました! ちょっと待ってください、今、ゴムを取ってくるので!」
「……逃げない?」
「逃げません」
「分かった」
いそいそと柊の上から悠衣は降りて、柊も軽く衣服を整え、隣の自室に向かう。
机の中を上から探って、三番目に漸く見つけて、再び悠衣の部屋に戻った。
「お待たせしました。では……しましょうか」
「うん!」
悠衣が両手を広げて柊を迎える。
それに幸せを感じながらも、柊は悠衣を押し倒した。
兄弟ながらも、恋人のように振舞ってきた柊と悠衣。
それは幼いころから変わらない、ずっと守ってきた二人きりの時の関係。
それが破られて晴れて今日、二人は恋人となった。
――だが、二人は兄弟。
運命であっても、兄弟である。
「柊……兄……?」
発情期も終わり、清々しい気分で階段を下りた悠衣は、ある違和感に気が付いた。
部屋がシンとしており、誰の気配も感じられない。
朝から違和感はあった。
いつもは起こしてくれるはずの柊に起こされず、もう遅刻ギリギリの時間だ。
呆然と呟きながらも、悠衣はキョロキョロと辺りを見渡す。
そして部屋を確かめようと再び階段を上がろうとしたところで、あるものが視界をかすめた。
サンドイッチがラップされている皿の下に、挟み込まれているもの。
四角く折りたたまれたものを開くとそれは、手紙のようだった。
『悠衣へ。
少しの間、家を出ます。
暫くの間のご飯は冷蔵庫に作り置きを置いておいたので、しっかり食べてくださいね。
貴方とのかけがえのない日々が思い起こされます。
小さいころからずっと見守ってきて、大きくなったら変わるかと思っていたのですが、変わらず貴方は『柊兄』と慕ってくれて。
ですが、僕たちは兄弟です。
兄弟は、恋人にも、番にもなれません。
恋人としての僕の事は忘れてしまいなさい。
貴方の恋人を、番を探しなさい。
その為に距離を置きましょう。
僕たちはずっと、普通の兄弟とは違う距離感でいました。
それを正すために、僕は暫く家を出ます。
帰ったら普通の兄弟でいられるように、貴方も心構えをしてくださいね。
では暫くお別れですが、僕がいなくてもちゃんと朝起きたり、宿題をしたり、しっかりしてくださいよ?
好き嫌いも、してはいけませんからね。
貴方の幸せを、僕はいつでも祈っています。
柊より』
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