前世ゲーマーの俺、最悪の寝取られルートをハッピー学園ラブに改造中

かくろう

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第6章 春休みと、新しい季節

第81話「ハプニング」

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 未来の話をしたあと、俺たちは再び手を繋ぎ、公園の道を歩いた。
 芝生の緑が夕陽に照らされ、池の水面がきらきらと輝いている。
 柵のある池のほとりに差しかかると、真白が少し立ち止まった。

「……ちょっとここで休もうか」
「そうだな。じゃあ、俺クレープ買ってくる」
「えっ、いいの?」
「近くに屋台が出てたしな。すぐ戻るよ」

 真白を柵のそばに座らせて、俺は小走りで屋台へ向かった。
 生クリームたっぷりのチョコと、苺のクレープを受け取り、両手に抱えて戻っていく。

 戻る途中、俺の視界を横切るように、小さな子供が駆け抜けていった。
 何か叫びながら走っている――と思った次の瞬間。

 ふわり、と。

 真白のスカートが、不自然に大きく浮き上がった。

 春の風に舞う布切れのように。
 けれどこれは偶然じゃない。
 子供の小さな手が、悪戯っぽくスカートの裾を掴み、思い切りめくり上げていた。

 スローモーションのように、時間の流れが歪む。

 淡いベージュの布地が、太陽の光を受けて大きく弧を描く。
 裾が翻るたびに、真白の白い太ももが露わになっていく。
 その先に――俺が見てはいけないはずの色彩が、ちらちらと覗き始めた。

(や、やば……! 見える、これ……完全に――!)

 止めようとしても、止まらない。
 視線が勝手に吸い寄せられ、逃れられない。
 両手にクレープを抱えたまま立ち尽くす俺の目に、決定的な光景が映り込む。

 ふわり、と風船が弾けるように、スカートが一気にめくれ上がった。

 その瞬間、太陽の下にさらされたのは――
 ピンク色の布地。

 淡い色合いの下着が、余すことなく視界に飛び込んできた。
 光沢を帯びた生地が一瞬だけきらりと反射し、脳裏に焼き付く。

(や、やばい……! 本当に見えた……!)

 心臓が爆発しそうな勢いで暴れ出す。
 手の中のクレープが震え、クリームが今にもこぼれそうになる。
 けれどそんなことを気にしていられない。

 真白の顔が一瞬で真っ赤に染まり、慌ててスカートを押さえ込む。
 けれど、もう遅い。
 俺の視界には、はっきりと“ピンク色”が焼き付いて離れない。

「きゃぁああああああ」

 走り去る子供の笑い声が響く。
「おねーちゃんのパンツ、ピンクー!」

 その声が公園にこだまする。
 俺の頭は真っ白になり、真白の肩は小刻みに震えていた。

「こ、このガキッ!」

 怒りの言葉が口から漏れる。
 だが同時に――胸の奥では別の声が叫んでいた。

(……なんてナイスなクソガキ様だっ!)

 一瞬のはずなのに、焼き付いたピンクの残像が消えない。
 頬の奥が熱を帯び、視界がぐらりと揺れる。
(やばい……俺、今笑いそうになってる……! 違うだろ、真白を守らなきゃいけないのに――!)

 幸せに浸りたい心と、必死に理性で押さえ込もうとする心。
 二つの感情がせめぎ合い、胸の奥で暴れ回る。

(落ち着け俺。今は喜ぶ場面じゃない。……でも、でも……!)

 内心で頭を抱えながら、俺はこぼれそうな笑みを必死に噛み殺した。

「そ、蒼真君……み、見た?」
「ナ、ナンノコトカナ……」

 必死に視線を逸らす俺。
 だが、脳裏では何度もスローモーションで再生され続けていた。

 真白は涙目になりながら、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「見たでしょっ! 絶対見たでしょ、エッチ~~っ!」

 両手で俺の胸をぽかぽかと叩いてくる。
 だが俺は両手にクレープを持っているので、受け止めきれずにバランスを崩しそうになる。
「お、おい! これ倒れたら大惨事――っ!」
「知らないっ! もう知らないんだからっ!」

 真白の小さな拳が胸に当たるたびに、くすぐったい痛みと同時に、どうしようもない幸福感が込み上げてくる。

(なんでだよ……怒られてるのに、幸せすぎる……!)

 顔がにやけそうになるのを必死にこらえながら、俺は両手のクレープを必死に守る。
 甘い香りと、真白の体温と、さっきまでの衝撃が入り混じり――心臓は、今にも破裂しそうだった。

 クレープを受け取ったあとも、真白の顔はずっと真っ赤だった。
 頬をふくらませて、歩幅をわざと早める。

「……もう、恥ずかしくて死にそう」
「わ、悪かったって……。俺だって、あんな不意打ちはどうしようもなかった」
「うそ。絶対見てたもん」
「み、見てない。いや……見えたのは見えたけど……違うんだ」
「違わない!」

 ぷいっと横を向く真白。
 けれどその横顔が耳まで赤いのを見て、俺はなんとも言えず愛しくなってしまう。

 駅に向かう道すがら、夕暮れの風が心地よく吹き抜ける。

 沈黙が少し続いたあと、真白がぽつりとつぶやいた。

「……でも、蒼真君がすぐに誤魔化してくれたから、まだ救われたかも」
「誤魔化したっていうか……その、俺も動揺してたからな」
「……ほんとに?」
「ほんと。俺は真白を笑わせたいだけで、困らせるつもりはない」

 そう言うと、真白は足を止めてこちらを見上げてきた。
 恥ずかしさと安心が入り混じった瞳。
 その視線に、胸の奥が強く締め付けられる。

「……蒼真君」
「ん?」
「やっぱり、私……蒼真君のそばが一番安心する」
「俺もだ。どんなことがあっても、真白の隣にいる」

 自然に、繋いでいた手を恋人繋ぎに変える。
 真白が少し驚いた顔をしたあと、ぎゅっと握り返してくれた。

 並んで歩く帰り道、言葉はなくても伝わるものがある。
 肩が触れ合い、手の温もりが確かにそこにあった。

(……ゲームでは“どうしようもなかった”なんて言うしかなかった。
 けど今は違う。
 俺が動いて、俺が選んで、真白を幸せにする)

 その誓いを胸に刻みながら、俺は夕暮れの道を歩き続けた。

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