26 / 46
辛い気持ち②
しおりを挟む
知らなかったのだ。
結婚の挨拶をしに行く所にまさか、柊がずっと『好きな人がいるんです。きっとずっと、好きな相手が』と言い続けた人がいるなんて。
柊の気持ちが手に入らない、それでも結婚をして、共に生活をするうちに柊の気持ちを掴んでいければいいと思っていた。
けれどここに来て、それが到底無理な考えであることを悟った。
柊の好きな相手が弟という事実に驚いた、だがそれも最初だけだった。
彼らはきっと、生まれた時から一緒にいて、愛を育んできた。
そんな何年も募る想いに自分が入っていく余地などない、だというのに兄弟という壁に阻まれて、好きではない相手と柊は結婚をしようとしている。
「柊さんはオレとキス、出来るんですか?」
「……何、を……」
「分かってるんですか? この結婚が後継ぎを作りたいがためのものだという事、貴方の血が、欲しいがためだという事」
「そんな事、分かってます」
「分かってません! 貴方はオレできっと勃たない! 本当に好きな相手がいるのに、勃つわけがない!」
叫んでそれから、楽は家の中に入っていった。
柊は好きな人から離れる事を選んだ。
その好きな人と柊が、ずっと会わなければ良いと思っていた。
でも、会ってしまった。
そりゃ二人は兄弟なのだ、いつかは会う時が来ていただろう。
けれど実際に二人の様子を見て、悠衣と会って。
この二人は、結ばれるべきだと思った。
自分の感情を抜きにして、そう思ってしまった。
そんなの悠衣の想いに負けたも同然だ。
自分の感情なんてちっぽけで、比べるまでもなく軽いもの。
好きな気持ちは確かにある、だが悠衣ほどではない。
だというのに強情を張っている柊に腹が立ち、楽はそのまま家の玄関に向かい、急いで靴を履いて出て行った。
「楽!」
呼びかける声も玄関でだけ。
それ以上付いては来ないだろう柊を放って、楽は飛び出した。
行き先は決まっている。
悠衣の通っている大学。
家では柊がいる、だから話せないことを話しに行こう。
今、楽らが抱えている問題について。
そう思い、楽は携帯で場所を確認しながら出来るだけ急いで大学へ向かった。
「どこにいるんだろう……」
悠衣の学部を聞いておけばよかった、そう後悔しながらも楽は校内に忍び込み当てもなく歩いていた。
今は講義の時間なのかもしれない、静寂に満ちた中を歩く中で、悠衣も講義中なのだろうかと思案する。
でなくとも、図書室や食堂などといった室内にいるのかもしれない。
さすがに棟の中に入る勇気は楽とてない、だからふらふらと、楽はただ歩いていた。
結婚の挨拶をしに行く所にまさか、柊がずっと『好きな人がいるんです。きっとずっと、好きな相手が』と言い続けた人がいるなんて。
柊の気持ちが手に入らない、それでも結婚をして、共に生活をするうちに柊の気持ちを掴んでいければいいと思っていた。
けれどここに来て、それが到底無理な考えであることを悟った。
柊の好きな相手が弟という事実に驚いた、だがそれも最初だけだった。
彼らはきっと、生まれた時から一緒にいて、愛を育んできた。
そんな何年も募る想いに自分が入っていく余地などない、だというのに兄弟という壁に阻まれて、好きではない相手と柊は結婚をしようとしている。
「柊さんはオレとキス、出来るんですか?」
「……何、を……」
「分かってるんですか? この結婚が後継ぎを作りたいがためのものだという事、貴方の血が、欲しいがためだという事」
「そんな事、分かってます」
「分かってません! 貴方はオレできっと勃たない! 本当に好きな相手がいるのに、勃つわけがない!」
叫んでそれから、楽は家の中に入っていった。
柊は好きな人から離れる事を選んだ。
その好きな人と柊が、ずっと会わなければ良いと思っていた。
でも、会ってしまった。
そりゃ二人は兄弟なのだ、いつかは会う時が来ていただろう。
けれど実際に二人の様子を見て、悠衣と会って。
この二人は、結ばれるべきだと思った。
自分の感情を抜きにして、そう思ってしまった。
そんなの悠衣の想いに負けたも同然だ。
自分の感情なんてちっぽけで、比べるまでもなく軽いもの。
好きな気持ちは確かにある、だが悠衣ほどではない。
だというのに強情を張っている柊に腹が立ち、楽はそのまま家の玄関に向かい、急いで靴を履いて出て行った。
「楽!」
呼びかける声も玄関でだけ。
それ以上付いては来ないだろう柊を放って、楽は飛び出した。
行き先は決まっている。
悠衣の通っている大学。
家では柊がいる、だから話せないことを話しに行こう。
今、楽らが抱えている問題について。
そう思い、楽は携帯で場所を確認しながら出来るだけ急いで大学へ向かった。
「どこにいるんだろう……」
悠衣の学部を聞いておけばよかった、そう後悔しながらも楽は校内に忍び込み当てもなく歩いていた。
今は講義の時間なのかもしれない、静寂に満ちた中を歩く中で、悠衣も講義中なのだろうかと思案する。
でなくとも、図書室や食堂などといった室内にいるのかもしれない。
さすがに棟の中に入る勇気は楽とてない、だからふらふらと、楽はただ歩いていた。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる