【絶対俺だけ王様ゲーム】美少女幼馴染3人と男オレ1人で始まったゲームが何かおかしい。どんどんNGがなくなっていく彼女達に迫られてます

かくろう

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 次の日。

 俺は夢見心地の中にいた。

(三人ともめちゃくちゃ柔らかかった……)

 ひと晩明けても、その興奮は俺の中でブスブスとくすぶって収まらない。

 いつ噴火するとも分からない爆発寸前の火山のように、奥から煮えたぎる衝動が下腹部から全身にかけて広がっていた。

 人生で初めてとなる女の子とのキス。

 しかも1日に三人も同時に、だ。

 有り得なすぎる幸運のシチュエーションに興奮と同時に恐怖すら感じる。

(三人とも、ファーストキスだって言ってたよな……)

 女の子にとって、ファーストキスとは非常に大切なものである、筈。

 そりゃあもちろん価値観というものがあるし、あの三人にとって唇の接触が別段気にするようなものではない可能性も残っている。

 しかし、幼馴染みとして長い時間を共に過ごしてきた俺には、そうじゃないという確信に近い感覚があった。

 幼馴染みの俺は男にカテゴライズされていない可能性ももちろんある。
 ただ……。

(それであんな情熱的なキスをするだろうか?)

 彼女達は、大切なファーストキスを三人同時に俺に捧げてくれたんだ。


(しかも杏奈に至ってはどう考えても……)

 鈴音に先を越された事に対して並々ならぬ感情を持ち、それを俺にぶつけてきた。

 そのことに関して、俺は真剣に考えないといけない……と、普通ならなるんだろう。

 だけど、それは考えなくて良い。そう言われている確信がある。

 いずれ確かめる時はやってくるだろう。三人の様子は、最初からおかしかったんだ。

 そして、その答えは彼女達の方から示してくれる。
 相手任せにして責任を放棄するわけではない。
 
 彼女達がそう望んでいる。俺から余計な事をするのは望まれていない。
 長い付き合いだ。そのくらいは分かる。




「それって、そういう事でいいんだよな?」

「なにが?」

「おわっとっ⁉ あ、杏奈か。おはよう」

 物思いに耽っているといきなり後ろから声を掛けられて仰け反ってしまった。

「おはようれー君。昨日は大丈夫だった? 私達あのまま帰っちゃったけど」

 杏奈は少しだけ申し訳なさそうにはにかんでいる。ちょっとは反省してるってことでいいのか。

「まあ、黒歴史認定はギリギリ回避できたよ」

「あはは、なぁにそれ」

「お前らが放置するから母ちゃんにあの痴態を見られる所だったんだよ」


「それは惜しか――危なかったねぇ」

「いま惜しかったって言ったよな」

「言ってないよー。最後までは」
「いうつもりだったんじゃねぇかこのこのっ」

「やーぁんっ、髪のセットが乱れる~」

 俺達の中で、何かが変わった。

 互いの心の距離感が……。今まではどこか探り合っていたような距離感の掴み方が理解できたような。

 そんな感覚があったんだ。

 あのキスのおかげだろうか。

「……」
「? どったの? れー君」

 ジッと、見つめてみる。無言で、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめて、頬に手の平を添えてなんかしてみたり……。

「れ、れー、くん……?」

 頬が赤い。瞳が潤む。

 何を望んでいるのか、分かるような。求めれていることが分かるような。

 それと分かるか、分からないかの、本当に微かな動きで杏奈が上向いて目を閉じ始める。

 そのまま手を添えて、少しずつ顔を……。


「二人ともおはよう~」
「おはようございま~すっ!」

「うおっとっ⁉」
「ひゃいんっ」

 ビックリした。完全に二人の世界に入り込んで周りが見えなくなっていた。

「おやおや~? お二人とも、今何をしようとしてたんですかねぇ?」

「い、いや、なんでもない。おはようふわり、鈴音」

「いやぁ、昨日はお楽しみでしたねぇ~」
「ホントですねぇ~」

「何に対して言っているのかはあえて指摘しないでおこう。おかげで楽しい夜を過ごすことができたよ」

 ファーストキスの事かと思いきや、確実に拘束プレイのまま放置して帰った後のことを言っているのが丸わかりだ。

 だって二人とも「あの後どうなったの? どうなったの?」とニヤついた顔を隠そうとしていない。

「残念ながら……ゴホン。お母さんが帰ってくる前に抜け出したんだって」

「残念ではないわ」

「そっかぁ。よかったねぇ」
「ヨカッタデスネー(チッ)」

「本音隠す気ないだろお前ら」

「きゃんっ」
「あひんっ、セクハラですよーっ」

 からかう二人の脇腹をグリグリしてやった。ふわりの癒やし系の声、鈴音の元気の出る声。

 やはり二人も昨日の事で心の距離感が変わったように思う。

 以前の俺なら彼女達と冗談を言い合ったりすることはあっても、体に触ったりすることはしなかった。

 あえてしなかったのだ。いや、できなかったし、する資格なんてない筈だった。

 チキンと笑わば笑え。

「ふにゃぁあ、脇腹だめぇ~」

「これに懲りたらあんな事は二度とするなよ、まったく」

「セクハラに磨きが掛かってますねぇレージ君ってば」

「まだ言うかこいつめ」

「ひゃぃんっ♡ 脇腹らめぇえ」

 こんなやり取りができるようになった俺達の関係性。きっと悪い事にはならない。

 それだけは分かる。


「あ、そうだ。今週末空けられる? 今度のゲームは少し規模を広げてみようと思って」

「ほほう。規模を広げるとな?」


「うん。だから3回目のゲームはふわりちゃんのマンションでやろうと思うんだ。あ、それからお泊まり会になるから着替えも持ってきてね」

「ああ、分かった。午前中だけバイトだから、後から合流するよ」
「うん、じゃあおやつ作ってまってるね。晩ご飯はうーんと豪勢にするからね」

「分かった。楽しみにしてる」

「なんか彼氏と彼女の会話みたーい」

「皆一緒のお泊まり会だってば」

 やっぱり変わった。俺達の心の距離感は、前より一層近く、親密になった気がする。

 だけど普通の恋人になろうってな気配ではない。もっともっと、特別な何かだった。
 

◇◇◇

「違う……何かが……明らかに何かが違うっ!」

「どうした友人Aよ。悪い物でも食ったか?」

「雑な紹介をありがとう我が友よっ! そんな事はどうだっていいっ!」

「いきなりどうした」

「お前っ! あの三人と何があったっ!」

「何がって、何がだよ?」

「昨日までの態度と明らかに違うっ。何かまでは分からんが、確実に何かが違うのだっ! そう、距離感だ。お互いの距離感が更に近くなっているような……。これまで遠慮して踏み込まなかった部分に踏み込む事を許された男女のようなっ!」

 鋭いな。こいつエスパーの才能あるんじゃないか?

「心配しなくても互いの関係は何も変わってないよ」

 外面的にはな……。お付合いをするとか、そういう間柄にはなっていない。

 つまり幼馴染みというカテゴリは変わっていない。

 だから何も変わっていない。だから変える必要は無い。

 お互いの接し方は、自然とありのままに受け入れていくだろうから。

 
◇◇◇

 その日から変わったのは心の距離感だけではなかった。

 いつもなら時間さえあれば誰からともなく俺の家に集まっていたのだが、それがなくなった。

 誰かからやめようと言われたわけじゃない。
 俺からやめようとも言ってない。

 ただ自然と、四人が四人とも週末の王様ゲームを心待ちにしているからだと分かる。

 学園が終わって、それぞれが家に帰って、バイトをこなして、また学園生活を送り、やがてやってくる週末をジッと待つ。
 

 ここ数日は、お互いに浮き足立っているのがわかった。

 そして、その日がやってくるまで必要以上に接触する事はしなかった。

 楽しみだったからだ。その楽しみを一層顕著に感じるために、まるで皆で楽しい旅行をするために頑張ってお金を貯めている時のような。

 期待を溜めて、溜めて、溜めまくった。

 もう前日の金曜日には目に見えて分かるほど、皆ソワソワしていた。

 そしていよいよやってきた週末。
 3回目の王様ゲームを実施する土曜日を迎えたのだった。

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