三男のVRMMO記

七草

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29、三男と旦那さんの夕飯作り

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昨日は更新出来なくてすみません。
今日も終わる時刻ですが、とりあえず続きです<(_ _)>
待ってくださってる方、ありがとうございますm(*_ _)m


ーーーーーーーー


「お疲れ様。着いてきてくれてありがとうね」
「いえ。俺こそ、色々な人と出会わせてもらえて嬉しかったです」

ダンさんのところで牛乳と卵とお肉を買った後、俺とマリ、そしてナンシーさんは宿屋へと戻っていた。
時間も結構たってたし、夕食の支度と宿泊客を迎える準備をしないといけないからだ。
別れ際、ダンさんはまた来いよと言いながら手を振ってくれた。
ハインツさんもリンダさんも優しかったし、本当にいい出会いだったな。

「あの人たちにはお世話になってるのよ。優しい人たちだし、カスミさんにも知って欲しかったの。仲良くなれたみたいで良かったわ」
「はい!ありがとうございます」
「まぁそれは理由の半分で、もう半分はカスミさんを自慢したかったのよね。もう一人の息子みたいなんだもの」

えへ、と笑いながらナンシーさんはそう言った。
正直俺の事を自慢してもという気持ちはあるのだが、ナンシーさんの心遣いはとても嬉しいものだった。
息子だと、家族だと思ってくれているのに顔が緩んでいくのを感じた。
出会ってからもうすぐ1日になるが、彼らとはほんの少しの時間しか一緒に過ごしていない。
それなのに俺のことを考えてくれる優しさに胸が暖かくなったし、なんだか幸せな気持ちになった。

「ありがとうございます、ナンシーさん。そう言ってもらえてとても嬉しいです」

本当に今日はいい事だらけだな。
何回目かの胸が暖かくなる感覚を感じながら、俺はナンシーさんと会話をしていた。
この世界にきてまだ二日だけど、二日間にしてはだいぶ濃い内容の一日を過ごしていたと思う。
ハニービーの依頼はまだ達成できてないけど、それはまぁ次回ってことで。
今日やるつもりだったことも次回にやろう。
今日はとりあえず、『木漏れ日』の手伝いに専念しないとな。
後は夕飯の手伝いだけなんだけど、何を作るにしても全力でやろう。
昼食ではスープを担当させてもらったから、またそんな感じになるのかな。
メニューはレオンさんに聞くまで分からないけど、俺に作れるものだといいな。
まあもし作れないものだったとしても、手伝いに専念すればいいだけの事なんだけどね。
そう言えば、荷物どうしよう。

「ナンシーさん。買ってきたものはどうします?」
「ああ、そうねぇ。とりあえず厨房に持って行って貰える?どこにしまうかはあの人に聞いてね」
「分かりました!」

俺はナンシーさんの言う通り、厨房に向かう。
厨房ではレオンさんが昼間とは違うパンを作っているところだった。
見たところ、フランスパンのようなものだった。
今日の夕飯に使うのだろうか。
俺はレオンさんがパンをオーブンにいれたのをみて、声をかけた。

「レオンさん、ただいま戻りました。食材を買ってきたんですけど、どうしますか?」
「……おかえり。とりあえず、ここに出してみてくれ」
「分かりました」

俺はレオンさんの示した調理台の上に、買ってきたものを全て出した。
まずは野菜たち、そしてモーミルの牛乳とドードリの卵とお肉だ。
レオンさんはそれをみて少し考えてから、ふむ、と呟いた。

「……今日はクリームシチューとオムレツ、サラダにしよう」
「いいですね!俺は何を担当しますか?」
「…シチューとサラダを頼む」
「はい!任せてください!」

そのメニューだと使わないものがなさそうなので、買ってきたものは調理台の上に出したままにする。
時間的に今から作るとちょうどいいくらいなので、俺とレオンさんは早速調理にかかる。
レオンさんがパンを量産し始めたのをみて、俺はシチューを作り始める。

「マリ、またここにいてくれる?」
「きゅぴ!」
「ありがとう」

危ないからとマリを調理台に置いてから、そこにある食材に視線をやる。
そして、じゃがいもと玉ねぎ、人参、ブロッコリーを手に取って水洗いする。
それぞれ皮を剥いて、一口大に切っていく。
お肉は昼と同じになるけど、ドードリの肉を使おう。
ドードリの肉も一口大に切って、塩コショウをかけたらとりあえずの準備は終了だ。
さて次はと、大きめのフライパンに油をしいて、ドードリの肉を入れて色が変わるまで炒める。
ジュウっと音をたてて焼けていくお肉を焦げないように時々動かして、全体的にピンク色がなくなったところでじゃがいも、玉ねぎ、人参を入れてさらに炒める。
お肉の匂いと野菜たちが焼けていくいい匂いが広がるのを感じながら、野菜がしんなりとしてくるまで炒めて、火を止める。
今回はお客さんに提供するやつだし、沢山シチューを作るなら鍋の方がいいよね。
炒めるところまではフライパンでやったけど、煮込むとなったら鍋の方がいいだろう。
俺は昼も使った大きな鍋に炒めたお肉と野菜を入れて、さらに小麦粉をいれた。
そして火を付けて、小麦粉の粉っぽさが無くなるまで混ぜる。
じゅうじゅうと焼けながら小麦粉が混ざり渡るのを見ながら混ぜて、完全に粉っぽさがなくなったのを確認してから水を入れてくるりと混ぜる。

「あとは蓋をして…この間にサラダ作るか」

蓋をしてからは少し煮込ませなければいけないので、この間にサラダを作ることにする。
レオンさんはパン作りからオムレツ作りに移っていて、レオンさんの手元ではたくさんの卵が味付けをされながら混ぜられていた。
レオンさん特製オムレツ、きっと美味しいんだろうな。
お金を払ってお客さんになりたい気持ちを抑えつつ、俺はサラダに使う野菜を手に取る。
きゅうりとトマトは必須として、あとはレタスでいいかな。
マリがきゅうりとトマトに目を輝かせたのを見て微笑ましく思ったけど、流石につまみ食いはさせられないのでごめんね、と撫でてから野菜を持っていく。
トマトときゅうりはざっと洗って、レタスは1枚1枚剥ぎ取ってから洗っていく。
あとは簡単で、レタスはちぎって食べやすい大きさにして、きゅうりは斜めにスライスしていく。
トマトはプチトマトなので、ヘタをとって半分に切っていく。
大人数分なので量こそ多いが、やる作業は簡単なのでスムーズに進められる。
大量の野菜を準備したら、大きな器にレタスときゅうり、トマトをいれておく。
あとは取り分けてドレッシングをかけて提供すればいいな。

「サラダ完成っと…」

シチューはどんな感じかな~と確認に行く。
鍋の蓋を取れば、ふわっと香るお肉と野菜の匂いに、くつくつと煮込まれる音が耳を楽しませた。
くるりと混ぜて煮込み具合を確認したら、モーミルの牛乳とバターを加えてさらに混ぜる。
牛乳の優しい匂いとバターのまろやかな香りを感じながら混ぜていき、塩コショウで味を整える。
最後にブロッコリーを入れてくるっと混ぜたら、また蓋をしてさっきよりも短い時間で煮込む。
ふくふく、くつくつと煮込まれている音が微かに聞こえる。
きっと鍋の中ではお肉と野菜の旨みがシチューに広がり、牛乳とバターと絡み合って美味しく煮込まれているところだろう。
料理をするとき、そんな見えないところを想像するのが好きだ。
くつくつという音を聞くのも好きだし、レオンさんがオムレツを焼いているじゅうっという音も好きだ。
こんなことを考えてると、俺は料理が好きなんだなぁということを改め感じる。
父さんや兄さん達が笑顔になるような料理はまだ出来ないけど、いつかきっと、俺の料理を食べて、笑って欲しいな。
まずはその第一歩として、今日来るお客さんと、ナンシーさんやレオンさん、アシル君が笑顔になってくれるようなシチューを作ろう。
そんなことを考えてたら、いい感じに時間が経っていたのに気づいた。

「そろそろかな」

ぽそりと呟きながら、俺は鍋の蓋に手をかけてえいやっと取った。
すると、ふわりと白い湯気がシチューの優しい匂いを含みながら広がっていき、俺を包み込んだのを感じた。
鍋の中を混ぜればさらに匂いは増していく。
1度焼いたお肉や野菜は芳ばしい匂いをシチューにさりげなく含ませ、牛乳やバターがそんな匂いを優しく包み込んでいる。
野菜の柔らかさを確認してから、俺は小皿にシチューを入れて一口食べる。
俺を包んでいた匂いが口から鼻まで広がり、匂いに負けないくらい芳ばしいお肉と野菜の旨み、牛乳の優しさ、そしてバターのまろやかさが調和し、混ざり合い、口いっぱいに広がった。
満足のいく出来に思わず笑顔になりながら、俺は鍋に蓋をしてからレオンさんの元へと向かっていく。
調理台のマリを1度撫でてから、オムレツを焼いているレオンさんに声をかける。
今更だけど、ここの厨房は用途事にコンロが別である。
俺が使ったところは煮込み用に鍋を置ける、少し低めのコンロで、今レオンさんが使っているのは手元で焼いたりする用の腰の位置にコンロがある場所だ。
俺はレオンさんが最後のオムレツを作り終えたのを確認してから、声をかけた。

「レオンさん、味見をお願いしてもいいですか?」
「…ん」

レオンさんは大皿にオムレツを移してから、俺の作ったシチューのところに向かう。
俺はレオンさんについていきながら、昼と同じようにドキドキと胸を鳴らしていた。
やっぱり、2回目だけどプロの人に自分の作った料理を食べてもらうのは緊張するものだ。
そんな俺を後目に、レオンさんは鍋の蓋をとる。
ふわっと先程俺を包んだ湯気が、今度はレオンさんを包むのが分かった。
レオンさんは少しそれを受けたあと、くるりと手元でシチューを混ぜてから小皿に入れる。
そしてすんっと匂いをかいでから、シチューを口の中にいれた。
レオンさんは少し考えたように黙り、しばらくしてからうむ、と呟いた。

「…いい出来だ」
「ほ、本当ですか?」
「…ああ」
「どこか至らないところとか」
「…特にない」
「でも…」
「…スープと同じだ。俺のとは味が違う。だが、優しい味だ」

昼も同じようなやり取りをした気がするなと思っていたら、レオンさんの最後の一言で全部吹き飛んだ。
優しい味を感じてくれたらしい。
嬉しくてレオンさんを見ると、ふっと笑って頭を撫でてくれた。
昼と同じ、暖かい温度を手のひら越しに感じる。

「レオンさん、ありがとうございます」
「…ああ」

俺はレオンさんに優しく撫でられながら、父さんや兄さん達のことを思い出していた。
このシチュー、今度家でも作ってみようかな。
笑顔になってくれるかは分からないけど、一言だけでも、美味しいって言ってくれるかな。
…大丈夫かな。
そんな俺の思いが伝わったのか、レオンさんは何も知らないはずなのに、大丈夫だと言ってくれた。

「レオンさん…」
「…お前の料理は上手い。だから大丈夫だ」
「ふふ、なんですか、それ。……ありがとうございます。少し、勇気がでてきました」
「…なら、いい」

そうだよね。家族に臆してちゃダメだよね。
せっかくレオンさんに勇気を貰ったんだから、現実に帰ったら今度は俺から聞いてみよう。
美味しい?って。
さしあたって、明日の夕食はシチューにしよう。
きっと、もっと勇気を貰えるはずだから。
俺はレオンさんの優しさを手のひら越しに感じながら、そんなことを考えていた。
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