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第4部 クリスマスとお正月
第51話「女子トーク・真白のお礼」
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【side千佳】
昼休み。教室が賑やかにお弁当タイムへと切り替わる中、私は真白に呼び止められた。
「千佳、ちょっといい?」
「え? うん、いいけど……」
二人で廊下の隅に移動する。窓際から柔らかな冬の日差しが差し込んで、空気は少し冷たいのに、妙に胸が熱い。
真白はブレスレットをそっと掲げ、私に向かって微笑んだ。
「……本当にありがとうね。すごく大切にする」
「えっ……! そ、そんな、大げさだよ」
「大げさじゃないよ。蒼真君も『似合ってる』って言ってくれて……それに、千佳が心を込めて作ってくれたって、すぐに分かったから」
その瞳は真っ直ぐで、見つめ返すのが苦しい。
私がごまかすように笑うと、真白は一歩近づいて小声で続けた。
「……千佳が私たちのこと、応援してくれてるって思うと、すごく心強いの」
「ましろん……」
胸の奥にちくりとした痛みが走る。
本当は――応援だけじゃなくて、自分の想いもそこにある。けれど、それを口にしたら全部壊れてしまう。
「も、もちろん応援してるよ! ましろんと蒼真君が一緒にいるの、私だって嬉しいから」
勢いで答えると、真白は花が咲いたように微笑んだ。
「千佳、大好き」
「ちょっ……! な、何それ、急に……!」
「ふふっ、だって本当にそう思ったから」
不意に抱きつかれ、驚いて固まる。真白の髪から甘い香りがして、心臓が跳ねる。
(……ましろんって、本当にずるい。こんなにまっすぐで、こんなに可愛くて……勝てるわけないよ)
でも、彼女が笑っているなら、それでいい。
私は小さくため息をついて、真白の背中を軽く叩いた。
「……ほんと、ましろんには敵わないや」
「え?」
「なんでもない! お弁当、食べに戻ろっか」
そう言って歩き出すと、手首のブレスレットが小さく揺れた。
それは私の秘めた気持ちを刻む印。
でも同時に、二人を繋げる絆の証でもある――そう思うことで、少しだけ胸の痛みは和らいだ。
◇◇◇
放課後。冬の夕陽が差し込む教室で、俺は手首のブレスレットを眺めていた。
千佳が「2人におそろいで」って言って渡してくれたものだ。
シンプルだけど丁寧に編み込まれた革ひもに、小さな銀色のチャームが揺れている。
真白の手首にも同じものがついていて、並んで座っていると自然におそろいが目に入る。
「……どうかな? 似合ってる?」
不安そうに俺を見てくる真白。
「ああ、すごく似合ってるよ」
「……ふふっ、良かった」
その笑顔は、まるでこのブレスレットが彼女の幸せそのものを象徴しているみたいだった。
自然と俺の口元もほころぶ。
「千佳、器用だよな。まさか手作りとは思わなかった」
「うん……。なんかね、つけてると千佳の優しさまで伝わってくる気がするの」
真白の言葉に、俺も同意せずにはいられない。
確かに、この編み込みには手間も時間もかかってるはずだ。
“おそろい”にしたのは、俺たち2人の関係を祝福してくれてるからこそだろう。
ありがたい。
そう思う一方で、心の奥に小さなざわつきも生まれる。
(……もしかして、千佳は俺のことを……)
そんな考えが一瞬よぎるが、すぐに頭を振って追い払った。
考えすぎだ。あの明るい千佳が、そんな複雑な思いを抱くなんて――。
「蒼真君?」
「あ、いや……なんでもない」
真白が不思議そうに首をかしげる。
俺は慌てて笑ってごまかした。
「とにかく、大事にしような。千佳が作ってくれたものだし」
「うんっ! 私も絶対なくしたりしない」
互いに見せ合うようにブレスレットを掲げて、笑い合う。
冬の教室は少し肌寒いけれど、心の中は不思議と温かかった。
(……こうして誰かに祝福される恋は、きっと本物なんだろう)
そう信じたくなるくらいに、真白の隣で感じる幸福は大きかった。
制服の袖から覗く革のブレスレット――千佳が作ってくれたおそろい。
見えるたびに、胸がほんのりあたたかくなる。
「……大事にしなくちゃ」
小さくつぶやきながら、私はブレスレットを撫でた。
千佳があれを手作りしてくれたと聞いたとき、本当に驚いた。
あの子はいつも明るくて、場を和ませてくれるけど……まさかあんなに丁寧に、時間をかけて何かを作る一面を持っているなんて。
見れば見るほど、編み込みは繊細で、チャームの選び方もセンスがいい。
私たち2人に似合うようにって、きっと何度も考えてくれたのだろう。
(千佳ちゃん……本当にありがとう)
ただ胸の中で感謝を繰り返すだけじゃ足りない。
ちゃんと、言葉で伝えたい。
それに――この幸せを分かち合いたい。
放課後、席を立とうとしたとき、隣の蒼真君に声をかけた。
「ねえ、蒼真君」
「ん、どうした?」
「……私、千佳ちゃんに直接お礼を言いたいの」
「お礼?」
「うん。だって、こんなに素敵なものを作ってくれたんだもん。ちゃんと気持ちを伝えたいの」
言いながら、私は少し恥ずかしくなってうつむいた。
でも、蒼真君はすぐに微笑んでくれる。
「……いいと思う。千佳も絶対喜ぶよ」
「そ、そうかな?」
「ああ。真白のそういうとこ、きっと嬉しいって思うはずだ」
その言葉に背中を押され、胸の奥がポッと明るくなる。
おそろいのブレスレットを見つめながら、私は心に決めた。
(近いうちに、絶対ちゃんと伝えよう。
――“ありがとう”、そして“すごく嬉しかった”って)
それが、千佳へのお返しになるはずだから。
昼休み。教室が賑やかにお弁当タイムへと切り替わる中、私は真白に呼び止められた。
「千佳、ちょっといい?」
「え? うん、いいけど……」
二人で廊下の隅に移動する。窓際から柔らかな冬の日差しが差し込んで、空気は少し冷たいのに、妙に胸が熱い。
真白はブレスレットをそっと掲げ、私に向かって微笑んだ。
「……本当にありがとうね。すごく大切にする」
「えっ……! そ、そんな、大げさだよ」
「大げさじゃないよ。蒼真君も『似合ってる』って言ってくれて……それに、千佳が心を込めて作ってくれたって、すぐに分かったから」
その瞳は真っ直ぐで、見つめ返すのが苦しい。
私がごまかすように笑うと、真白は一歩近づいて小声で続けた。
「……千佳が私たちのこと、応援してくれてるって思うと、すごく心強いの」
「ましろん……」
胸の奥にちくりとした痛みが走る。
本当は――応援だけじゃなくて、自分の想いもそこにある。けれど、それを口にしたら全部壊れてしまう。
「も、もちろん応援してるよ! ましろんと蒼真君が一緒にいるの、私だって嬉しいから」
勢いで答えると、真白は花が咲いたように微笑んだ。
「千佳、大好き」
「ちょっ……! な、何それ、急に……!」
「ふふっ、だって本当にそう思ったから」
不意に抱きつかれ、驚いて固まる。真白の髪から甘い香りがして、心臓が跳ねる。
(……ましろんって、本当にずるい。こんなにまっすぐで、こんなに可愛くて……勝てるわけないよ)
でも、彼女が笑っているなら、それでいい。
私は小さくため息をついて、真白の背中を軽く叩いた。
「……ほんと、ましろんには敵わないや」
「え?」
「なんでもない! お弁当、食べに戻ろっか」
そう言って歩き出すと、手首のブレスレットが小さく揺れた。
それは私の秘めた気持ちを刻む印。
でも同時に、二人を繋げる絆の証でもある――そう思うことで、少しだけ胸の痛みは和らいだ。
◇◇◇
放課後。冬の夕陽が差し込む教室で、俺は手首のブレスレットを眺めていた。
千佳が「2人におそろいで」って言って渡してくれたものだ。
シンプルだけど丁寧に編み込まれた革ひもに、小さな銀色のチャームが揺れている。
真白の手首にも同じものがついていて、並んで座っていると自然におそろいが目に入る。
「……どうかな? 似合ってる?」
不安そうに俺を見てくる真白。
「ああ、すごく似合ってるよ」
「……ふふっ、良かった」
その笑顔は、まるでこのブレスレットが彼女の幸せそのものを象徴しているみたいだった。
自然と俺の口元もほころぶ。
「千佳、器用だよな。まさか手作りとは思わなかった」
「うん……。なんかね、つけてると千佳の優しさまで伝わってくる気がするの」
真白の言葉に、俺も同意せずにはいられない。
確かに、この編み込みには手間も時間もかかってるはずだ。
“おそろい”にしたのは、俺たち2人の関係を祝福してくれてるからこそだろう。
ありがたい。
そう思う一方で、心の奥に小さなざわつきも生まれる。
(……もしかして、千佳は俺のことを……)
そんな考えが一瞬よぎるが、すぐに頭を振って追い払った。
考えすぎだ。あの明るい千佳が、そんな複雑な思いを抱くなんて――。
「蒼真君?」
「あ、いや……なんでもない」
真白が不思議そうに首をかしげる。
俺は慌てて笑ってごまかした。
「とにかく、大事にしような。千佳が作ってくれたものだし」
「うんっ! 私も絶対なくしたりしない」
互いに見せ合うようにブレスレットを掲げて、笑い合う。
冬の教室は少し肌寒いけれど、心の中は不思議と温かかった。
(……こうして誰かに祝福される恋は、きっと本物なんだろう)
そう信じたくなるくらいに、真白の隣で感じる幸福は大きかった。
制服の袖から覗く革のブレスレット――千佳が作ってくれたおそろい。
見えるたびに、胸がほんのりあたたかくなる。
「……大事にしなくちゃ」
小さくつぶやきながら、私はブレスレットを撫でた。
千佳があれを手作りしてくれたと聞いたとき、本当に驚いた。
あの子はいつも明るくて、場を和ませてくれるけど……まさかあんなに丁寧に、時間をかけて何かを作る一面を持っているなんて。
見れば見るほど、編み込みは繊細で、チャームの選び方もセンスがいい。
私たち2人に似合うようにって、きっと何度も考えてくれたのだろう。
(千佳ちゃん……本当にありがとう)
ただ胸の中で感謝を繰り返すだけじゃ足りない。
ちゃんと、言葉で伝えたい。
それに――この幸せを分かち合いたい。
放課後、席を立とうとしたとき、隣の蒼真君に声をかけた。
「ねえ、蒼真君」
「ん、どうした?」
「……私、千佳ちゃんに直接お礼を言いたいの」
「お礼?」
「うん。だって、こんなに素敵なものを作ってくれたんだもん。ちゃんと気持ちを伝えたいの」
言いながら、私は少し恥ずかしくなってうつむいた。
でも、蒼真君はすぐに微笑んでくれる。
「……いいと思う。千佳も絶対喜ぶよ」
「そ、そうかな?」
「ああ。真白のそういうとこ、きっと嬉しいって思うはずだ」
その言葉に背中を押され、胸の奥がポッと明るくなる。
おそろいのブレスレットを見つめながら、私は心に決めた。
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