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第41話 ドワーフと大鼠
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コウはドワーフのリーダー・ヨーゼフとそこに大鼠族のヨースを加えた三人で、みんなの村、エルダーロックに帰郷した。
「なんだ、ヨーゼフ。手ぶらで帰ってきたのか?」
出迎えてくれたヨーゼフの右腕『太っちょイワン』が、まじめな顔で指摘する。
「あっちでちょっと問題が起きてな。まあ、それもこちらで解決できるという事で、帰ってきた」
ヨーゼフはイワンの冗談なのか本気なのかわからない指摘にまじめに応じる。
そして、
「大鼠族のヨースがうちの村に住んでくれるらしいぞ」
と続けて答えた。
「……そいつはまた、ヨース。勝負に出たな」
イワンはヨースの事を知っているのか、少し呆れた様子で言う。
「ひゃー、この村、何もないな! でも、俺が仲間に声をかければ大丈夫さ! それにイワンの旦那、俺が顔が広いのは知っているだろ?」
ヨースはモフモフの胸をドンと叩くと大口も叩く。
「さあな。ヨーゼフがいいなら俺も文句は言わないさ」
イワンは興味なさそうに応じる。
「相変わらず無愛想なおっさんだぜ! ──まあ、この村は出来立てで可能性しかないからな。それにコウもいる。ならば俺もこの村に賭けるさ」
ヨースはよほどコウを高く評価しているのか鼠特有の髭を自慢げに触ると胸を張る。
「コウ、それじゃあ、イッテツのところでお前の言う例の奴を作って揃えておいてくれ」
ヨーゼフはそう言うと、村の中心部にイワンと一緒に話しながら忙しそうに歩いていく。
ヨーゼフは村長だから、やる事は山積しているのだ。
「なんだ例のものって?」
ヨースが興味を惹かれて、コウに聞く。
「秘密だよ」
コウはどこまでヨースを信じていいのかわからないから、一言応じるとイッテツの鍛冶屋へと向かう。
ヨースは当然のように付いてきた。
「秘密ってなんだよ。俺はお前に賭けてこの村で頑張ると決めたんだぞ? そんなにつれなくしなくてもいいだろ?」
ヨースはモフモフの体をポリポリとかきながら、コウの横を歩く。
「……この村の一員として、他言無用の約束できる?」
「ああ、もちろんさ!」
ヨースは当然とばかりに応じる。
「今からイッテツさんのところでツルハシを作るんだ」
「? ……それだけか?」
「それだけ」
「なんだよ、大袈裟な事を言っておいて! ドワーフの職人なら誰でもできる事じゃないか!」
ヨースは小馬鹿にされたと思ったのか不満を漏らした。
ヨースもまさか、このコウが他のブランドにも負けない高級なツルハシを作れるとは想像していない。
「……硬い岩盤を掘る為のツルハシなんだよ?」
コウは不機嫌になってしまったヨースに納得できるのように少し説明を付け足した。
「イッテツのおっさんって鍛冶の腕はいいけど確か魔力はからっきしだろ? 硬い岩盤を掘るには、魔鉱鉄製のツルハシじゃないと厳しいから作れないだろう」
ヨースはそちらにも詳しいのか、鋭い指摘をする。
「だから僕が手伝うんだよ」
「コウ、お前。魔力持ちかよ! ますますお前に賭ける理由ができたな! それで魔法はどんな派手なものが使えるんだ? ドワーフらしく土魔法か? それとも風とか水、火もいいな。さすがに雷は無理か?」
ヨースはコウの可能性に満足そうに答えるとまくし立てた。
「魔力は持っているけど、魔法はまだ、何も使えないよ。適正もよくわからないしね。でも、その魔力で魔鉱鉄製のツルハシは作れるよ」
コウは魔法の事を一切知らないから、素直にそう答えると、現状でできるツルハシ作成について答える。
「そうか、なら俺を頼ってくれよ。よし、わかった。コウに魔法を教える人材が必要だな。俺が手配しておくか。魔鉱鉄製を作れるほどの魔力だ。適正次第では色々魔法も使えると思うぜ。ちなみに俺は、土と風魔法が少し使える」
ヨースはそう言うと右手にこぶし大の石を魔法で生成し、左手でつむじ風を起こして見せた。
「おお。凄い!」
コウは魔法を使えるドワーフ仲間がいないので間近で見るのはほとんど初めてであったから素直に驚く。
「俺は大したことないさ。魔法を教えてくれた奴からも才能はあまり無いって言われたからな。だから、俺は商売の才能に賭けて、儲ける事に力を入れているのさ」
ヨースは胸を張る。
「へー。僕はこの半年でドワーフとしての力が付いた感じだからなぁ。才能がどうこうというのはわからないや」
「お前は才能に溢れているよ。無自覚は才能ない奴に失礼だぜ? 俺はその才能に賭ける。そして儲けさせてもらう。よろしくな!」
ヨースは鼠の顔に笑みを浮かべるとコウに握手を求める。
「僕に賭けてもお金になるかわからないけど、よろしく」
コウは少し戸惑うのだったが、ヨースと握手を交わすのであった。
そして数時間後。
ヨースは改めて自分の目に狂いがなかった事を確信していた。
イッテツ鍛冶屋の店内だ。
コウが魔力を込めて鍛錬したツルハシをイッテツが仕上げるのだが、それがあっという間の上に、コウが言っていた通り、魔鉱鉄製のものに仕上がっていた。
ブランドの等級で言ったら四級くらいだろうか?
イッテツが、
「調子に乗って少し魔力を込めすぎだぞ!」
と怒られていたから、ヨースも「どういう事?」と頭を捻った。
「こいつは魔力を込めすぎたら超魔鉱鉄製のものも作っちまうからな。加減を覚えさせているんだ。──誰にも言うなよ?」
と見学を許可したヨースにイッテツが口止めする。
「マジかよ、コウ! それなら、加減せずに何本か作ってくれよ。俺が大鼠族の人脈網で売り捌けば、出所なんて誰にも掴ませないぜ? ──こいつは面白くなってきたぜ! ヤッホー!」
ヨースは、見込んだこのハーフドワーフの未知の才能に嬉しくなって飛び跳ね、全身で喜びを表現するのであった。
コウが作った特別製の採掘道具は、ヨースの人脈網によって人知れず、『コウテツ』と刻印の入った謎のオリジナルブランドとして、通な者の間で有名になっていくのは少し先の事である。
「なんだ、ヨーゼフ。手ぶらで帰ってきたのか?」
出迎えてくれたヨーゼフの右腕『太っちょイワン』が、まじめな顔で指摘する。
「あっちでちょっと問題が起きてな。まあ、それもこちらで解決できるという事で、帰ってきた」
ヨーゼフはイワンの冗談なのか本気なのかわからない指摘にまじめに応じる。
そして、
「大鼠族のヨースがうちの村に住んでくれるらしいぞ」
と続けて答えた。
「……そいつはまた、ヨース。勝負に出たな」
イワンはヨースの事を知っているのか、少し呆れた様子で言う。
「ひゃー、この村、何もないな! でも、俺が仲間に声をかければ大丈夫さ! それにイワンの旦那、俺が顔が広いのは知っているだろ?」
ヨースはモフモフの胸をドンと叩くと大口も叩く。
「さあな。ヨーゼフがいいなら俺も文句は言わないさ」
イワンは興味なさそうに応じる。
「相変わらず無愛想なおっさんだぜ! ──まあ、この村は出来立てで可能性しかないからな。それにコウもいる。ならば俺もこの村に賭けるさ」
ヨースはよほどコウを高く評価しているのか鼠特有の髭を自慢げに触ると胸を張る。
「コウ、それじゃあ、イッテツのところでお前の言う例の奴を作って揃えておいてくれ」
ヨーゼフはそう言うと、村の中心部にイワンと一緒に話しながら忙しそうに歩いていく。
ヨーゼフは村長だから、やる事は山積しているのだ。
「なんだ例のものって?」
ヨースが興味を惹かれて、コウに聞く。
「秘密だよ」
コウはどこまでヨースを信じていいのかわからないから、一言応じるとイッテツの鍛冶屋へと向かう。
ヨースは当然のように付いてきた。
「秘密ってなんだよ。俺はお前に賭けてこの村で頑張ると決めたんだぞ? そんなにつれなくしなくてもいいだろ?」
ヨースはモフモフの体をポリポリとかきながら、コウの横を歩く。
「……この村の一員として、他言無用の約束できる?」
「ああ、もちろんさ!」
ヨースは当然とばかりに応じる。
「今からイッテツさんのところでツルハシを作るんだ」
「? ……それだけか?」
「それだけ」
「なんだよ、大袈裟な事を言っておいて! ドワーフの職人なら誰でもできる事じゃないか!」
ヨースは小馬鹿にされたと思ったのか不満を漏らした。
ヨースもまさか、このコウが他のブランドにも負けない高級なツルハシを作れるとは想像していない。
「……硬い岩盤を掘る為のツルハシなんだよ?」
コウは不機嫌になってしまったヨースに納得できるのように少し説明を付け足した。
「イッテツのおっさんって鍛冶の腕はいいけど確か魔力はからっきしだろ? 硬い岩盤を掘るには、魔鉱鉄製のツルハシじゃないと厳しいから作れないだろう」
ヨースはそちらにも詳しいのか、鋭い指摘をする。
「だから僕が手伝うんだよ」
「コウ、お前。魔力持ちかよ! ますますお前に賭ける理由ができたな! それで魔法はどんな派手なものが使えるんだ? ドワーフらしく土魔法か? それとも風とか水、火もいいな。さすがに雷は無理か?」
ヨースはコウの可能性に満足そうに答えるとまくし立てた。
「魔力は持っているけど、魔法はまだ、何も使えないよ。適正もよくわからないしね。でも、その魔力で魔鉱鉄製のツルハシは作れるよ」
コウは魔法の事を一切知らないから、素直にそう答えると、現状でできるツルハシ作成について答える。
「そうか、なら俺を頼ってくれよ。よし、わかった。コウに魔法を教える人材が必要だな。俺が手配しておくか。魔鉱鉄製を作れるほどの魔力だ。適正次第では色々魔法も使えると思うぜ。ちなみに俺は、土と風魔法が少し使える」
ヨースはそう言うと右手にこぶし大の石を魔法で生成し、左手でつむじ風を起こして見せた。
「おお。凄い!」
コウは魔法を使えるドワーフ仲間がいないので間近で見るのはほとんど初めてであったから素直に驚く。
「俺は大したことないさ。魔法を教えてくれた奴からも才能はあまり無いって言われたからな。だから、俺は商売の才能に賭けて、儲ける事に力を入れているのさ」
ヨースは胸を張る。
「へー。僕はこの半年でドワーフとしての力が付いた感じだからなぁ。才能がどうこうというのはわからないや」
「お前は才能に溢れているよ。無自覚は才能ない奴に失礼だぜ? 俺はその才能に賭ける。そして儲けさせてもらう。よろしくな!」
ヨースは鼠の顔に笑みを浮かべるとコウに握手を求める。
「僕に賭けてもお金になるかわからないけど、よろしく」
コウは少し戸惑うのだったが、ヨースと握手を交わすのであった。
そして数時間後。
ヨースは改めて自分の目に狂いがなかった事を確信していた。
イッテツ鍛冶屋の店内だ。
コウが魔力を込めて鍛錬したツルハシをイッテツが仕上げるのだが、それがあっという間の上に、コウが言っていた通り、魔鉱鉄製のものに仕上がっていた。
ブランドの等級で言ったら四級くらいだろうか?
イッテツが、
「調子に乗って少し魔力を込めすぎだぞ!」
と怒られていたから、ヨースも「どういう事?」と頭を捻った。
「こいつは魔力を込めすぎたら超魔鉱鉄製のものも作っちまうからな。加減を覚えさせているんだ。──誰にも言うなよ?」
と見学を許可したヨースにイッテツが口止めする。
「マジかよ、コウ! それなら、加減せずに何本か作ってくれよ。俺が大鼠族の人脈網で売り捌けば、出所なんて誰にも掴ませないぜ? ──こいつは面白くなってきたぜ! ヤッホー!」
ヨースは、見込んだこのハーフドワーフの未知の才能に嬉しくなって飛び跳ね、全身で喜びを表現するのであった。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
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