生まれた時から、運命の君へ

ミルクルミ

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エピローグ①

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 あれから、柊は二か月、また家を留守にした。
 その間実川の家に行き、話をつけて、少し揉めたようだけれど何とか説得して。

「久しぶりです、悠衣」

 そしてまた、悠衣の所に戻って来た。






「手、握っても良いですか?」
「……うん」

 帰って来て早々、柊と悠衣は家を出た。
 柊が家を空けている間電話やメッセージアプリで連絡を取り合っていた彼らは、事前に出掛ける約束をしていたのだ。
 柊は実川の家に入った、なのでこれは正式な恋人としての一日目でもあるのだろう。
 もう兄弟ではない彼らは、堂々と手を繋いで歩いていく。

「どこか、行きたい所はありますか?」

 少し遠くにあるショッピングモールを目的もなく歩きながら、柊は悠衣に問いかけた。

「柊兄の行きたい所」
「なら僕は悠衣の行きたい所に行きたいので、いつまでも決まりませんよ?」
「……映画、見たい」
「分かりました」

 丁度掲げられていた看板を見て、悠衣は見たい映画があったことを思い出し、甘い彼からの台詞に一々顔を染めながらも、その看板を指さした。
 それを見て柊も頷き、その方向に足を進める。

「悠衣。もう僕は貴方の兄ではないのですから、柊兄とは呼ばなくても良いんですよ? あの時も言ったように、柊と呼んでください。その方が怪しまれませんしね」
「……しゅ、う?」
「はい」

 悠衣の分のチケットも買って手渡しながら、柊は瞳を細める。
 そして「ちょっと待っていてください」と言うと、飲み物を買いに行った。

(柊だなんて……今更、恥ずかしい)

 ずっと、柊兄と呼んできたのだ。
 柊と呼んだことなどない、けれどだからこそ、恋人になったのだと実感が持てて良い気もした。

「お待たせしました。悠衣はいつも通り、コーラで良かったですか?」
「うん。ありがとう……柊」

 悠衣がそう呼ぶと、すぐに呼んでくれるとは思っていなかったのか、柊は僅かに瞳を見開いた。
 飲み物を持っていない方の手で悠衣の頭に手を置くと、耳にかけて滑らせる。

「外でなければ、抱きしめていたのですが」
「……外だから、ダメだよ」
「そうですね。残念です」

 そう言いながらも悠衣の手に指を絡ませた柊は、それを自身の口の前に持ってきて、悠衣の指に口付けた。

「……っ!」
「なら、これで我慢します」

 みるみるうちに耳まで赤くなる悠衣の手をクスリと笑いながら引っ張り、奥の方へ進んでいった。






 恋人としての柊は、今までの比じゃないくらい甘かった。
 まず、視線が甘い。
 温かで、包み込むような視線は悠衣と目が合うと目を細めて、「悠衣」と落とされる声もまた、感情が込められていて聞くだけで愛しさが胸に満ちる。
 映画を見ている時も繋がれた手にドキドキして、中々話に集中できなかった。
 そんな悠衣の様子に気付いているはずなのに柊は悠衣の手を離そうとせず、悠衣もまた離れようとは思わず。
 映画を見終わった後、近くにあったカフェのテラス席で昼食をとる。
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