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第1章 鬱ゲー転生で即決断
第5話「善意の仮面と、揺さぶり」
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放課後。
俺と真白は並んで下駄箱へ向かっていた。
今日も隣を歩くだけで、教室中から冷やかしとため息の嵐。
正直居心地は悪いが――真白の嬉しそうな顔を見ると、それも悪くないと思えてしまう。
「今日はどこ寄る?」
「えっとね……」
真白が小首をかしげた、その時だった。
「おー、二人仲いいな」
軽快な声。振り向けば、そこに神崎玲央が立っていた。
壁にもたれ、片手をポケットに突っ込み、もう片方の手には飲みかけの缶コーヒー。
その姿は絵に描いたような“余裕ある上級生”。
「真白ちゃん、荷物重そうだな。俺が持ってやろうか?」
「え、あ、だいじょうぶです!」
真白が慌てて首を振る。
「気にすんなって。俺、力仕事得意だからさ」
さらりと差し出される手。
周囲の生徒は「やっぱ優しいなぁ」「モテる理由わかるわ」と笑っている。
……だが俺には見えた。
缶コーヒーを傾けた拍子に、ほんの一瞬だけ俺を横目で射抜いた視線。
蛇のようにぬめりつく、不快な光。
(……また俺を試してやがる)
その瞬間、頭の奥に焼き付いた“あの光景”がフラッシュバックする。
――薄暗い廊下で腕を乱暴に掴まれる真白。
必死に身をよじって抵抗しているのに、テキストは無慈悲に進む。
「嫌だ」「助けて」――その文字が、淡々と画面に流れ落ちていく。
胸の奥をかきむしられるような焦燥。
どれだけ強くボタンを押しても、シナリオは止まらない。
怒りで手が震え、コントローラーを握る指先が白くなる。
それでも何も変わらない。
「やめろ」と叫んだ声は、無音の画面に吸い込まれて消えた。
目の前で泣いている真白を助けられない――その無力さに、何度歯を食いしばったか。
ただのゲーム画面のはずなのに、胃が焼けるような悔しさと怒りがいつまでも残った。
(……絶対に繰り返させない。今度は――俺の手で、必ず止める)
「ありがとうございます。でも、本当に平気ですから」
真白は小さく笑って断り、俺の袖をぎゅっと握った。
その瞬間、玲央の笑みがわずかに歪む。
「そっか。……まぁ、俺はいつでも力になるからな。困ったら遠慮せず頼れよ?」
「は、はい……」
そう言い残し、玲央は軽い足取りで去っていった。
背中を見送るクラスメイトたちは「やっぱイケメンだよな」「優しすぎる」と盛り上がっている。
……だが俺は背中越しにも感じ取った。
振り返らずに投げてきた、ぞわりと肌を這うような視線。
(気持ち悪い……。でも、今度こそ俺が真白を守る)
「……ごめんね」
ふいに真白が呟いた。
「先輩に悪く思われたらって、ちょっと怖くて……でも、私、あなたの隣にいたいから」
顔を赤らめながらも、真白はしっかりと俺の袖を握っていた。
その瞬間、脳裏に浮かぶ――ゲームで見た無機質なテキスト。
『……断れない……怖い……どうしたらいいの……』
『誰か、助けて……』
選択肢はなく、ただ進むだけのイベント。
画面越しに見せつけられた“恐怖に囚われた真白”のモノローグ。
(……そうだ。真白は優しいからこそ、強く拒絶できない。
本当は嫌でも、相手を怒らせないようにしてしまう。
だからあのゲームでは、玲央に付け入られた……)
心臓がきしむ。
真白の笑顔の裏に、今もあの恐怖が少しでも残っているのだとしたら――。
俺は彼女の温もりを確かめるように、袖を握る手を包み込んだ。
「真白」
「うん?」
「俺は絶対にお前を離さない。誰が相手でも、守るから」
真白の頬が真っ赤に染まり、潤んだ瞳で笑う。
「……うんっ」
俺は改めて誓った。
――神崎玲央の狡猾な罠がどれだけ待ち受けていようとも、絶対に真白を奪わせはしない。
休日の朝。
駅前で待ち合わせをしていた俺は、胸の鼓動が早くなるのを抑えきれなかった。
昨日――真白が見せた、不安げな顔がずっと頭から離れなかったからだ。
(……優しいからこそ、断れずに飲み込んでしまう。
ゲームの中で、真白はその性格に付け込まれて傷ついた。
だから俺が、絶対に安心させてやらなきゃならない)
そんな決意を胸に待っていると――
「……お待たせ」
振り向いた瞬間、息が詰まった。
そこに立っていたのは、普段の制服姿とは違う真白。
白いワンピースに淡いカーディガン、揺れる黒髪は光を受けて艶やかに輝く。
大きな瞳は不安げに瞬いているのに、ほんの少しの期待も宿していた。
胸元のラインはワンピースに包まれて柔らかに浮かび上がり、街の風景ごと一枚の絵画に変えてしまうほどだった。
「……似合ってる」
「えっ!? あ、ありがと……」
真白は耳まで赤く染め、視線を泳がせながらも小さな笑みを浮かべる。
(ゲーム画面越しに見ていた“立ち絵”とは違う。
今、目の前にいるのは血の通った真白。
俺の彼女で、守るべき大切な存在だ)
「じゃ、行こっか。今日は私、いっぱい歩きたい気分なの」
「よし、任せろ。全部エスコートする」
ショッピングモール。
休日で賑わう人混みの中、真白は腕を少しだけ俺に絡めてきた。
「……こうしてると、安心するの」
小さな声でそう囁かれ、胸の奥が熱くなる。
(そうだ……真白は俺の隣で安心して笑っていればいい。
誰に気を遣う必要もない。
もう、あんな恐怖を味あわせたりしない)
俺はそっと彼女の手を取り、人混みの中でも決して離さないように歩き出した。
(絶対に守る。真白が“断れない優しさ”で傷つくなんて、もう二度とさせない)
休日のざわめきの中、彼女の笑顔を見ながら俺は改めてそう誓った。
◇◇◇
「このカフェ、いい雰囲気だね」
ショッピングモールの奥にあるガラス張りのカフェで、俺と真白は並んでケーキを食べていた。
真白はショーケースで迷った末に苺のショートケーキを選び、フォークで一口食べると目を輝かせる。
「ん……おいしい。ね、ちょっと食べてみる?」
「え、いいのか?」
「……彼氏だから、特別に」
真白はフォークにケーキを載せて、俺の口元へ差し出す。
恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、期待に満ちた瞳でこちらを見上げてくる。
「……じゃ、いただきます」
口に含んだ瞬間、ほんのり甘酸っぱい苺の味が広がった。
それよりも胸に広がるのは、彼女が差し出してくれたその気持ちの温かさだった。
「……すげぇ美味しい」
「よかった……」
真白は胸を撫で下ろし、今度は自分のフォークで頬張って幸せそうに笑った。
(……ああ、これが俺の求めていた日常だ。
ただ隣で笑い合えるだけで、こんなにも心が満たされる)
だがその温もりに浸りながらも――心のどこかに、小さなざらつきが残っていた。
「なぁ聞いた? 神崎先輩、また女の子と一緒にいるの見たって」
「え、どの子? 真白ちゃんじゃなく?」
「さぁ? でもあの人、よく声かけてるからな」
隣の席の女子高生グループの会話が、耳に飛び込んできた。
その名を聞いた瞬間、胸がざわりと揺れる。
カフェの窓越しに外を見やれば――
ちょうど視線の先、通りを歩く玲央と一瞬目が合った気がした。
すぐに人混みに紛れて見えなくなったが、あの冷たい蛇のような光は、確かに俺を射抜いていた。
(……やっぱり、あいつはどこにでも現れる)
喉の奥に苦いものが込み上げる。
だが隣で無邪気にケーキを食べる真白の笑顔を見て、その感情を押し殺した。
(この笑顔を守る。それだけが俺の使命だ。
玲央がどんな手を使ってきても、絶対に……!)
真白が不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの?」
「……なんでもない。真白の笑顔見てたら、幸せすぎて」
「な、なにそれ……!」
真白の耳まで赤く染まる。
俺はその横顔を見ながら、心の奥で再び強く誓った。
――絶対に奪わせはしない。
「ね、ちょっと寄ってみない?」
真白が足を止めたのは、駅前のアパレルショップだった。
ガラス越しに見えるマネキンのワンピースを指差し、少しだけ頬を赤らめる。
「こういうの、似合うかな……」
「似合うに決まってる」
「ま、まだ試着してないのに……!」
恥ずかしそうに言いながらも、真白は店に入っていった。
試着室のカーテンが開いた瞬間、思わず息を呑む。
柔らかな水色のワンピースに包まれた真白は、清楚さの中に大人っぽい雰囲気を纏っていて――まるで雑誌の表紙を飾るモデルのようだった。
「……ど、どうかな?」
「……最高だ」
「~~っ!」
真白の顔が一気に真っ赤に染まり、慌ててカーテンを閉めてしまった。
(……やっぱり、俺の隣にいるのは学園一の美少女なんだよな)
その後、本屋で雑誌を立ち読みしながら笑い合ったり、アクセサリーショップで「ペアのキーホルダーだよ」と冷やかされたり。
気づけば、自然に手をつなぐ時間が増えていた。
「……あのね」
帰り道、真白が歩きながら小さく言った。
「今日はすごく楽しかった。今までで一番かもしれない」
その言葉に胸が熱くなる。
(……そうだ。この当たり前の一日こそ、俺が欲しかったものだ)
ゲームの中では一度も見ることのなかった光景。
画面越しでは決して味わえなかった笑顔。
今こうして、目の前で手を繋いでいる。
「俺もだ。……ありがとうな、真白」
「えへへ……」
真白は嬉しそうに微笑み、少しだけ腕を絡めてきた。
その温もりに触れながら、俺は心の底から幸せだと思った。
夕焼けに照らされた駅前の道を歩く二人の影は、重なり合うように寄り添っていた。
俺と真白は並んで下駄箱へ向かっていた。
今日も隣を歩くだけで、教室中から冷やかしとため息の嵐。
正直居心地は悪いが――真白の嬉しそうな顔を見ると、それも悪くないと思えてしまう。
「今日はどこ寄る?」
「えっとね……」
真白が小首をかしげた、その時だった。
「おー、二人仲いいな」
軽快な声。振り向けば、そこに神崎玲央が立っていた。
壁にもたれ、片手をポケットに突っ込み、もう片方の手には飲みかけの缶コーヒー。
その姿は絵に描いたような“余裕ある上級生”。
「真白ちゃん、荷物重そうだな。俺が持ってやろうか?」
「え、あ、だいじょうぶです!」
真白が慌てて首を振る。
「気にすんなって。俺、力仕事得意だからさ」
さらりと差し出される手。
周囲の生徒は「やっぱ優しいなぁ」「モテる理由わかるわ」と笑っている。
……だが俺には見えた。
缶コーヒーを傾けた拍子に、ほんの一瞬だけ俺を横目で射抜いた視線。
蛇のようにぬめりつく、不快な光。
(……また俺を試してやがる)
その瞬間、頭の奥に焼き付いた“あの光景”がフラッシュバックする。
――薄暗い廊下で腕を乱暴に掴まれる真白。
必死に身をよじって抵抗しているのに、テキストは無慈悲に進む。
「嫌だ」「助けて」――その文字が、淡々と画面に流れ落ちていく。
胸の奥をかきむしられるような焦燥。
どれだけ強くボタンを押しても、シナリオは止まらない。
怒りで手が震え、コントローラーを握る指先が白くなる。
それでも何も変わらない。
「やめろ」と叫んだ声は、無音の画面に吸い込まれて消えた。
目の前で泣いている真白を助けられない――その無力さに、何度歯を食いしばったか。
ただのゲーム画面のはずなのに、胃が焼けるような悔しさと怒りがいつまでも残った。
(……絶対に繰り返させない。今度は――俺の手で、必ず止める)
「ありがとうございます。でも、本当に平気ですから」
真白は小さく笑って断り、俺の袖をぎゅっと握った。
その瞬間、玲央の笑みがわずかに歪む。
「そっか。……まぁ、俺はいつでも力になるからな。困ったら遠慮せず頼れよ?」
「は、はい……」
そう言い残し、玲央は軽い足取りで去っていった。
背中を見送るクラスメイトたちは「やっぱイケメンだよな」「優しすぎる」と盛り上がっている。
……だが俺は背中越しにも感じ取った。
振り返らずに投げてきた、ぞわりと肌を這うような視線。
(気持ち悪い……。でも、今度こそ俺が真白を守る)
「……ごめんね」
ふいに真白が呟いた。
「先輩に悪く思われたらって、ちょっと怖くて……でも、私、あなたの隣にいたいから」
顔を赤らめながらも、真白はしっかりと俺の袖を握っていた。
その瞬間、脳裏に浮かぶ――ゲームで見た無機質なテキスト。
『……断れない……怖い……どうしたらいいの……』
『誰か、助けて……』
選択肢はなく、ただ進むだけのイベント。
画面越しに見せつけられた“恐怖に囚われた真白”のモノローグ。
(……そうだ。真白は優しいからこそ、強く拒絶できない。
本当は嫌でも、相手を怒らせないようにしてしまう。
だからあのゲームでは、玲央に付け入られた……)
心臓がきしむ。
真白の笑顔の裏に、今もあの恐怖が少しでも残っているのだとしたら――。
俺は彼女の温もりを確かめるように、袖を握る手を包み込んだ。
「真白」
「うん?」
「俺は絶対にお前を離さない。誰が相手でも、守るから」
真白の頬が真っ赤に染まり、潤んだ瞳で笑う。
「……うんっ」
俺は改めて誓った。
――神崎玲央の狡猾な罠がどれだけ待ち受けていようとも、絶対に真白を奪わせはしない。
休日の朝。
駅前で待ち合わせをしていた俺は、胸の鼓動が早くなるのを抑えきれなかった。
昨日――真白が見せた、不安げな顔がずっと頭から離れなかったからだ。
(……優しいからこそ、断れずに飲み込んでしまう。
ゲームの中で、真白はその性格に付け込まれて傷ついた。
だから俺が、絶対に安心させてやらなきゃならない)
そんな決意を胸に待っていると――
「……お待たせ」
振り向いた瞬間、息が詰まった。
そこに立っていたのは、普段の制服姿とは違う真白。
白いワンピースに淡いカーディガン、揺れる黒髪は光を受けて艶やかに輝く。
大きな瞳は不安げに瞬いているのに、ほんの少しの期待も宿していた。
胸元のラインはワンピースに包まれて柔らかに浮かび上がり、街の風景ごと一枚の絵画に変えてしまうほどだった。
「……似合ってる」
「えっ!? あ、ありがと……」
真白は耳まで赤く染め、視線を泳がせながらも小さな笑みを浮かべる。
(ゲーム画面越しに見ていた“立ち絵”とは違う。
今、目の前にいるのは血の通った真白。
俺の彼女で、守るべき大切な存在だ)
「じゃ、行こっか。今日は私、いっぱい歩きたい気分なの」
「よし、任せろ。全部エスコートする」
ショッピングモール。
休日で賑わう人混みの中、真白は腕を少しだけ俺に絡めてきた。
「……こうしてると、安心するの」
小さな声でそう囁かれ、胸の奥が熱くなる。
(そうだ……真白は俺の隣で安心して笑っていればいい。
誰に気を遣う必要もない。
もう、あんな恐怖を味あわせたりしない)
俺はそっと彼女の手を取り、人混みの中でも決して離さないように歩き出した。
(絶対に守る。真白が“断れない優しさ”で傷つくなんて、もう二度とさせない)
休日のざわめきの中、彼女の笑顔を見ながら俺は改めてそう誓った。
◇◇◇
「このカフェ、いい雰囲気だね」
ショッピングモールの奥にあるガラス張りのカフェで、俺と真白は並んでケーキを食べていた。
真白はショーケースで迷った末に苺のショートケーキを選び、フォークで一口食べると目を輝かせる。
「ん……おいしい。ね、ちょっと食べてみる?」
「え、いいのか?」
「……彼氏だから、特別に」
真白はフォークにケーキを載せて、俺の口元へ差し出す。
恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、期待に満ちた瞳でこちらを見上げてくる。
「……じゃ、いただきます」
口に含んだ瞬間、ほんのり甘酸っぱい苺の味が広がった。
それよりも胸に広がるのは、彼女が差し出してくれたその気持ちの温かさだった。
「……すげぇ美味しい」
「よかった……」
真白は胸を撫で下ろし、今度は自分のフォークで頬張って幸せそうに笑った。
(……ああ、これが俺の求めていた日常だ。
ただ隣で笑い合えるだけで、こんなにも心が満たされる)
だがその温もりに浸りながらも――心のどこかに、小さなざらつきが残っていた。
「なぁ聞いた? 神崎先輩、また女の子と一緒にいるの見たって」
「え、どの子? 真白ちゃんじゃなく?」
「さぁ? でもあの人、よく声かけてるからな」
隣の席の女子高生グループの会話が、耳に飛び込んできた。
その名を聞いた瞬間、胸がざわりと揺れる。
カフェの窓越しに外を見やれば――
ちょうど視線の先、通りを歩く玲央と一瞬目が合った気がした。
すぐに人混みに紛れて見えなくなったが、あの冷たい蛇のような光は、確かに俺を射抜いていた。
(……やっぱり、あいつはどこにでも現れる)
喉の奥に苦いものが込み上げる。
だが隣で無邪気にケーキを食べる真白の笑顔を見て、その感情を押し殺した。
(この笑顔を守る。それだけが俺の使命だ。
玲央がどんな手を使ってきても、絶対に……!)
真白が不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの?」
「……なんでもない。真白の笑顔見てたら、幸せすぎて」
「な、なにそれ……!」
真白の耳まで赤く染まる。
俺はその横顔を見ながら、心の奥で再び強く誓った。
――絶対に奪わせはしない。
「ね、ちょっと寄ってみない?」
真白が足を止めたのは、駅前のアパレルショップだった。
ガラス越しに見えるマネキンのワンピースを指差し、少しだけ頬を赤らめる。
「こういうの、似合うかな……」
「似合うに決まってる」
「ま、まだ試着してないのに……!」
恥ずかしそうに言いながらも、真白は店に入っていった。
試着室のカーテンが開いた瞬間、思わず息を呑む。
柔らかな水色のワンピースに包まれた真白は、清楚さの中に大人っぽい雰囲気を纏っていて――まるで雑誌の表紙を飾るモデルのようだった。
「……ど、どうかな?」
「……最高だ」
「~~っ!」
真白の顔が一気に真っ赤に染まり、慌ててカーテンを閉めてしまった。
(……やっぱり、俺の隣にいるのは学園一の美少女なんだよな)
その後、本屋で雑誌を立ち読みしながら笑い合ったり、アクセサリーショップで「ペアのキーホルダーだよ」と冷やかされたり。
気づけば、自然に手をつなぐ時間が増えていた。
「……あのね」
帰り道、真白が歩きながら小さく言った。
「今日はすごく楽しかった。今までで一番かもしれない」
その言葉に胸が熱くなる。
(……そうだ。この当たり前の一日こそ、俺が欲しかったものだ)
ゲームの中では一度も見ることのなかった光景。
画面越しでは決して味わえなかった笑顔。
今こうして、目の前で手を繋いでいる。
「俺もだ。……ありがとうな、真白」
「えへへ……」
真白は嬉しそうに微笑み、少しだけ腕を絡めてきた。
その温もりに触れながら、俺は心の底から幸せだと思った。
夕焼けに照らされた駅前の道を歩く二人の影は、重なり合うように寄り添っていた。
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