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20 夜の語らい
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ひとしきり笑って満足したルーチェが、思いだしたように話題を変えた。
「そうだ! アレッタそういえば殿下の婚約者になったんでしょ!? おめでとうー!!」
「そうなんだ、おめでとう」
「あ、ありがとう」
二人に祝福されて、アレッタは面映い気持ちでお礼を告げる。
「ねえねえ、もうキスはした?」
「えっ、えっ!?」
「ルーチェ、踏みこみすぎ」
「えー、でも気になるじゃん?」
「じゃあ逆に聞くけど、ルーチェはソルとどこまでいったの?」
「え、それは……」
途端にごにょごにょと声を潜めてしまうルーチェ。
あら、これは……? こそっとエストレアに事情を聞いてみる。
「ねえ、もしかしてソルとルーチェはいい仲なの?」
「そう、二人は恋仲。だけどソルは夜の私の見張り番で忙しくしてるから、私はいつも二人の邪魔をしていないかどうか気になってる……もしかして告白されてからなにも進展がないの?」
「そんなことは! ……ない、けど」
真っ赤に顔を染めて顔を伏せてしまったルーチェ。エストレアは追い打ちをかけるようにアレッタに秘密話を暴露した。
「ソルから聞いた話なんだけど。当初光と風の国から追放された私の見張りをするのはルーチェの役割だったらしくて。けれど闇妖精に半分祝福されているなんてはじめての事例で、どんな危険があるかわからないからって殿下の護衛をしていたソルが代わりを申しでたんだって。ルーチェ、愛されてる」
ボンッと湯気を吹きだしたルーチェは貝のように黙りこんでしまった。エストレアはじっと視線をあわせたまま話の続きを待っている。
アレッタがその様子を微笑ましく見守っていると、夕方の優しい光を浴びたテラスに、長身の人影が歩み寄ってきた。
「よおエスト、そろそろ日が暮れるな」
「もうそんな時間なの。今晩もしっかりと見張っていて。もう毒薬の時みたいにふざけたことはしないでね」
「はは、アレは悪かったと思ってる。もうあんなおふざけは控えておくさ」
現れたソルはエストレアに向けて屈託なく笑いかけると、向かいの席に視線を移した。
「お? ルーチェとアレッタじゃないか。なんだなんだ、三人でなんの話をしてたんだ?」
「ソルの話を少し」
「ばっ!」
正直にエストレアがそう口にすると、ルーチェは勢いよく顔を上げて、また伏せてしまった。
「ははーん、どうせまた俺の悪口でも言ってたな?」
「そんなんじゃないわよ!」
「じゃあなんだよ」
黙りこくったルーチェはブルブルと体を震わせたかと思うと、羞恥心が限界に達したのかスッと立ちあがるとソルに思いきり正拳突きをかまそうとする。
しかし勢いだけの拳はなんなく避けられてしまう。
「おっと」
「なんで避けるのよ! ソルの、ソルのバカーッ!!」
ルーチェは八つ当たり混じりにそう告げると、アレッタの手を引いて席を立った。
「もう行こっ!」
「う、うん!」
なんだかルーチェが気の毒になったアレッタは、引きずられるまま彼女について行く。呆れたような声が背後から聞こえた。
「おいおい、なんなんだ一体」
「ソル、ルーチェに愛されてるね」
「ん? 今のやりとりのどこを見てそう思った?」
ルーチェはもう辛抱たまらないといった表情で、アレッタに無茶振りをかます。
「アレッタ! 私急に走りたくなっちゃったから一緒に走ろ、光の速さで!!」
「ええっ!? 無理だよ!」
光の速さでは走れなかったけれど、できる限り急いで王宮まで走って戻った。
*
その日の夜。たくさん走ってすぐ眠れるかと思ったのになかなか寝つけなかったアレッタは、少し外の景色を眺めて気分転換しようとバルコニーへ出た。
そよそよと常春の風がアレッタの明るい茶色の髪を揺らす。手すりのところまで歩み寄ると、屋根の上からアレッタを呼ぶ声がした。
「アレッタ、こんな夜遅くにどうしたんだ」
「ユース? どこにいるの」
ここは最上階のはずだけど……アレッタがキョロキョロと辺りを見回していると、花びらの羽をまとったユースがバルコニーへと舞い降りてきた。
「やあアレッタ、いい夜だな」
「こんばんはユース、ちょっと眠れなくて。なにをしていたの?」
「皆が不自由なく暮らせているか見ていたんだ。ほら、あの山が見えるか?」
アレッタの隣に立つユースが遥か遠くを指差す。
暗闇の中目をこらすと、山と森が淡く魔力で色づいているのが確認できた。今までランプばかりに気をとられていたから気づかなかった。
「なんだか少しだけ光ってる?」
「やはりアレッタには見えるようだな。そうだ、魔力が豊富なところはああして色づいて見える」
「あれが、魔力……」
マイムにと一緒に本で調べた内容によると、全ての妖精は魔力を持っているらしい。
妖精がいるところはその土地が綺麗に豊かになり、土地の恵みとなる。その豊かになった土地の恵みを妖精はいただき、自身の魔力とする。そうやって魔力は循環しているのだそうだ。
私が妖精さんを見ることができて妖精さんに好かれやすいのは、やっぱり魔力を持っているからなのね。
お互いに一緒にいると居心地がいいのは、魔力を無意識に循環させていたからかもしれない。
「魔力って不思議ね」
「そうか、人間は普通魔力を持っていないし意識もしないから不思議に思うだろうな。俺達妖精にとっては、息をするのと同じくらい当たり前に存在しているものだが」
人間界では魔力の概念すらない。妖精の魔法というものがどうやら存在するらしいという程度の認識しかない。
昔は未知の力として畏れられたりありがたがられたりしたそうだが、今では取るに足らないものだと思われている。
けれど魔力があったおかげで、アレッタは妖精と仲良くなることができた。
「私、魔力を持っていてよかったよ。そのおかげでユースと出会うことができたから」
「ああ、アレッタがもし俺を見ることができなかったらと思うとゾッとする。もちろん君の心地よい魔力がなくとも俺は君を好きになっていただろうが」
ユースが生真面目な顔でそんなことを言うので、アレッタは照れて視線を逸らした。
「私の魔力って、そんなに心地いいんだ?」
「そうだな、とても。今も隣にいるだけで、まるで温かな羽毛にでも包まれているような気持ちになる」
そっとアレッタの肩を抱いたユースは、話を本筋に戻した。
「あれも見えるか?」
やっと少しはユースの距離の近さに慣れてきたアレッタは、ドキドキと早くなる動悸を感じながらも話に集中することができた。
「ええっと、水色に淡く光っているところかな?」
「そうだ。あの辺りには水妖精の集落があるから、水色に色づいているのだろう」
「集落の位置は全部把握してるの?」
「見える限りだがな。こうやって毎日確認していれば、魔力の乱れがあった時にいち早く問題を解決できるだろう?」
へえ、すごい。やっぱりユースって毎日国の為に努力しているんだ。そういうところ素敵だな。
頼もしい発言に、アレッタは感心してユースを見上げた。
「妖精さん達は、ユースが次の王様だと思うと安心して暮らせるだろうね」
「そうだといいがな。すぐにでも子がほしい妖精にとってはあまりいい王子ではないのだろうが」
苦笑するユースに、アレッタは首を横に振る。
「それは仕方ないよ、人を好きになるって強制されてできることじゃないから。私も婚約してたってテオドール殿下を好きになれなかった」
「そうだな。君が俺のことを好きになってくれたのはまるで奇跡のようだ。本当に嬉しい」
「私もだよ。ユース、私のことを好きになってくれてありがとう」
「ああ、アレッタ……かわいい」
ユースはなにかをこらえるようにくしゃりと表情を歪めて笑うと、そっとアレッタに顔を寄せてくる。
ゆっくりと近づいてくる唇を、アレッタは避けなかった。目を閉じて受け入れる。
ふにゃりと柔らかな感触が唇の上に降ってきた。
あ、私……今、ユースにキスされてる……
唇はたった数秒で離れていく。なんだか叫びだしたいような気持ちになったアレッタは、ギュッとユースを抱きしめて赤くなった顔を隠した。
嬉しい、けどめちゃくちゃ恥ずかしい、思ったより柔らかいし、一瞬でよくわからなかったからもう一回……バカバカ、もう一回ってなに! ?
そんなはしたないこと私からねだるなんてできない……けど、でも……
潤んだ瞳でアメジストの瞳をみつめると、声もなくもう一度唇が降りてきた。
今度のキスは、先程よりも長かった。
「そうだ! アレッタそういえば殿下の婚約者になったんでしょ!? おめでとうー!!」
「そうなんだ、おめでとう」
「あ、ありがとう」
二人に祝福されて、アレッタは面映い気持ちでお礼を告げる。
「ねえねえ、もうキスはした?」
「えっ、えっ!?」
「ルーチェ、踏みこみすぎ」
「えー、でも気になるじゃん?」
「じゃあ逆に聞くけど、ルーチェはソルとどこまでいったの?」
「え、それは……」
途端にごにょごにょと声を潜めてしまうルーチェ。
あら、これは……? こそっとエストレアに事情を聞いてみる。
「ねえ、もしかしてソルとルーチェはいい仲なの?」
「そう、二人は恋仲。だけどソルは夜の私の見張り番で忙しくしてるから、私はいつも二人の邪魔をしていないかどうか気になってる……もしかして告白されてからなにも進展がないの?」
「そんなことは! ……ない、けど」
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ボンッと湯気を吹きだしたルーチェは貝のように黙りこんでしまった。エストレアはじっと視線をあわせたまま話の続きを待っている。
アレッタがその様子を微笑ましく見守っていると、夕方の優しい光を浴びたテラスに、長身の人影が歩み寄ってきた。
「よおエスト、そろそろ日が暮れるな」
「もうそんな時間なの。今晩もしっかりと見張っていて。もう毒薬の時みたいにふざけたことはしないでね」
「はは、アレは悪かったと思ってる。もうあんなおふざけは控えておくさ」
現れたソルはエストレアに向けて屈託なく笑いかけると、向かいの席に視線を移した。
「お? ルーチェとアレッタじゃないか。なんだなんだ、三人でなんの話をしてたんだ?」
「ソルの話を少し」
「ばっ!」
正直にエストレアがそう口にすると、ルーチェは勢いよく顔を上げて、また伏せてしまった。
「ははーん、どうせまた俺の悪口でも言ってたな?」
「そんなんじゃないわよ!」
「じゃあなんだよ」
黙りこくったルーチェはブルブルと体を震わせたかと思うと、羞恥心が限界に達したのかスッと立ちあがるとソルに思いきり正拳突きをかまそうとする。
しかし勢いだけの拳はなんなく避けられてしまう。
「おっと」
「なんで避けるのよ! ソルの、ソルのバカーッ!!」
ルーチェは八つ当たり混じりにそう告げると、アレッタの手を引いて席を立った。
「もう行こっ!」
「う、うん!」
なんだかルーチェが気の毒になったアレッタは、引きずられるまま彼女について行く。呆れたような声が背後から聞こえた。
「おいおい、なんなんだ一体」
「ソル、ルーチェに愛されてるね」
「ん? 今のやりとりのどこを見てそう思った?」
ルーチェはもう辛抱たまらないといった表情で、アレッタに無茶振りをかます。
「アレッタ! 私急に走りたくなっちゃったから一緒に走ろ、光の速さで!!」
「ええっ!? 無理だよ!」
光の速さでは走れなかったけれど、できる限り急いで王宮まで走って戻った。
*
その日の夜。たくさん走ってすぐ眠れるかと思ったのになかなか寝つけなかったアレッタは、少し外の景色を眺めて気分転換しようとバルコニーへ出た。
そよそよと常春の風がアレッタの明るい茶色の髪を揺らす。手すりのところまで歩み寄ると、屋根の上からアレッタを呼ぶ声がした。
「アレッタ、こんな夜遅くにどうしたんだ」
「ユース? どこにいるの」
ここは最上階のはずだけど……アレッタがキョロキョロと辺りを見回していると、花びらの羽をまとったユースがバルコニーへと舞い降りてきた。
「やあアレッタ、いい夜だな」
「こんばんはユース、ちょっと眠れなくて。なにをしていたの?」
「皆が不自由なく暮らせているか見ていたんだ。ほら、あの山が見えるか?」
アレッタの隣に立つユースが遥か遠くを指差す。
暗闇の中目をこらすと、山と森が淡く魔力で色づいているのが確認できた。今までランプばかりに気をとられていたから気づかなかった。
「なんだか少しだけ光ってる?」
「やはりアレッタには見えるようだな。そうだ、魔力が豊富なところはああして色づいて見える」
「あれが、魔力……」
マイムにと一緒に本で調べた内容によると、全ての妖精は魔力を持っているらしい。
妖精がいるところはその土地が綺麗に豊かになり、土地の恵みとなる。その豊かになった土地の恵みを妖精はいただき、自身の魔力とする。そうやって魔力は循環しているのだそうだ。
私が妖精さんを見ることができて妖精さんに好かれやすいのは、やっぱり魔力を持っているからなのね。
お互いに一緒にいると居心地がいいのは、魔力を無意識に循環させていたからかもしれない。
「魔力って不思議ね」
「そうか、人間は普通魔力を持っていないし意識もしないから不思議に思うだろうな。俺達妖精にとっては、息をするのと同じくらい当たり前に存在しているものだが」
人間界では魔力の概念すらない。妖精の魔法というものがどうやら存在するらしいという程度の認識しかない。
昔は未知の力として畏れられたりありがたがられたりしたそうだが、今では取るに足らないものだと思われている。
けれど魔力があったおかげで、アレッタは妖精と仲良くなることができた。
「私、魔力を持っていてよかったよ。そのおかげでユースと出会うことができたから」
「ああ、アレッタがもし俺を見ることができなかったらと思うとゾッとする。もちろん君の心地よい魔力がなくとも俺は君を好きになっていただろうが」
ユースが生真面目な顔でそんなことを言うので、アレッタは照れて視線を逸らした。
「私の魔力って、そんなに心地いいんだ?」
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そっとアレッタの肩を抱いたユースは、話を本筋に戻した。
「あれも見えるか?」
やっと少しはユースの距離の近さに慣れてきたアレッタは、ドキドキと早くなる動悸を感じながらも話に集中することができた。
「ええっと、水色に淡く光っているところかな?」
「そうだ。あの辺りには水妖精の集落があるから、水色に色づいているのだろう」
「集落の位置は全部把握してるの?」
「見える限りだがな。こうやって毎日確認していれば、魔力の乱れがあった時にいち早く問題を解決できるだろう?」
へえ、すごい。やっぱりユースって毎日国の為に努力しているんだ。そういうところ素敵だな。
頼もしい発言に、アレッタは感心してユースを見上げた。
「妖精さん達は、ユースが次の王様だと思うと安心して暮らせるだろうね」
「そうだといいがな。すぐにでも子がほしい妖精にとってはあまりいい王子ではないのだろうが」
苦笑するユースに、アレッタは首を横に振る。
「それは仕方ないよ、人を好きになるって強制されてできることじゃないから。私も婚約してたってテオドール殿下を好きになれなかった」
「そうだな。君が俺のことを好きになってくれたのはまるで奇跡のようだ。本当に嬉しい」
「私もだよ。ユース、私のことを好きになってくれてありがとう」
「ああ、アレッタ……かわいい」
ユースはなにかをこらえるようにくしゃりと表情を歪めて笑うと、そっとアレッタに顔を寄せてくる。
ゆっくりと近づいてくる唇を、アレッタは避けなかった。目を閉じて受け入れる。
ふにゃりと柔らかな感触が唇の上に降ってきた。
あ、私……今、ユースにキスされてる……
唇はたった数秒で離れていく。なんだか叫びだしたいような気持ちになったアレッタは、ギュッとユースを抱きしめて赤くなった顔を隠した。
嬉しい、けどめちゃくちゃ恥ずかしい、思ったより柔らかいし、一瞬でよくわからなかったからもう一回……バカバカ、もう一回ってなに! ?
そんなはしたないこと私からねだるなんてできない……けど、でも……
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