前世ゲーマーの俺、最悪の寝取られルートをハッピー学園ラブに改造中

かくろう

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第4部 クリスマスとお正月

第43話「クリスマスの街角で」

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 休日の商店街は、クリスマス目前の空気に包まれていた。
 色とりどりのイルミネーションが通りを飾り、頭上には赤と緑のリースがいくつも吊るされている。

 俺と真白は並んで歩きながら、ショーウィンドウに並ぶケーキや雑貨を眺めていた。
「わぁ……どれも可愛いね。ね、蒼真君、あのリースとか部屋に飾ったらどうかな?」
「いいな。雰囲気出そうだ」
 真白は両手を胸の前で組み、目をきらきらさせている。
(……相変わらず、こういうときの真白は本当に少女そのものだな)

 そんなとき――背後から弾む声が飛んできた。
「――あれっ!? ましろん!? まさかのデート発見!」

 驚いて振り返ると、明るい茶色のショートボブが人混みをかき分けて跳ねるように近づいてきた。
「ち、千佳!? なんでここに……!」
 真白が目を丸くする。

 橘千佳――真白のバレエ仲間で、別クラスに在籍する少女。
 ゲーム内では「サブヒロイン(追加ルート)」として登場し、元気さと恋に一直線な性格が一部のプレイヤーに人気を博したキャラだ。
 本来なら“真白ルート”の裏で、陰ながら支え役に回ることが多い存在。だが、時には大胆に主人公へ迫る隠しイベントもあった。

 実際に目にすると、ゲーム画面越しよりもさらに存在感が強い。
 背丈は真白より少し高く、細身ながらも脚がすらりと長い。モデルのように映えるシルエット。
 その明るい茶色の髪が街のイルミネーションに反射して、まるでスポットライトを浴びているかのようだった。

「え、えへへー! いや、ちょっと買い物に来てただけなんだけどさ。偶然にも発見!」
 千佳は俺と真白を交互に見て、にやりと笑う。
「ふたり……ほんとに付き合ってるんだ? やーん、羨ましい!」

 真白の頬が一気に赤く染まった。
「ちょ、ちょっと千佳! 大声で言わないでよ……!」
「えー? いいじゃん、クリスマスだし! 雰囲気出てるよ、ねぇ蒼真君!」
「お、おう……」
 思わず苦笑いで返す俺。

(……なるほど。これが“太陽系サブヒロイン”ってやつか。人懐っこさで一気に距離を詰めてくるタイプだな)

 千佳はそのまま真白の腕に絡みつき、軽やかに笑った。
「ましろんって、恋人ができてから前よりずっと可愛くなったよね! もう、目がキラッキラ! 新堂君、いいなぁ~」
 彼女の無邪気なテンションは、周囲のイルミネーションすら霞ませる勢いだった。

 真白は恥ずかしそうにしながらも、楽しそうに微笑んでいる。
「千佳も、そのうち絶対できるよ」
「ほんとー? じゃ、期待しとく!」

 俺は二人のやり取りを見守りつつ、心の中でつぶやいた。
(……また“シナリオ外のサブヒロイン”と出会ったってわけか)

 クリスマスの街角に、新たな人物の影が差し込んでいた。

 「よーし、じゃあ決まり! あたしも一緒に行くー!」
 千佳は当然のように宣言し、真白の腕に絡みついた。

「えっ、ええ……? 本当に一緒に?」
 真白が困惑気味に問い返す。
「いいでしょ、ましろん。せっかくの偶然だし!」
 にっこりと笑う千佳は、人懐っこさ全開だ。

「蒼真君もいいよね?」
 きらきらした瞳で俺に問われて、断れるわけもなく頷いた。
「まぁ……賑やかなのも悪くないか」
「やった!」
 両手を叩いて喜ぶ千佳。その無邪気さは、寒空すら明るく照らしているみたいだ。

 その一方で――真白は小さく唇を尖らせた。
「……なんだか、デートって感じじゃなくなっちゃった」
「え? 何か言った?」
 千佳が振り返ると、真白は慌てて首を振る。
「な、なんでもない……」
 頬は赤い。嫉妬とも照れともつかない感情が滲んでいて、俺の胸がくすぐったくなった。

 三人並んで商店街を歩く。
 ショーウィンドウに映る俺たちの姿は、妙に華やかだった。
 真白の清楚さ、千佳の明るさ、そして俺。まるでバランスの取れた舞台のようだ。

「ねぇねぇ、見て! この店のクレープ、バレエの帰りによく寄るんだよ!」
 千佳が指差すと、真白も嬉しそうに頷く。
「うん、あそこ美味しいんだよ。チョコバナナのクレープ、私のおすすめ」
「おっ、じゃあ食べてみるか」
 自然な流れでクレープを三人分注文した。

 店先で渡されたクレープを手に、千佳がにやりと笑う。
「はいはい、新堂君。ましろんに“あーん”してあげなよ!」
「えっ!? ちょ、千佳!」
 真白が慌てて止めようとするが、千佳は構わず背中を押す。

「……じゃ、じゃあ……」
 クレープを小さく切り分け、真白に差し出す。
 彼女は顔を真っ赤にしながらも口を開き――
「……ん」
 ぱくり。

 その瞬間、千佳が両手を叩いて大爆笑した。
「きゃー! 本当にやった! やば、見てるこっちが照れるんだけど!」
「~~~っ!」
 真白は顔を覆い、俺はただ苦笑するしかなかった。

(……やっぱり“ゲームのサブヒロイン”って、こうやって主役カップルの関係を賑やかにしてくれる存在なんだな)

 けれど、不思議と悪くない。
 むしろ千佳が加わることで、真白の嫉妬や照れが引き出され、俺にはそれがたまらなく可愛く映った。

 イルミネーションが輝く街を、三人の笑い声が響いていった。
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