20 / 30
第20話
しおりを挟むオレが急いで倉庫に向かうと、アイテムボックスに入れてしまってあった食糧庫が壊れてしまっていた。
雨に打たれ、駄目になってしまうような食糧だってある! 一体何がどうなっているんだ!
「……まったく。すぐに食糧を安全な場所まで運べ」
「で、ですがすでにかなりの量の食糧がダメになっているはずです。こ、今年を乗り切れるかどうか……。それにアイテムボックスと違って、地上での保存は温度にも気を配らないと……」
「ふん、別に平民への供給を減らせばいいだけだろう?」
オレの完璧な提案に騎士は驚いた様子で目を見開いていた。
ついてきていたネヨッタもこくこくと頷いている。
「そうですわね。それに、肉などがダメになってもお菓子などはあるのですから」
ネヨッタの提案にも頷かされる。
騎士がじっとこちらを見ていると、やがて宮廷魔法使いがやってきた。
……オレはこいつらが好きじゃない。大嫌いな存在だ。
というのも、宮廷魔法使いたちは聖女擁護派だからだ。いい加減洗脳もとけてほしいものだ。
「お、王子様。調べたところ、アイテムボックスに供給されていた魔力が失われてしまったようです」
「そうか。それならば、供給しなおせばいいだろう?」
「はい。ですから、アイテムボックスの製作者であるリアーナ様を呼んでください」
「は? 何を言っている?」
「ですから、聖女であるリアーナ様が製作したものですから――」
「奴がアイテムボックスを作れるわけがないだろう? 第一、奴はとっくの昔に国から追放してやった」
そういうと、宮廷魔法使いは目を見開いた。……彼らはリアーナに洗脳されている。つまり、この驚き、ショックを受けたような顔はリアーナ自身の反応ということになる。
くすくす、と笑みがこぼれる。
「お、王子!? え!? 聖女様を追放、したのですか!?」
王宮内には、一定数聖女に洗脳されてしまっている馬鹿がいたが、その代表格が宮廷魔法使いたちだった。
この宮廷魔法使いたちが初代の聖女を持ち上げていたせいで、この国にあんな役立たずの高給取りが、生まれてしまったのだ。
オレの考えでは、当時の宮廷魔法使いたちは裏で聖女から金をもらっていたに違いない。
「ああ、当たり前だ」
「……そ、それが原因ではないでしょうか?」
「なに?」
「り、リアーナ様は、これまでの聖女の中でもずば抜けたお力を持っています。アイテムボックスを作るなんてそれこそ呼吸でもするかのように出来る方です」
「はっ! 洗脳されているだけの分際で、何をほざくか」
「そ、そんなことはございません! 洗脳なんてされてはいませんよ!」
「貴様も聖女と同じだな。人の不安ばかりを煽るような適当なことばかり言いやがって。……宮廷魔法使いたちの給料も見直したほうがいいな」
宮廷魔法使いは信じられないものを見るようにオレを見ていた。なんだ、そのオレが馬鹿だと、言わんばかりの目は――。気に食わなかったので、少し脅してやろうかと思ったときだった。騎士がこちらへとやってきた。
「お、王子! 魔物たちがこの王都へと攻め込んできています!」
10
あなたにおすすめの小説
聖女を騙った罪で追放されそうなので、聖女の真の力を教えて差し上げます
香木陽灯
恋愛
公爵令嬢フローラ・クレマンは、首筋に聖女の証である薔薇の痣がある。それを知っているのは、家族と親友のミシェルだけ。
どうして自分なのか、やりたい人がやれば良いのにと、何度思ったことか。だからミシェルに相談したの。
「私は聖女になりたくてたまらないのに!」
ミシェルに言われたあの日から、私とミシェルの二人で一人の聖女として生きてきた。
けれど、私と第一王子の婚約が決まってからミシェルとは連絡が取れなくなってしまった。
ミシェル、大丈夫かしら?私が力を使わないと、彼女は聖女として振る舞えないのに……
なんて心配していたのに。
「フローラ・クレマン!聖女の名を騙った罪で、貴様を国外追放に処す。いくら貴様が僕の婚約者だったからと言って、許すわけにはいかない。我が国の聖女は、ミシェルただ一人だ」
第一王子とミシェルに、偽の聖女を騙った罪で断罪させそうになってしまった。
本気で私を追放したいのね……でしたら私も本気を出しましょう。聖女の真の力を教えて差し上げます。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!
林 真帆
恋愛
マリアは聖女の血を受け継ぐ家系に生まれ、次期聖女として大切に育てられてきた。
マリア自身も、自分が聖女になり、全てを国と民に捧げるものと信じて疑わなかった。
そんなマリアの前に、異父妹のカタリナが突然現れる。
そして、カタリナが現れたことで、マリアの生活は一変する。
どうやら現聖女である母親のエリザベートが、マリアを追い出し、カタリナを次期聖女にしようと企んでいるようで……。
2022.6.22 第一章完結しました。
2022.7.5 第二章完結しました。
第一章は、主人公が理不尽な目に遭い、追放されるまでのお話です。
第二章は、主人公が国を追放された後の生活。まだまだ不幸は続きます。
第三章から徐々に主人公が報われる展開となる予定です。
聖女を追い出しても平気だと思っていた国の末路
藤原遊
ファンタジー
聖女が国を去った日、神官長は分かっていた。
この国は、彼女を軽く扱いすぎたのだと。
「聖女がいなくても平気だ」
そう言い切った王子と人々は、
彼女が“何もしていない”まま国が崩れていく現実を、
やがて思い知ることになる。
――これは、聖女を追い出した国の末路を、
静かに見届けた者の記録。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結済み】天罰って人の手を介している時点で方便ですよね<前・中・後編>
BBやっこ
恋愛
聖女の娘である私は、幼い頃から王子の婚約者になっていて“仲良くしろ”と圧を受けていた。
それは学生になってからも似たようなもので。
聖女になりたいと言っていないのに。大人の事情と私の安全のために公言しなかった。
そして、時は来た。神裁判の宣言と私への天罰を望む声。
※ 【完結済み】
真実、私の話を聞いてもらいましょう。
方便なんて使えませんわよ?神様がきいてくださっているのだから。
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる