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第16話

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「え? そんなに」

 カイルくんったら、冗談言っちゃって。
 そんな気分だったけど、カイルくんの表情は至って真面目だった。

「あのポーションってリアーナさんが作った……でいいんですよね?」
「うん、そうだよ」
「あ、あれほど質の良いポーションは薬師でも中々作れません。たぶんですけど、あれほど質の良いポーションが量産できるならもっと大きな街で商売もできますよ……。というか、あの美味しいポーションだけでも物珍しさにたくさん売れると思います」
「そうなんだね……」

 え、でも私あれでも結構抑えて作ったんだけどなぁ。
 そっか。まだもうちょっとレベルを抑えないとまずいかな?
 カイルくんに試してもらって良かったね。

「ポーションの味は変えないほうがいいかな?」
「え? す、凄い飲みやすかったので、あれで言ってほしいんですけど……」
「駄目なんだよ! 私、あんまり目立つようなことしたくないの!」
「雨降らせておいてそれ言いますか!?」
「え? あれもダメなの!?」
「そ、そんなこと普通にできる人はいませんよ!」
「えぇ……」

 そ、そうなの? 本当かな? カイルくんが嘘をついているわけじゃ……でも、見た感じそんなことないんだよねぇ。
 カイルくん良い子っぽいし。
 でも、村の人たちにはまたお願い、って言われちゃってるからそれをやめるのはダメだよね。村の人たちとも仲良くしたいし。

 とりあえず、雨の話はなかったことにしよう!

「カイルくん、他にもこの村には冒険者っているんだっけ?」
「そう、ですね。合計十人ほどですかね? 近くに迷宮がありますので、その攻略を行っているんです」
「あっ、そうなんだ」
「はい。この村に在住しているわけじゃなくて、あくまでゲーログのギルドからの依頼ですけどね」
「ゲーログ?」
「この村から北に行ったところにある結構大きな街です」
「そうなんだねっ」
「たぶん、リアーナさんのポーションならゲーログの街で売り出しても問題なく売れると思いますけど……」
「いや、別に売らなくてもいいかな? ……とりあえずは、この村で細々と生活できればそれでいいから。冒険者の子たちにもポーションを売っていこっかな?」
「あっ、それは喜ばれると思いますね。現状、この村ではポーションが手に入らなかったので、そろそろ一度ゲーログに戻って仕入れる必要があると考えていましたから」
「そっか! 色々ありがとね! これお礼にポーション持っていって!」

 私は作っておいたポーションをとりあえず十個彼のほうに渡す。
 
「こ、こんなにたくさんも別に――」
「いいから! ほんのお礼だからね!」

 半ば強引に彼に渡そうとしたんだけど、

「……オレ、アイテムボックス持ってないんでこの量はちょっと」
「あっ、そうなの? でもポーチあるよね?」
「え? はい」
「じゃあ、それアイテムボックスにしちゃうね?」
「へ!?」

 私はそう言って、彼のポーチに魔法を使用する。カイルくんのポーチをアイテムボックス化してあげた。
 ……無尽蔵に入るようにも出来るけど、そんなことしたら聖女の力がバレてしまう。
 だから、私はあくまで、控えめにしておいた。30個程度で限界数が来ちゃうように。これなら、大丈夫だよね?

「な、なんでそんなことできるんですか!?」
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