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第27話

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「とりあえず、戦闘自体は順調ね」
「ユニークモンスターなどもいませんでしたしね……Eランク迷宮でここまで戦えるって夢見たいです」

 嬉しそうに話しているリアとアンナ。
 せっかくのところ申し訳ないが、俺は二人に問いかける。

「ユニークモンスターって……なんだ?」

 一応、ゲームなどで聞いたことはあったが、俺の知っているものとは違う可能性もあるので確認だ。

「迷宮に稀に出現する魔物よ。本来の魔物よりも数段強かったり、強くないけど珍しいアイテムをドロップするとかまあレアな魔物よ」
「……そうなんだな。万が一遭遇してたらまずかったか?」
「まあ、全員で撃ち続ければなんとかなると思うわよ。結局のところ、あたしたちが勝てるかどうかってハンドガンでダメージが通るかどうかの問題だしね」

 だよな。俺たちの武器であるハンドガンが効く相手なら倒せる。効かない相手なら倒せない、だ。
 そんなことを話していると、またスモールウッドマンが現れた。

 敵の攻撃が当たらないよう、距離を置きつつ、弾丸を放っていけば、終了……。
 俺のやることが本当にないな。

 それでもレベルアップはしていくわけで、どんどん体は動くようになってきている。

 戦闘への適応が早いのは、召喚された影響なのだろうか? はたまた、俺に戦闘への才能があったのか……。まあ間違いなく前者だろうな。

「ご主人様、あちらボス階層に繋がる階段が見えてきましたよ」

 アンナが指差した方向には、ボス階層に繋がる階段が見えた。
 Eランク迷宮は全部で三階層までなので、次がボス階層だ。

「ボスモンスターはやっぱりかなり強いのか?」
「つ、強いです。ただ、攻撃を回避して、ハンドガンが打ち込めるかどうかというのは変わらないと思います」

 アンナもだいぶ自信がついてきたようだ。さて、どうしようか。

「……もしも、ボス階層に入ったら戻ってこれないとかはあるのか?」
「いえ、引き返せますよ。ボスからうまく逃げ切れれば、ですけど……さ、最悪の場合は私たちが時間を稼げばいいと思います」
「……いや、皆に何かあったら困るって。大切な仲間なんだし……危なかったら、皆でうまく逃げるぞ。他の階層みたいに、階段まで引き返せば大丈夫なんだよな?」
「は、はいっ」
「それなら、様子をみながら戦ってみようか」

 無茶をする必要は別にない。
 俺にとって、強くなることに時間制限などはないからだ。
 あくまで俺は、俺のペースで強くなればいいわけで、安全第一でやっていけばいい。

 波瀾万丈は必要ない。のんびり、確実に、堅実に今の生活を豊かにすればいい。
 第一、せっかくここまで話せる相手ができたのに、それを失いようなことはしたくなかった。
 クラスメート達と離れた今、俺の情報を共有できる話し相手は大切だ。

 三階層を無事突破した俺たちは、階段を進みながら食事をする。
 今日のお昼はハンバーガーだ。俺はそれを口にしながら、アイテムボックスから魔力ブーストの準備をする。
 俺の準備にすぐに気づいたのはナーフィだ。

「ん?」

 こてんと首を傾げてくる。
 俺が何をするのか気になったようだ。

「念の為、もう少し強い武器でも召喚しておこうと思ってな」
「ん」

 気になるようで、ビッグマッグを食べながらナーフィが近づいてくる。

 ……今の魔力で足りればいいんだけどな。
 俺は自分の魔力を使用し、召喚魔法を発動する。
 しかし、召喚しきれない。
 やはり足りないか。魔力ブーストを行い、さらに魔力を回復する。

 ……気持ち悪い。全身を無理やり揺さぶられているような感覚に襲われ、食べたものを吐き出したくなる。
 食事をする前にすれば良かった……。そう思っていたのだが、無事俺の片手には新しい武器が召喚された。

「……ハンドガンよりも大きいですね」

 こちらをみていたアンナが問いかけてくる。リアもまた、興味深そうな表情をしている。

「ショットガンだ。ハンドガンで倒しきれなかったときは、こいつを使おうと思ってな」
「威力もあるのよね?」
「まあな。ハンドガンに比べると射程は落ちると思うけど、その分当てた時の威力はかなりのもんだと思う」

 俺はそれを握ると、なんとなく使い方が分かってくる。
 FPSのゲームで見たものと同じだ。確か、ポンプアクション式、って言うんだったか? あれを行って弾を装填する必要があるはずだ。

 なんとなく握ってみると使い方がわかるのは、俺が召喚主だからだろうか。

 俺は銃弾を手に取り、同じものを召喚し、装填していく。
 全部で四発か。先に弾を装填しておけば、プラス一発の合計五発。
 ハンドガンに比べれば量は少ないが……まあ、威力はそれ以上にあるはずだ。

 あとは実戦で試せばいいだろう。アイテムボックスにしまってから、ハンバーガーを食べドリンクを飲む。

「マッグシェイク……美味しいです」
「あたしは、このコーラってやつ結構気に入ったわ」
「……ん」

 ナーフィは炭酸飲料が苦手なようで、チビチビと飲んでいる。シュワシュワが苦手ではあるようだが、味自体は気に入ったようだな。

 しばらく食事をしていくと、三人とも満足してくれた。
 食後の軽い休憩も行ったところで、問いかける。

「そろそろ、大丈夫か?」
「ええ。もうあたしたちは大丈夫よ。能力もかなり強化されたみたいだし、これなら問題ないと思うわ」
「そうか、期待してるぞ」

 俺の言葉に、三人ともが頷いてくれたので、俺たちは階段を降りて、ボス階層へと降りる。
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