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兄弟か、恋人か⑥
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「緋佐、入るよ」
「ああ」
発情期の割には明るい声で返事をした緋佐の声を聞き、悠衣はその部屋に押し入ろうとする。
けれども少し足を進めた所で、腕をぐいと引っ張られ、体勢を崩した。
「悠衣!」
腕を引っ張られた悠衣は、緋佐に腰を抱かれそのまま流れるようにキスされそうになる。
咄嗟に柊は悠衣の反対の腕を掴んで、後ろから羽交い絞めにして取り戻すことに成功した。
「それが、あんたの本性?」
嫉妬を剥き出しにした柊に、ふっと笑って緋佐はベッドに雪崩れ込む。
「緋佐! ダメだよ、まだ寝てなくちゃ」
「悠衣の為にやったんだよ、感謝しろ」
「僕の為って、どういう……柊兄?」
荒い息をしている緋佐を心配そうにのぞき込んだ悠衣が、柊を振り返る。
その目に映ったのは、赤い顔を掌で隠している、滅多に見ない柊の姿だった。
「あ……すみせん。見ないでください」
二人から見つめられ、柊は二人に背中を向けた。
キス、されるのだと思った。
電話口で言っていた『キス、しますね』という言葉が瞬間思い浮かんで、させてなるものかと咄嗟に悠衣の手を掴んでいた。
あの時はどうってことないというような態度を取っておきながら、いざそういう場面に遭遇すると止めようとする、何と自分の意思は弱いのだろう。
悠衣の答えを聞くまでは何も自分の意思は伝えないと決めていたのに、これでは『好き』だと言ったも同然である。
「もしかして……フェロモンに、やられちゃった?」
それをどう勘違いしたのか、心配そうに悠衣は尋ねてくる。
「そうだよね、僕のにもやられるくらいだもん。柊兄はオメガのフェロモンに、弱いんだよね」
「なっ……貴方は、特別に決まっているじゃないですか!」
「え?」
「はぁ……もう、台無しです。大体、僕は街中で発情期を迎えてしまった人を家まで送ったことがあるくらいですよ? 強い方です、僕は」
「……でも、あの時、苦しそうだったから」
「好きな人のフェロモンに、惑わされない人がいますか」
鈍感な悠衣に呆れながらも、柊は振り返り言った。
けれどもまだ勘違いするのか、悠衣は首を傾げる。
「好き……あ、そっか。昔は好きでいてくれたんだよね。大丈夫、勘違いしないよ」
にこやかに笑って言う悠衣に、柊はため息をつきたくなった。
これは、自分の行動の結果なのだろう。
溜まらず零してしまった『好き』という言葉を、過去のものと判断された。
近頃の『兄弟』として過ごしていた柊の、行動の結果。
「今はどうなんですか? やっぱり、兄弟として好きなんですか? こいつの事」
緋佐の発情期というものは、そこまで酷いものではないらしい。
立つのは辛いのかベッドに座ってはいるが、顔が上気しているだけで意思疎通もしっかりしている。
そんな彼から漏れた言葉に、「貴方はどうなんです?」と既に言動で示してるも同然の事を誤魔化した。
「ああ」
発情期の割には明るい声で返事をした緋佐の声を聞き、悠衣はその部屋に押し入ろうとする。
けれども少し足を進めた所で、腕をぐいと引っ張られ、体勢を崩した。
「悠衣!」
腕を引っ張られた悠衣は、緋佐に腰を抱かれそのまま流れるようにキスされそうになる。
咄嗟に柊は悠衣の反対の腕を掴んで、後ろから羽交い絞めにして取り戻すことに成功した。
「それが、あんたの本性?」
嫉妬を剥き出しにした柊に、ふっと笑って緋佐はベッドに雪崩れ込む。
「緋佐! ダメだよ、まだ寝てなくちゃ」
「悠衣の為にやったんだよ、感謝しろ」
「僕の為って、どういう……柊兄?」
荒い息をしている緋佐を心配そうにのぞき込んだ悠衣が、柊を振り返る。
その目に映ったのは、赤い顔を掌で隠している、滅多に見ない柊の姿だった。
「あ……すみせん。見ないでください」
二人から見つめられ、柊は二人に背中を向けた。
キス、されるのだと思った。
電話口で言っていた『キス、しますね』という言葉が瞬間思い浮かんで、させてなるものかと咄嗟に悠衣の手を掴んでいた。
あの時はどうってことないというような態度を取っておきながら、いざそういう場面に遭遇すると止めようとする、何と自分の意思は弱いのだろう。
悠衣の答えを聞くまでは何も自分の意思は伝えないと決めていたのに、これでは『好き』だと言ったも同然である。
「もしかして……フェロモンに、やられちゃった?」
それをどう勘違いしたのか、心配そうに悠衣は尋ねてくる。
「そうだよね、僕のにもやられるくらいだもん。柊兄はオメガのフェロモンに、弱いんだよね」
「なっ……貴方は、特別に決まっているじゃないですか!」
「え?」
「はぁ……もう、台無しです。大体、僕は街中で発情期を迎えてしまった人を家まで送ったことがあるくらいですよ? 強い方です、僕は」
「……でも、あの時、苦しそうだったから」
「好きな人のフェロモンに、惑わされない人がいますか」
鈍感な悠衣に呆れながらも、柊は振り返り言った。
けれどもまだ勘違いするのか、悠衣は首を傾げる。
「好き……あ、そっか。昔は好きでいてくれたんだよね。大丈夫、勘違いしないよ」
にこやかに笑って言う悠衣に、柊はため息をつきたくなった。
これは、自分の行動の結果なのだろう。
溜まらず零してしまった『好き』という言葉を、過去のものと判断された。
近頃の『兄弟』として過ごしていた柊の、行動の結果。
「今はどうなんですか? やっぱり、兄弟として好きなんですか? こいつの事」
緋佐の発情期というものは、そこまで酷いものではないらしい。
立つのは辛いのかベッドに座ってはいるが、顔が上気しているだけで意思疎通もしっかりしている。
そんな彼から漏れた言葉に、「貴方はどうなんです?」と既に言動で示してるも同然の事を誤魔化した。
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