ある満月の日、俺はあいつに抱かれた

ミルクルミ

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15 押しとどめていた感情

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「…っ…もう、知らねえからな!」
「あぁ!」

 解さずともトロトロに蕩けているそこへ、一気に己のものを押し入れる。
 甲高く上がった声は苦痛を表していない。表情も声も表しているのは快楽で、痛がる気配のないそれにぐっと歯を食いしばる。

 ずっと、サディの事を守りたいと思っていた。
 いつもいじめられているサディを、言いたい事を吐き出さないサディを、守りたいと思っていた。
『好き』を自覚したのがいつかなんて記憶にない。
 けれどいつの間にか、『大切にしたい存在』になっていた。
 体を繋げる想像をしたことがなかった、なんて言わない。ゆっくりと距離を詰めていき最終的には、と考えていた。
 嫌そうにしていながらも瞳は嫌ではないことを物語っていたサディに、毎日ちょっとしたアピールを繰り返していた。
 少しずつ、少しずつ進んでいた二人の関係が――今日、一気に縮まった。
 発情しているかの如く乱れるサディに、それに煽られ腰を動かすユージェ。
 こんな事……こんな、強制的なものは、望んではいなかった。
 初めては大切に、大事に。そう思っていたのに壊された。
 不満がないわけではなかったが、サディの為ならば仕方が無い。
 逆に、今自分がここにこうしている事に感謝しなければ。
 もしこの状態でサディが一人で居たのなら……ユージェ以外の人と、こんな事をしていたのなら。

――はらわたが煮えくり返り、サディにどんな仕打ちをしてしまうのか自分でも想像できない。

 だからこの場に居るのが自分で良かった、と思いつつ、サディの体をまさぐる。

「あっ、あぁっ、ユージェ、ユージェっ」
「なん、だ? 気持ち良い、か?」
「きもちぃ、からっ……もっと、欲し……あぁぁっ!」

 勢いよく白濁を吹き出させ、サディの体から力が抜ける。搾り取られるように収縮したのに合わせユージェもサディの中にそのまま出し、互いに荒い息を零した。
 サディの中から自身のものを抜き、隣に転がる。
 突っ伏したまま、サディからは何の反応もなかった。
 ただただ荒い息を繰り返し、耳をひくりと動かし、体にはキスマークが迸る。

「なん、で……」

 そうサディが零したのは、沈黙に包まれて少ししての事だった。
 萎えたはずのサディのものは、再び勃ちあがっていた。
 あんなのでは到底満足しえない、そう言っているようにピンと空に向かい張りあがっていた。
 それを隠すようにサディは足をもぞりと動かし、ユージェの顔色を探る。

「まだ、か?」

 目ざとく、サディの足の間で揺れ動くものの状態に気が付いたらしい。ユージェはにやりと笑うと、サディを正面に向き直らせる。
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