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第7話
しおりを挟む迷宮の入り口が見えてきて、ルタの表情が引きつった。
迷宮というのは小山のようになっている。大人の男でも問題なく通れるような穴がぽっかりと開いていて、そこから階段によって下へと降りていくのが基本的な構造となっている。
問題は小山付近にいた連中だ。向こうも気づいたようで、入りかけていた男が足を止め、こちらをにやにやとみてきた。
「『アキシスタ』の連中じゃないか」
『グレールナイト』のリーダーが声をかけてくる。
ぶしつけな視線を向けてくる三人に、アレックスが苛立った様子で眉を寄せる。
相手をしたくはなかったが、迷宮入口は彼らにふさがれているため仕方ない。
「なんだ、おまえたちもこの迷宮の攻略に来ていたのか?」
「ああ、そうだぜ。簡単な調査は終わったからな。今日で攻略するつもりだ」
この村に来てから一週間ほどが経過していた。
今回の迷宮攻略を受けているパーティーは俺たちを含めて三つ。
……ただ、もう一つのパーティーはこの迷宮を攻略するには少し実力が足りていないらしく、すでに攻略はほぼあきらめている。
実質、『アキシスタ』と『グレールナイト』の競争だ。彼らの視線は、ルタへと向けられる。
ルタを隠すように俺が前に立った。
「俺たちも今日で攻略する予定なんだ」
「そうか。サポーターを誘ったからてっきり素材回収でもしに来たのかと思ったぜ」
「サポーターがいないと、迷宮奥地までの攻略は難しいからな。一緒に来てもらったんだよ」
そういうと彼らはくすくすと笑った。
「何かあるのか?」
「サポーターなんざ必要ねぇだろ。知ってるのかよ? 最近じゃ、大手のクランやパーティーでもサポーターは不要説が流れているんだからな」
「そりゃあ、ただのサポーターのままじゃ必要ないって話だろ?」
「はっ、サポーターにただもくそもねぇよ。サポーターは全員無能だ。冒険者のオレ様たちに寄生する虫だ」
サポーターというのは戦闘能力がない者でも冒険者として稼いでいくための手段だ。
大手のクランなどでは、まずはサポーターからとして新人冒険者にやらせることも多いとか。
「とにかくだ。報酬の八割はオレたちが頂くからな?」
「へいへい、攻略できたらの話だけどな」
「はっ、オレたちはCランク間近のパーティーだぞ? 余裕で突破してやるよ」
そういうと、彼らは中へと入っていった。
ほっとしたように息を吐いたルタだったが、それからすぐに顔を俯かせて落ちこんでいた。
「さ、サポーターってやっぱりそのうち不必要になっちゃうのかな?」
「ただ雑用係しかできないっていうのならパーティーには不必要ってだけだ。例えば、他にもできることがあれば普通に需要はあるんだ。気にするなって」
ルタの頭をぽんぽんと叩くと、彼は控えめながら笑みを浮かべる。
「ありがと……」
「それじゃあ、迷宮攻略を始めるぞ」
俺はパーティーメンバーたちを一瞥してから階段をおりていった。
階段をおり何事もなく一階層へとついた。眼前には平原が広がっている。迷宮内のフロアというのは様々な環境が多い。この迷宮では平原のフロアしかないが、海や雪山のようになっている場所もある。フロア自体が攻略の難易度に大きくかかわることもあるが、ここはただの平原なので問題はなかった。
ルタがきょろきょろと周囲を眺めている。
その目はとても輝いていた。
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