前世ゲーマーの俺、最悪の寝取られルートをハッピー学園ラブに改造中

かくろう

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第6章 春休みと、新しい季節

第78話「カフェで休憩」

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 映画館を出て、そのまま手を繋いで歩いた。
 指を絡めたままの“恋人繋ぎ”が不思議なくらい自然で、俺も真白も解こうとしなかった。

「……ね、ちょっと甘いもの食べたくない?」
 真白が小さく笑って提案する。
「いいな。映画観たあとって、なんかそういう気分になる」
「ふふっ、やっぱり同じこと考えてたんだ」

 向かったのはモール内のカフェ。
 休日だけあって混んでいたけれど、窓際の二人席に案内されると、ほっと肩の力が抜けた。

 注文したのは苺のパフェとパンケーキ。
 運ばれてきた瞬間、真白の目がきらきらと輝いた。

「わぁ……美味しそう!」
「見ただけで糖分補給できそうだな」
「もう、蒼真君ってば」

 スプーンを手に取り、一口すくって俺に差し出す。
「はい、あーん」
「……っ」
「ほら、早く。冷めちゃうよ」
「いや、冷めるもんじゃないだろこれ」
「いいから!」

 観念して口を開けると、甘酸っぱさが口いっぱいに広がった。
「……うまい」
「でしょ? じゃあ次は私ね」
「俺からは普通に渡すぞ」
「ずるいなぁ」

 映画館を出て、そのまま手を繋いで歩いた。
 指を絡めたままの“恋人繋ぎ”が、不思議なくらい自然で。
 もう俺も真白も、解こうという発想さえ持たなくなっていた。

「……ね、ちょっと甘いもの食べたくない?」
 真白が俺を見上げ、くすっと笑う。
「いいな。映画観たあとって、なんかそういう気分になる」
「ふふっ、やっぱり同じこと考えてたんだ」

 向かったのはモール内のカフェ。
 休日の午後とあって混み合っていたが、タイミングよく窓際の二人席に案内された。
 店内はコーヒーの香りと甘い匂いが入り混じり、ガラス越しには歩道を行き交う人の流れが見える。

「えっと……苺のパフェと、パンケーキ。どっちにする?」
「どっちもだろ」
「えっ?」
「一人じゃ食いきれないけど、二人ならいける」
「……ふふっ。じゃあ、半分こしようか」

 ほどなくして、テーブルに大きなグラスのパフェと、ふわふわのパンケーキが並べられる。
 生クリームと苺が山盛りになったパフェに、真白の目が輝いた。

「わぁ……すっごい!」
「見てるだけで血糖値上がりそうだな」
「もう、蒼真君ってば! 夢を壊す発言禁止!」

 頬を膨らませながらも、スプーンを取って一口すくい、俺に差し出す。

「はい、あーん」
「……いや、それはさすがに……」
「ほら、早く。冷めちゃうよ」
「いや、冷めるもんじゃないだろこれ」
「いいから!」

 観念して口を開けると、苺の酸味とクリームの甘さが口いっぱいに広がった。
「……うまい」
「でしょ? じゃあ次は私ね」
「俺からは普通に渡すぞ」
「ずるいなぁ……」

 そう言いつつも、俺がすくったスプーンを素直に口に運ぶ。
 ほんのり赤く染まった頬と、嬉しそうに目を細める姿に、胸がじんわり温まった。

 パンケーキも切り分けてシェアした。
 ふわっとした食感に甘いシロップが絡んで、思わず笑みが漏れる。
「これ、やばいな。いくらでも食えそう」
「だめだよ、甘いのばっかり食べたら」
「真白が言うと説得力あるな」
「な、なにそれ!」

 軽口を交わしながら食べ進める。
 外の人混みの喧騒が遠くに霞んで、このテーブルだけが小さな世界になったようだった。

 ふと真白がスプーンを置き、パフェの上の苺をひとつ摘んで俺の前に差し出す。
「はい、最後の苺。蒼真君にあげる」
「いいのか?」
「うん。だって……私より蒼真君に食べてほしいから」

 さらりと告げられ、胸が一瞬にして熱くなる。
 小さな苺ひとつで、こんなに心を揺さぶられるとは思わなかった。

 外の窓を見ながら、真白がぽつりと呟いた。
「ねえ……連休の初日から一緒に過ごせて、ほんとに嬉しい」
「……俺も。こうして笑ってられるのが、信じられないくらいだ」

 口にした瞬間、ゲームでの記憶がよみがえる。
 本来なら、この季節に彼女と笑い合うことはなかった。
 だけど今は――目の前にいる真白が微笑んでいる。

(……この積み重ねこそ、俺が選び直した未来なんだ)

 会計を済ませて外に出ると、俺たちは自然にまた手を絡め直した。
 甘さの余韻を抱いたまま、「次はどこに行こうか」と話しながら、人混みの中を歩いていく。
 絡んだ指先の温もりが、映画や甘味以上に甘くて――それだけで、連休の幸せを確信できた。

◇◇◇


 ショッピングモールを出ると、外はすでに夕暮れだった。
 西の空が茜色に染まり、ビルのガラスに反射してオレンジの光が広がっている。
 休日の賑わいはまだ続いていたが、昼間の喧騒よりもどこか落ち着いた空気になっていた。

「……夕方って、ちょっと寂しいけど綺麗だね」
「そうだな。なんか、一日の終わりって感じがする」
「でも今日は、すごく濃い一日だったなぁ」
「まだ初日だぞ」
「えっ?」

 真白がきょとんと顔を上げる。俺は苦笑しながら続けた。
「連休はまだあるんだ。……次は、水族館に行かないか?」
「水族館……?」
「前にテレビで特集やってただろ。あれ見てたら、真白が楽しそうにしてたから」

 言葉にした瞬間、真白の頬がぱっと赤く染まる。
「……ちゃんと見ててくれたんだ」
「当たり前だろ。真白が興味ありそうなことは、だいたい気づいてる」
「っ……もう、そういうことサラッと言うのずるいよ」

 拗ねたように肩をすくめつつ、彼女は握る手に力を込めてくる。
 その温もりに応えるように、俺も指を絡め直した。

 駅へ向かう道すがら、真白は何度も小さな笑みをこぼす。
「……楽しみ。お魚いっぱい見られるかな」
「たぶん見飽きるくらいにはな」
「えへへ、いいね」

 夕陽に照らされる横顔は、心を奪われるほど綺麗だった。

 駅前に着いても、俺たちはなかなか手を離せなかった。
「……また明日ね」
「ああ。明日も絶対に楽しくする」
「……うん」

 別れ際、真白は振り返って小さく手を振る。
 その仕草が夕暮れの光に溶け込み、心の奥に焼き付いた。

(ゲームじゃ絶対に得られなかった時間だ。俺は今――自分から未来を掴んでる)

 ホームへ向かう足取りは、信じられないくらい軽かった。







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