前世ゲーマーの俺、最悪の寝取られルートをハッピー学園ラブに改造中

かくろう

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第2章 体育祭の思い出作り

第24話「応援団の初披露!」

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 放課後の体育館。
 ステージの上に立った俺は、クラス全員の視線を浴びていた。

「……それじゃあ、いくぞ! 赤組――!」

 声を張り上げると、待っていたように大きな声が返ってくる。

「勝つぞぉおおお!!」

 体育館の天井が震えるほどの響き。
 初めはバラバラだった声が、何度も繰り返すうちにひとつに揃っていく。
 その瞬間、鳥肌が立つような高揚感が全身を駆け抜けた。

(すげぇ……みんな、ちゃんと一つになってる)

 次は振り付けの練習。
 女子を中心にしたダンスの隊形に、男子も加わってステップを踏む。
 ぎこちなさはあるけれど、それすら笑いに変わっていた。

「右! 左! せーのっ!」
 先頭で手を伸ばす真白の声が、体育館に透き通るように響く。
 軽やかな動きと笑顔に、自然と拍手が起きた。

「すごい……真白ちゃん、完璧!」
「さすが我らがアイドル!」

 クラスの女子が口々に褒めそやす。
 真白は少し恥ずかしそうに笑いながらも、最後まで堂々と踊りきってみせた。


 一方で、少し後ろにいる白石紗和は必死についていっていた。
 ステップを間違えて隣とぶつかり、顔を赤くして「ごめん!」と頭を下げる。
 それでも何度も繰り返し、汗を滲ませながら動きを覚えようとしていた。

(……白石も、ちゃんと頑張ってるんだな)

 その姿勢に、自然と胸の奥で感心が芽生える。
 真白が「光」だとすれば、紗和は「影で支える努力の人」かもしれない。
 どちらもクラスにとって欠かせない存在だ。

「新堂! 最後にもう一回声出そうぜ!」
 男子が叫ぶ。
 俺は前に出て、腹の底から声を張った。

「赤組――!」
「勝つぞぉおおお!!」

 全員の声が揃った瞬間、体育館全体が一つの熱気に包まれる。
 真白が俺に笑顔を向け、紗和も小さく頷いてくれた。

(よし……これならいける。赤組は勝てる)

 胸の奥に確かな手応えを感じながら、俺は汗を拭った。
 体育祭の本番が、もう待ち遠しくて仕方なかった。


◇◇◇

 体育祭で一番盛り上がる種目といえば――やっぱりリレーだ。
 赤組のリレー代表を決めるため、放課後の校庭に集まった俺たちのクラスは、ちょっとしたお祭り騒ぎになっていた。

「男子は四人、女子は二人! ここはガチで速い人に頼みたい!」
 リーダー格の男子が声を張る。

「俺いけるっすよ!」
「いやいや、絶対俺のほうが速いから!」

 立候補が相次ぎ、周囲からは冷やかしと歓声。
 クラス全体が一気にヒートアップする。


「じゃあ、実際に走ってみてタイムで決めよう!」
 俺がそう提案すると、すぐに賛同の声が上がった。

 白線を引いた即席のコース。
 スタートの掛け声とともに、生徒たちが次々と駆け抜けていく。

「おおー! 速い!」
「ちょっとフォームが変だぞ!」
「うわ、コケた!」

 笑いと歓声が入り混じり、校庭は完全にお祭り状態だ。

「次は女子!」
 名前が呼ばれると、真白と白石紗和の二人も前に出た。

「私……遅いかもしれないけど、全力で頑張るね」
 真白が小さく笑う。

「だ、大丈夫……一緒に走ろ」
 紗和は緊張した様子で手を握りしめていた。

 俺はその姿に思わず声をかける。
「真白も白石も、自分のペースでいい。タイムなんか気にするな」

 二人は同時にこちらを見て、少しだけ安心したように頷いた。

 いざ走り出すと、真白の長い黒髪が風に舞い、夕陽を受けてきらめく。
 スラリと伸びた脚がリズムよく地面を蹴るたびに、見ているだけで胸が高鳴った。

 一方、紗和はぎこちないフォームながらも必死に腕を振り、最後まで全力で駆け抜けた。
 ゴールした瞬間、顔を真っ赤にして肩で息をする姿に、自然と拍手が送られる。

「二人とも頑張ったな!」
 俺が言うと、真白は汗を拭きながら微笑み、紗和は照れたように下を向いた。

 最終的にタイムを計算し、代表メンバーが決まった。
 男子は陸上部の二人を含めて堅実な布陣。女子は――真白が堂々と代表入りした。

「わ、わたし……ほんとに走っていいの?」
「もちろん! 結城さんなら安心だろ!」
「赤組のエースだ!」

 クラス中からの期待に、真白の頬が赤く染まる。
 その横顔を見ていると、胸の奥に「絶対勝たせてやりたい」という強い想いが込み上げた。

(……よし、俺が全力でサポートする。クラスのために。そして――真白のために)

 そう心に誓いながら、リレー代表決定戦は幕を閉じた。

◇◇◇

 翌日の放課後。
 夕陽が差し込む校庭の隅で、ひとり影が動いているのが見えた。

(……あれ?)

 陸上部の練習も終わっている時間。
 誰だろうと目を凝らすと、ポニーテールを揺らしながら必死に走る姿が目に入った。

「……白石?」

 汗で額の前髪が張りつき、肩で息をしながら何度もスタートを繰り返す。
 ゴールまでたどり着いては振り返り、今度は腕の振りを直してまた走り出す。
 ぎこちないフォームだけど――その必死さは痛いほど伝わってきた。

(どうして……代表に選ばれなかったのに)

 声をかけるべきか迷ったが、彼女は真剣だった。
 その表情に思わず息を呑む。

「……はぁっ……はぁっ……」
 ゼェゼェと息を切らしながらも、紗和は自分に言い聞かせるように呟いていた。

「せめて……バトン渡す練習くらい……できるようにしなきゃ……」

 その言葉に胸が詰まった。
 代表じゃなくても、影の部分で支えようとしてる――そんな想いがひしひしと伝わってくる。

 たまらず、声をかけた。
「おい、白石!」

「えっ!? し、新堂くん……!」
 大きく目を見開いて立ち止まる紗和。
 慌てて髪を直そうとするけど、汗でどうにもならない。

「……見てたの?」
「悪い、隠れてたわけじゃない。ただ……お前、頑張りすぎだろ」

 そう言うと、紗和はうつむき、俯いた肩を小さく震わせた。

「……だって、私……みんなみたいに目立つことはできないけど……。でも、誰かが転んだりしたら、私がサポートできるようにしておきたくて……」

 その言葉に、胸の奥が熱くなる。


「白石」
 俺は真剣に言った。
「お前みたいに見えないところで努力できる奴がいるから、チームって強くなるんだ。……だから無理はするな。でも、その気持ちは本当に大事だと思う」

 顔を上げた紗和の瞳が潤み、夕陽を受けてきらきらと光った。

「……ありがとう、新堂くん。……なんか、報われた気がする」


 紗和はそう言って、少し照れくさそうに笑った。
 夕陽に照らされたその横顔は、汗でぐしゃぐしゃなのに、どこか誇らしげで――まるで自分の居場所を見つけた人のように見えた。

(……あいつ、本当に努力してたんだな)

 ただの補欠でもなく、ただの賑やかしでもなく。
 誰も気づかないところで走り込んで、サポートのことまで考えている。
 その姿勢に、俺は素直に胸を打たれていた。


「白石」
 俺は言葉を選んで、ゆっくりと告げた。
「……さっきも言ったけど、無理はするなよ。でも、その気持ちがある限り、お前は絶対にクラスに必要な人間だ」

 紗和は驚いたように瞬きをし、そして小さく頷いた。
 その目にはまだ不安が残っていたけれど、それ以上に――ほんの少し、光が宿っていた気がした。

 グラウンドの向こうでは、部活帰りの生徒たちがぽつぽつと通り過ぎていく。
 彼女の小さな努力なんて、誰も気づかない。
 けれど俺だけは、ちゃんと見た。

(……真白も白石も、クラスのために頑張ってる。俺が全部受け止めなきゃダメだな)

 胸の奥で、ひとつ決意が固まる。
 体育祭は勝つ。どんな手を使ってでも勝ちにいく。
 その先にある「みんなの笑顔」を絶対に掴んでやる――そう思った。


 ◇◇◇

【side紗和】

 「……無理はするなよ。でも、その気持ちがある限り、お前は絶対にクラスに必要な人間だ」

 新堂くんの言葉が、胸の奥にじんわりと染みていった。
 夕陽に照らされた彼の横顔は、真剣そのものだった。
 からかいや慰めじゃない。ちゃんと、私を一人の仲間として見てくれている。

(……必要、って。私が……?)

 信じられないような、でも信じたい言葉。
 胸の奥で小さく火が灯る。


 今まで私は、比べられることに怯えてばかりだった。
 真白ちゃんの華やかさには敵わない。
 成績でも運動でも、誰かより上に立てたことなんてほとんどない。

 だからこそ――「私なんかいなくてもいい」って、何度も思ってしまっていた。

 でも、新堂くんは違った。
 私が影で努力していることを見つけてくれて、それを「必要」と言ってくれた。

(……それだけで、こんなに心が軽くなるんだ)

「ありがとう……」
 小さく呟くと、新堂くんが一瞬きょとんとして、すぐに笑ってくれた。
 その笑顔を見た瞬間、胸の奥がきゅっと熱くなる。

(こんな顔、ずるいよ……。だから私、きっと頑張れるんだ)

 真白ちゃんみたいに堂々とはできない。
 でも――私にしかできない頑張り方がある。
 そのことを初めて誇りに思えた気がした。

 赤く染まる空の下、吹き抜ける風が心地よかった。
 私の中で静かに灯った小さな火は、これからの体育祭まで消えることはないだろう。
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