前世ゲーマーの俺、最悪の寝取られルートをハッピー学園ラブに改造中

かくろう

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第6章 春休みと、新しい季節

第84話「ワクワクの遊園地」前編

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 ゴールデンウィーク最終日。
 今日を逃せば、また日常に戻る。だからこそ、最後は思い切って“特別な場所”を選んだ。

「遊園地……?」
 待ち合わせで行き先を告げると、真白が目を丸くする。

「ちょっと子供っぽいかなって思ったけど……最後だし、思い出に残るかなって」
「……ふふっ。全然子供っぽくなんかないよ。むしろ嬉しい」

 真白はそう言って、胸の前で両手をきゅっと握った。
 今日の彼女は、淡いイエローのカットソーにデニムのスカート。普段よりカジュアルで動きやすい格好だが、その分、いつも以上に無邪気な笑顔が似合っていた。

「似合ってるな、その服」
「え……っ、ありがとう。蒼真君にそう言われると、もっと嬉しくなっちゃう」

 頬を赤く染める真白を見て、俺も胸の奥が熱くなる。

(最終日に遊園地を選んで良かった。真白がこうして笑ってくれるなら、それだけで正解だ)

 電車を乗り継ぎ、駅から徒歩十分。
 目の前に現れたのは、色鮮やかなゲートと高くそびえる観覧車。
 入口付近は家族連れやカップルで賑わっていて、笑い声とアナウンスが響き渡っていた。

「わぁ……本当に来ちゃったんだね」

「後悔してないか?」
「ううん。むしろワクワクしてる」

 チケットを受け取り、ゲートをくぐる。
 目に飛び込んでくるジェットコースターのレールや、空高く舞い上がるフリーフォールの悲鳴。
 非日常の空気に、自然と胸が高鳴った。

 その隣で、真白も子供みたいに目を輝かせている。
「……今日はいっぱい思い出、作ろうね」
「ああ。最終日にふさわしい一日にしよう」

 二人で視線を合わせ、自然と笑みがこぼれた。

 園内に入ってすぐ、目に飛び込んできたのは巨大なレールだった。
 カーブを描きながら空へと伸びるジェットコースター。
 けたたましい悲鳴と笑い声が交互に響き、見ているだけで胸がざわつく。

「……ジェットコースター、乗る?」
 俺がそう尋ねると、真白は目を丸くして、すぐに視線を逸らした。

「こ、怖そう……でも……蒼真君が一緒なら……」
「俺が隣で支えるよ」
「……ほんと?」
「約束する」

 小さく頷いた真白は、不安そうな笑顔を浮かべながら列に並んだ。

 順番が近づき、二人でシートに腰を下ろす。
 安全バーが降りてきて、カチリと固定される音が響く。
 その瞬間、真白の手がそっと俺の袖を掴んできた。

「……蒼真君、やっぱり緊張してきた」
「大丈夫。ほら、手」

 バーの下で彼女の手を握ると、驚いたように目を見開き、それからふわりと笑った。
 指先に力がこもり、互いの鼓動が伝わってくる。

 ガタガタと音を立てて、コースターが動き出す。
 上昇するにつれ、視界が広がっていく。
 街並みが遠ざかり、空に近づくほどに、真白の手の震えが強くなる。

「ひゃ、ひゃぁ……」
「大丈夫、俺がいる」
 声をかけると、真白はぎゅっと目を閉じ、さらに手を握り返してきた。

 そして――

 急降下。
 体が一気に落ち、風が耳を切り裂く。
 真白の悲鳴が隣で響くけれど、不思議と俺の胸は熱く、心臓は恐怖よりも高鳴りで満たされていた。

 ぐるぐると振り回され、何度も落下を繰り返す。
 終盤、速度が落ちていくころには、真白は必死に俺の腕にしがみついていた。

 やがてコースターが停まり、バーが上がる。
 真白は肩で息をしながら、それでも顔を上げた。
「……こわかった……でも……すっごく楽しかった……!」

 その笑顔は涙目で、髪も少し乱れていたけれど、誰よりも眩しく見えた。

(……怖くても挑戦して、一緒に笑い合える。それが、俺たちの青春なんだ)

 ジェットコースターを降りたあと、真白はまだ肩で息をしていた。
 それでも「楽しかった」と笑う姿に、胸の奥がじんわり温かくなる。

 園内を歩いていると、黒い布で覆われた建物と「お化け屋敷」の看板が目に入った。
 出てきたカップルの女の子が男の腕にしがみついているのを見て、真白がピタッと立ち止まる。

「……これ、入るの?」
「挑戦してみる?」
「こ、怖そう……」
 視線は看板に釘付け、けれど俺の袖をきゅっと掴んでいる。

「俺が隣にいるから大丈夫」
「……約束だからね」

 建物の中は、昼間だというのに漆黒の闇。
 かすかな冷気と、どこからともなく響く鎖の音。
 入った瞬間から真白の手が俺の腕に絡み、指先に力が込められる。

「ひゃっ……い、今の音なに……?」
「ただの仕掛けだよ。大丈夫」
「ほ、ほんとに……?」

 声は震えているが、密着度はどんどん増していく。
 柔らかな感触が腕に押し付けられ、心臓が別の意味で爆発しそうになる。

(や、やばい……これ、幸せすぎるだろ……!)

 角を曲がるたびに、蝋人形や仕掛けの幽霊が飛び出す。
 真白は「きゃっ」「ひっ」と声を上げるたび、俺にさらにしがみつく。
 そのたびに、胸の柔らかさと体温がぐっと近づき、理性が揺さぶられる。

「も、もうだめっ……蒼真君、怖い……!」
「大丈夫。俺がいる」
 言いながら、俺自身は別の意味で冷静さを失いそうだった。

(クソッ……! なんでこんな状況で喜んでるんだ俺は!
 守らなきゃって思ってるのに……でも、幸せが止まらない!)

 ようやく出口の明かりが見えたとき、真白は完全に俺の腕に抱きついていた。
 外に出ると、太陽の下で彼女は真っ赤な顔のまま俺を睨む。

「……蒼真君のせいで余計にドキドキしたんだから!」
「え、俺?」
「だって……ずっと隣で“俺がいる”なんて言うから……」

 頬をふくらませて拗ねるように言う真白が可愛くて、思わず笑いそうになる。
 慌てて表情を引き締めたが、心臓はまだ落ち着かなかった。




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