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第4話
しおりを挟む「何をふざけたことを抜かしているんだ! スラム出身のおまえとこのオレが結婚してやると言っているんだ!」
なぜ未だに上から目線な態度がとれるのか、私は本当に疑問だった。
「聖女と王子の立場……確か、どちらも別に上下の差はなかったはずですが?」
「何が言いたい?」
「命令に従う必要はない、ということです」
私はきっぱりというと、ケルズ王子は顔を真っ赤にした。
ああ、その顔が見られただけでも、これまで必死にいじめに耐え抜いた意味があったというものだ。
そうして、ケルズ王子は、怒鳴ってきた。
「ふざけるなよ! この国では、聖女と王子が結婚する、そういう習わしになっているんだぞ!?」
「それはそちらの国の都合でしょう? 私は国に見捨てられた立場の人間ですから」
もう一度きっぱりという。周囲は私と王子のやり取りにただただ驚いている様子だった。
「ふ、ふざけるなよ……っ! 貴様――あまり舐めた口を利くというのなら、強引に従わせてもいいんだぞ!?」
「それが出来るのでしょうか?」
ケルズ王子は、どうやら私のその問いかけが不満だったみたい。
彼はどんと、地面を蹴りつけると、護衛としていた騎士が前にでてきた。
近衛騎士だ。彼らは兜までかぶっているせいで、何を考えているかはわからないけど……その立ち振る舞いから私の力を舐めているのが良くわかる。
「謝るのなら今のうちだぞ?」
「いえ、そのようなつもりはありませんわ。どうぞ、かかってきてください」
私が軽く息を吐くと、近衛騎士たちはかちんと来たようで、飛びかかってきた。
「スラム出身の猿が――!」
「我ら貴族の血を持った騎士に勝てると思うなよ!」
私はそこで、『スロウ』の魔法を発動した。
途端、近衛騎士たちの動きが緩やかなものになる。とてもじゃないけど、私に攻撃を当てるなんて不可能なほどに遅くなっている。
別に……こんなことしなくても何とかなりそうなんだけどね。
『ガードアップ』を使えば、剣に斬られることもなさそうだし、そもそも普通に動くだけでもたぶん近衛騎士たちより今の私のほうが早いからね。
「き、貴様! 何をした!」
「聖女のみが使える時間魔法を使わせていただきました。どうでしたか?」
「ふざけるなよ貴様……ッ!! おい、騎士共! こいつを捕らえろ!」
聖女の儀式は一転、神の間が慌ただしくなる。騎士たちがぞろぞろと入口から侵入してきたが、私はそのすべてに『スロウ』の魔法を使用し、その動きに制限をかけた。
「なっ!」
誰もこちらには来れない。私はそのまま、すたすたとゲイル王子の前へと歩いていった。
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