前世ゲーマーの俺、最悪の寝取られルートをハッピー学園ラブに改造中

かくろう

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第2章 体育祭の思い出作り

第25話「作戦会議リターンズ」

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 教室の黒板いっぱいに、体育祭の種目ごとの表が貼られていた。
 赤、青、黄――三組の対抗戦。勝ち星の数で優勝が決まる。

 俺たちのクラスは、リレー代表も決まり、応援団の練習も形になってきた。
 次は、いかに効率よく勝ち星を稼ぐか――その戦略を立てる段階だ。

「まずは走力が重要な種目に、陸上部を集中させるべきだと思う」
 俺が口を開くと、男子たちが頷いた。

「リレーは絶対勝ちたいよな!」
「あと騎馬戦も、体格あるやつに任せよう」

 意見が飛び交う。教室はちょっとした作戦会議室のように熱気を帯びていた。

「応援合戦は……女子の出番が大きいよね」
 ひとりの女子が言うと、自然と真白に視線が集まった。

「えっ、わ、私……?」
 驚いたように目を丸くする真白。

「いや、結城なら安心だろ! 声も通るし、踊りも上手いし!」
「赤組の顔って感じだよな!」

 クラスメイトたちの声に、真白の頬がほんのり赤く染まる。
 彼女は照れながらも「うん、頑張るね」と小さく笑った。

 その笑顔を見ていると、俺の胸も熱くなる。
(やっぱり……真白がこのクラスの中心だ)

「……あの」
 おずおずと手を上げたのは白石紗和だった。

「玉入れの補助とか……記録つけとか、私もできることあります。だから、もし人手が足りないときは、私に任せてもらえたら……」

 一瞬、場が静かになった。
 けれどすぐに、女子のひとりが言った。

「いいじゃん! 白石ちゃん、そういうの向いてると思う!」
「うん、頼りになる!」

 温かい空気が広がり、紗和の頬が赤く染まった。

(……よかったな、白石。お前の努力、ちゃんと伝わってる)

 黒板にペンでチェックを入れながら、俺は締めくくるように言った。

「――勝ちたいって気持ちはみんな同じだ。そのために、一人ひとりが自分の持ち場で全力を尽くせば、絶対に勝てる。俺も全力で引っ張るから、みんなも頼む!」

「おおーーっ!!」
 教室に響く大きな声。
 拳を突き上げるクラスメイトたちの表情には、迷いがなかった。

(よし……これでいい。もう“孤立した寄せ集め”じゃない。みんなで一つになって、勝ちにいける)

 隣で真白が嬉しそうに笑い、少し後ろで紗和が安心したように頷いている。
 その光景を見ただけで、胸の奥に揺るぎない確信が芽生えた。

(赤組は……俺たちのクラスは、必ず勝つ)


◇◇◇

【side真白】

 黒板に大きく貼られた体育祭の種目表。
 男子も女子も一生懸命に意見を出し合って、教室全体が熱気に包まれていた。
 その中心にいるのは――やっぱり、新堂蒼真くんだった。

(いつの間にか……本当に、みんなを引っ張る存在になってるんだな)

 昔の蒼真くんは、どちらかといえば控えめで、自分から目立つことなんてなかった。
 それが今では、黒板の前で堂々と作戦を整理して、クラス全員をまとめている。
 その姿が眩しくて、胸の奥がじんわりと温かくなる。

「応援合戦は……女子の出番が大きいよね」
 誰かがそう言った瞬間、教室の空気が少し変わった。

「えっ、わ、私……?」
 気づけば、みんなの視線が一斉に私に向いていた。
 頬が熱くなる。心臓が早鐘を打つ。

「結城なら安心だろ!」
「声も出るし、踊りも上手いし!」

 次々に飛んでくる賛辞。
 褒められることは嬉しいけど、それ以上に――「期待されている」という事実が重かった。

(……でも、大丈夫。蒼真くんが隣にいてくれるから)

 不安を振り払うように笑って、「うん、頑張るね」と答えた。
 そのとき、蒼真くんが横でふっと笑ってくれる。
 その笑顔に背中を押されて、胸の奥が勇気で満たされていった。

「……あの」
 おずおずと手を挙げたのは白石紗和ちゃんだった。

「玉入れの補助とか……記録つけとか、私もできることあります」

 彼女の声は小さくて、最初は届かないんじゃないかと思った。
 でも蒼真くんが振り返って、真剣な目で彼女を見た瞬間――教室全体の空気が変わった。

「いいじゃん!」
「頼りになるよ、白石ちゃん!」

 拍手が広がり、紗和ちゃんの顔がぱっと明るくなる。
 私はその横顔を見て、自然と笑みがこぼれた。

(よかった……私だけじゃなくて、紗和ちゃんもちゃんと認めてもらえてる)

 最後に蒼真くんが前に立って、力強く言葉を放った。

「――勝ちたいって気持ちはみんな同じだ。そのために、一人ひとりが自分の持ち場で全力を尽くせば、絶対に勝てる!」

「おおーーっ!!」

 教室全体に響く声。
 その中心にいる蒼真くんの姿は、まるで本物の団長みたいだった。

(……蒼真くん。こんなに頼もしい人だったんだね)

 誇らしくて、嬉しくて、少し胸が熱くなる。
 彼の隣にいられることが、今の私にとって何よりの幸せだった。

◇◇◇

 明日はついに体育祭本番。
 放課後の教室には、どこか浮き足立った空気が漂っていた。
 黒板には種目ごとの担当と配置、そして「赤組優勝!」と大きな文字が残されている。

「明日こそ本番か……」
 机に肘をつきながら、俺は窓の外を見上げた。
 夕焼けに染まるグラウンドでは、他のクラスがまだ声を合わせて練習している。
 その声を聞くだけで、胸の奥にじわりと緊張が広がった。

「蒼真くん」
 後ろから声をかけてきたのは真白だった。
 ノートを抱えながら、少し不安そうに眉を寄せている。

「なんか……ドキドキするね。うまくできるかなって」

「大丈夫だ」
 即座に言い切る。
 不安を払うように、真白の肩に軽く手を置いた。

「お前はちゃんと練習してきた。俺が見てきたんだから、間違いない」

 真白は一瞬きょとんとした後、ふわりと笑った。
 その笑顔を見ただけで、不思議と自分まで落ち着いてくる。

「……あの、私も」
 今度はドアの方から小さな声がした。
 振り返ると、紗和が控えめに立っていた。

「リレーの補助とか、道具のチェック……全部終わらせておいたよ。少しでも役に立てればって」

「おお、助かる! ありがとう、白石」
 本心から礼を言うと、紗和は耳まで真っ赤にして小さくうつむいた。

(……やっぱり、みんな本気だ。絶対に負けられない)

 気づけば、周りのクラスメイトもそれぞれの準備を整えていた。
 応援団の衣装を最終チェックする女子。
 リレー用の靴紐を確認する男子。
 教室の隅では、玉入れの作戦を最後まで練り直しているグループまでいる。

 それぞれが、自分の持ち場で全力を尽くそうとしている。
 その光景に胸が熱くなった。


 帰り道。
 夕暮れの坂道を歩きながら、俺は明日のことを思った。

(真白が輝く瞬間を、俺は絶対に守る。白石やクラスのみんなの努力を無駄にはしない)

 心の奥から強く湧き上がる想いが、全身を突き動かす。
 明日――勝利を掴むために。
 そして、誰も泣かせない体育祭にするために。

◇◇◇

【side真白】

 明日は体育祭本番。
 机の上に広げたノートを見ながら、私は落ち着かない気持ちを抑えきれなかった。

(大丈夫かな……応援合戦、ちゃんとできるかな……)

 みんなの期待が集まっているのは分かっている。
 でも、だからこそプレッシャーも大きい。
 足が震えそうになるたび、無意識に隣の席の蒼真くんを見てしまった。

「大丈夫だ」
 彼はそう言って、迷いなく私の不安を切り取ってくれた。
 肩に軽く置かれた手の温もりに、心臓が跳ねる。

(……ああ、そうだ。蒼真くんがいるなら大丈夫)

 不安で押し潰されそうになっていた心が、すっと軽くなる。
 彼の一言だけで、こんなにも救われるなんて――。

 明日は絶対に失敗できない。
 でも同時に、こんなにも信じられる人が隣にいてくれるのなら、きっと私は笑って頑張れる。

(私も……蒼真くんを支えたい)

 胸の奥で、静かにそう誓った。

◇◇◇

【side紗和】

 教室のドアの陰から、みんなの様子を眺めていた。
 応援団の衣装を確認する女子たち。走り込みをしている男子たち。
 その輪の真ん中で、新堂くんが笑っている。

(……やっぱり、中心にいるんだな)

 私は代表にはなれなかった。
 だけど、補助の記録や道具の準備くらいならできる。
 それが誰かの助けになるなら、それでいい。

「リレーの補助とか、道具のチェック……全部終わらせておいたよ」
 思い切って声をかけると、新堂くんがまっすぐにこちらを見た。

「おお、助かる! ありがとう、白石」

 心臓がどくんと跳ねる。
 ほんの一言なのに、世界が変わったように感じた。
 ただの裏方だと思っていた私の存在を、ちゃんと見てくれている。

(……それだけで、こんなに嬉しいんだ)

 もちろん、真白ちゃんみたいにはなれない。
 でも私だって、このクラスの一員として役に立ちたい。
 そう思えるのは――新堂くんが、私を仲間として見てくれたから。

 明日、彼の言葉に胸を張れるように。
 私は私の持ち場で、全力を尽くそうと心に決めた。


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