惑星ムンド管理官、転生者を監視する。

山田村

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第五章 歴史

第39話 ウェールズ国 1485年 魔法書

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 商業ギルドのチャールズに各国の歴史書について聞いてみた。これは市民の教養のための本で、比較的購入しやすい。イングランドと北アイルランドの分は在庫があったため、合計金貨二枚で購入した。ウェールズの歴史書は自国製だから銀貨八枚で買えると言われ、思わずガメババァの顔が脳裏をよぎる。――エラの店、ここが今日の最終目的地だ。

 「エラ、こんにちはー。今日はお土産持ってきたよ。イザベルが作ったお菓子。」

 「なに!お菓子!……早く、ほー、美味そうに見える。〝あむっ〟……やるではないか、〝はむっ〟……褒めてやる。んうんう……ゴホゴホ……ウー」

 「お茶どうぞ。」かなり気に入ったようだ。監視ドローンの成果だな。

 「気が利くのー。じゃが安くはしないぞ……」ブレないよ、ガメババァ。

 「今日は買い物ではなく、歴史書の疑問点を教えてください。」

 「お菓子が、それの対価か。まあいいじゃろう、美味かったし。」バレリアが続けた。

 「古代魔王の子孫とエラとの関係。」

 「ほー、いきなり核心か。それはこの対価では安すぎる。この本を買え。」

 「初めての魔法……?」

 「これは、古から人が魔法と出会ったことについて書かれた基本の本だ。金貨二枚だ。」

 「ギルドにもあった本ですね。確か銀貨五枚……」

 「ほぇ~、わしの本は付加価値がついている。解説付きだ。文句あるか!」

 「分かりました。購入させてもらいます。」

 「読み終わったら質問しろ。次回も菓子持参でな、分かったか!」

 「それと別の質問がある。エラ、召喚時にいたよね。その時、鑑定の魔道具があったけど、あれはどんな仕組み?」

 「ふん、何のことだ。知らんな。それと鑑定の魔道具には手が出せない。」

 「おかしいなー。青い服を着て奥の部屋に移動するのを見たけど。なんで隠すの?横顔と背格好、目立つから覚えているよ。」

 「おのれー……知らん、知らん。他人の空似だ。」

 「分かりました。では次回までしっかりと読み込んで質問します。さようなら。」



 鍛冶屋に戻り、魔法の本をバレリアに読んでもらい解読した。古の民は祈りの習慣から、集落に数名の祈りの強い者を生み、その者は奇跡を起こす村の象徴となり、子孫が増えていった。子孫は力の使い方を教え、導いた。――普通の内容だね。

 「具体的な伝え方は今と変わらないですね。ただ、注目すべきは当時の宝石で、魔力に反応して磁石のように吸い付く石があることです。魔石と呼ばれるものの存在が興味深い。魔道具に関係ありそうですね。」

 「バレリアのデータで、魔道具もあるのか?」

 「古代魔道具はあります。製作可能ですが、材料がここにありません。魔石も実際に分析しないと何に応用できるのか不明です。この他にも星固有の鉱石もあると思われます。要塞から地下資源のデータを取り寄せたいと思います。古代の魔道具製作には、機能と材料の難しさがあります。魔道具完成まで、スーツから個人や他人のステータスに関して付属機能を活用してください。それに、異次元収納ボックスも活用してください。使っていないようですが、好みではないですか?」

 「何それ……(沈黙)知らなかった……」

 「えっ、データで伝えてましたが。」――やらかしたよ……無敵じゃん。


▼△▼△▼△▼△


翌日、残る歴史書と鉱石採掘の件を検証した。

 「イザベル、ギルドから購入した歴史書ですが、内容は同じなのですが、神の項目がありました。鍵は北アイルランドにあるようです。管理官と思われる者に啓示を受けて行動……
北アイルランドの大聖堂の記述が主な内容です。それと、要塞から地下資源のデータを入手しました。ここから近く、比較的浅く採取できそうな地点が二か所あります。」

 鉱石の具体的な場所は、国境を越えて戦争を行った荒地から西の山中――ここは魔石だ。次は王都から北に十キロ先の森の中に、ミスリル鉱石の洞窟がある。

私はエラに貸しを作り、情報を引き出したい。そのために、ミスリルと魔石を使った魔道具かワンドをプレゼントして、秘密を教えてもらう予定だ……まずは近場から。


 上空から見ると深い森の中で、見落としてしまうほど天然の光学迷彩のような場所。洞窟の中には獣が住んでいるらしい。ドラゴンの巣穴だ。全長五メートルのトカゲで、危険な毒を持ち、噛みつかれると命に関わる爬虫類。地元では「グレートドラゴン」と呼ばれる危険な動物だ。私はキモいものは嫌いなので、バレリアにお願いして駆除してもらうことにした。

 「ドラゴンが炎を吐きかけた瞬間、バレリアの魔法が閃光となって貫いた。」と言うドラマは無く、中から「駆除しました~」と声がしたので洞窟の奥に入ると、目の前に死骸が残っていた。  
 「ギャー!」と大声を上げてパニックになり、バレリアに縋りついて「お願い!」と言ったら、彼女は前足を持って洞窟外へ運び、元素分解して何もなくした。私の動揺はようやく収まり、一言「……あれって、素材になるの?」とポツリと呟いた。  
 「もう、何もないのですが。」と言われ、大人しくした。

 洞窟でお目当てのミスリルを採掘する。あまりきれいに削り取ると不自然なので偽装し、次の魔石の採掘現場へ向かう。

 「イザベル、地上に倒れている人間がいます。どうしますか?」

 「あー、戦争後だからね……でも離れていないか?脱走兵か?」バレリアが降下して地上に近づく。

 「不明ですが、死にかけています。」――また、変なことに巻き込まれる……

 「バレリアさん……厄介事になるから……やめて、あっ」
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