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第43話 売り主の思惑
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「それで、例のドワーフの集落の連中はどうしている?」
ここは、ダーマス伯爵の領都である城館の一室。
その執務室でダーマス伯爵は、大金をまんまとだまし取ったドワーフ達の動向を部下に確認していた。
「それが怒って怒鳴り込んでくるどころか、泣きついても来ません」
部下は、首を傾げて報告した。
「何? いい加減、鉱山が廃坑跡である事には気づいていいはずだろう? それにあそこの廃村の井戸は浄化特殊魔法なしでは飲めたものではないはず。すでに騙した時の魔法は効果が切れているはずだしな。そうなると水が飲めないからうちの専属魔法使いに浄化特殊魔法の契約を求めてきてもおかしくないだろう?」
ダーマス伯爵は想定外の反応、いや、無反応に疑問符が頭に沢山浮かぶ。
「それが一向に、何も言ってきません。想定では、移り住んで数か月後には、こちらと高額の三か月ごとの浄化特殊魔法契約で、大金が定期的に入るはずでしたが……そうはなっていません。鉱山についてもうちで掘り尽くした後なので、ドワーフにとっては死活問題のはずなんですが、こちらもまだ、泣きついてきません」
「……まあ、すぐに泣きついて来るだろう。それにあそこの土地は元々タダ同然だからな。私は懐が痛まない。──それにしてもあのドワーフはあの一帯を購入するだけの大金を持っていた。もう少し搾り取れると思ったのだがな……」
ダーマス伯爵は残念そうにため息をつく。
「それならば少し、探りを入れてみましょうか? あそこは本当に何もないうえに魔物が多い場所。困っていないわけがありません。悩みにつけ入ってまた、残りのお金も搾り取りましょう」
部下は悪い顔をして、上司である伯爵に提案する。
「……そうだな。だが、お金はかけるなよ? あんなところの調査に出費がかさむのは考えられない」
相当ケチな性格なのか、ダーマス伯爵は部下にそう釘をさすのであった。
ドワーフ達の新天地、エルダーロックの村。
廃坑を偽造した山と水が飲めない土地を買わされたドワーフ達の自由な場所。
だが、コウの知識で水は確保できていたし、鉱山も岩盤を掘り抜いてその下の鉱脈に手を付けられる算段ができつつあった。
すでに、コウとイッテツが作成した五等級の魔鉱鉄製ツルハシでもってかなり岩盤を深く掘り進めている。
ヨーゼフからは、再度、この廃坑跡にはまだ、豊富な鉱脈が眠っている匂いがする事は確認済みだった。
そして、今、コウの能力一つであり、自身が名付けた『鉱脈探知』を試していた。
それは岩盤の一部をコウの金槌で叩いて音の響きで周囲の鉱脈や空洞を確認するというもので、この手法で前の鉱山では『遺産の部屋』も発見しているのだ。
カーン、カーン。
ゴーン。
カツーン。
コウはいろんな場所を金槌で叩いて確認して回る。
「……この硬い岩盤はあともう少しあります。でも、その下は比較的に掘りやすそうですね。そして、その近くにはいくつか鉱脈がありそうです」
コウは音の鳴り方に耳を傾けて、静かに待っていたヨーゼフ達に答えた。
「おお! もう少しか! でも、さすがに魔鉱鉄製のツルハシもほとんど限界が近い。『半人前』のコウ。また、イッテツさんと一緒に新たなのを作ってもらっていいか?」
ドワーフ鉱夫の一人が手にしたぼろぼろのツルハシを見せてお願いした。
「いいですけど……。それよりは残りは僕が掘った方が早いかもしれないです」
コウはそう言うと、脇に置いていた布に包まれていたツルハシを握りその布を外す。
そして、足元の硬い岩盤に振り下ろした。
コウのツルハシは硬い岩盤に、誰もが想像したのとは違うサクッという音と共に刺さり、簡単に岩盤が削られていく。
「!?」
その場にいた鉱夫達はコウの掘削の腕を始めて見る者も多く、魔鉱鉄製のツルハシでも大変なはずの硬い岩盤を、柔らかい土のように掘っていくコウに一様に驚く。
コウは無言で一時間ほど掘り続けると、周囲のドワーフ達は邪魔をしないように掘削で出たクズ石を無言で運び出していく。
それくらいコウが集中して掘っていたからだ。
それに鉱夫達はコウが出したクズ石がしっかり硬いものである事も確認して、それに驚き、その掘削技術が、リーダーのヨーゼフやそれより上のクラスである事を理解し、邪魔してはいけないと暗黙の了解とするのであった。
数時間後、集中していたコウが、手を止めて顔を上げる。
「硬い岩盤層を抜けました。あとは少し、穴を広げますね」
コウは手際よく掘り抜いた辺りの硬い岩盤をサクサクと削って、他のみんなが掘りやすいように削っていく。
そうなると周囲の鉱夫達も心得たもので、手際よくその助手をはじめ、螺旋状の道を作り上り下がりがしやすいように整備していった。
そして、その日の夕方。
ついに厚く硬い岩盤層から下へと掘り進める竪穴坑道が完成した。
「ここから真っすぐ横に十五メートルほど掘り進めると、鉱脈の一つが見つかると思います」
コウは手にした金槌で壁を叩き能力の『鉱脈探知』で再度確認して他の鉱夫にアドバイスする。
「よし、わかった! ──おい、野郎ども、明日から三交代制で始めるぞ! ヨーゼフさん、それでいいか?」
ドワーフ鉱夫の年配者が、リーダーであるヨーゼフに確認する。
「ああ、後は頼む。──コウもご苦労様。お前は掘り始めるとやはりドワーフだ。穴掘りに集中すると没頭してしまうな。はははっ!」
ヨーゼフは半日間、黙々と掘り続けたコウに呆れると同時に、心強い仲間である事を改めて再認識し、背中をバシバシ叩いて笑うのであった。
ここは、ダーマス伯爵の領都である城館の一室。
その執務室でダーマス伯爵は、大金をまんまとだまし取ったドワーフ達の動向を部下に確認していた。
「それが怒って怒鳴り込んでくるどころか、泣きついても来ません」
部下は、首を傾げて報告した。
「何? いい加減、鉱山が廃坑跡である事には気づいていいはずだろう? それにあそこの廃村の井戸は浄化特殊魔法なしでは飲めたものではないはず。すでに騙した時の魔法は効果が切れているはずだしな。そうなると水が飲めないからうちの専属魔法使いに浄化特殊魔法の契約を求めてきてもおかしくないだろう?」
ダーマス伯爵は想定外の反応、いや、無反応に疑問符が頭に沢山浮かぶ。
「それが一向に、何も言ってきません。想定では、移り住んで数か月後には、こちらと高額の三か月ごとの浄化特殊魔法契約で、大金が定期的に入るはずでしたが……そうはなっていません。鉱山についてもうちで掘り尽くした後なので、ドワーフにとっては死活問題のはずなんですが、こちらもまだ、泣きついてきません」
「……まあ、すぐに泣きついて来るだろう。それにあそこの土地は元々タダ同然だからな。私は懐が痛まない。──それにしてもあのドワーフはあの一帯を購入するだけの大金を持っていた。もう少し搾り取れると思ったのだがな……」
ダーマス伯爵は残念そうにため息をつく。
「それならば少し、探りを入れてみましょうか? あそこは本当に何もないうえに魔物が多い場所。困っていないわけがありません。悩みにつけ入ってまた、残りのお金も搾り取りましょう」
部下は悪い顔をして、上司である伯爵に提案する。
「……そうだな。だが、お金はかけるなよ? あんなところの調査に出費がかさむのは考えられない」
相当ケチな性格なのか、ダーマス伯爵は部下にそう釘をさすのであった。
ドワーフ達の新天地、エルダーロックの村。
廃坑を偽造した山と水が飲めない土地を買わされたドワーフ達の自由な場所。
だが、コウの知識で水は確保できていたし、鉱山も岩盤を掘り抜いてその下の鉱脈に手を付けられる算段ができつつあった。
すでに、コウとイッテツが作成した五等級の魔鉱鉄製ツルハシでもってかなり岩盤を深く掘り進めている。
ヨーゼフからは、再度、この廃坑跡にはまだ、豊富な鉱脈が眠っている匂いがする事は確認済みだった。
そして、今、コウの能力一つであり、自身が名付けた『鉱脈探知』を試していた。
それは岩盤の一部をコウの金槌で叩いて音の響きで周囲の鉱脈や空洞を確認するというもので、この手法で前の鉱山では『遺産の部屋』も発見しているのだ。
カーン、カーン。
ゴーン。
カツーン。
コウはいろんな場所を金槌で叩いて確認して回る。
「……この硬い岩盤はあともう少しあります。でも、その下は比較的に掘りやすそうですね。そして、その近くにはいくつか鉱脈がありそうです」
コウは音の鳴り方に耳を傾けて、静かに待っていたヨーゼフ達に答えた。
「おお! もう少しか! でも、さすがに魔鉱鉄製のツルハシもほとんど限界が近い。『半人前』のコウ。また、イッテツさんと一緒に新たなのを作ってもらっていいか?」
ドワーフ鉱夫の一人が手にしたぼろぼろのツルハシを見せてお願いした。
「いいですけど……。それよりは残りは僕が掘った方が早いかもしれないです」
コウはそう言うと、脇に置いていた布に包まれていたツルハシを握りその布を外す。
そして、足元の硬い岩盤に振り下ろした。
コウのツルハシは硬い岩盤に、誰もが想像したのとは違うサクッという音と共に刺さり、簡単に岩盤が削られていく。
「!?」
その場にいた鉱夫達はコウの掘削の腕を始めて見る者も多く、魔鉱鉄製のツルハシでも大変なはずの硬い岩盤を、柔らかい土のように掘っていくコウに一様に驚く。
コウは無言で一時間ほど掘り続けると、周囲のドワーフ達は邪魔をしないように掘削で出たクズ石を無言で運び出していく。
それくらいコウが集中して掘っていたからだ。
それに鉱夫達はコウが出したクズ石がしっかり硬いものである事も確認して、それに驚き、その掘削技術が、リーダーのヨーゼフやそれより上のクラスである事を理解し、邪魔してはいけないと暗黙の了解とするのであった。
数時間後、集中していたコウが、手を止めて顔を上げる。
「硬い岩盤層を抜けました。あとは少し、穴を広げますね」
コウは手際よく掘り抜いた辺りの硬い岩盤をサクサクと削って、他のみんなが掘りやすいように削っていく。
そうなると周囲の鉱夫達も心得たもので、手際よくその助手をはじめ、螺旋状の道を作り上り下がりがしやすいように整備していった。
そして、その日の夕方。
ついに厚く硬い岩盤層から下へと掘り進める竪穴坑道が完成した。
「ここから真っすぐ横に十五メートルほど掘り進めると、鉱脈の一つが見つかると思います」
コウは手にした金槌で壁を叩き能力の『鉱脈探知』で再度確認して他の鉱夫にアドバイスする。
「よし、わかった! ──おい、野郎ども、明日から三交代制で始めるぞ! ヨーゼフさん、それでいいか?」
ドワーフ鉱夫の年配者が、リーダーであるヨーゼフに確認する。
「ああ、後は頼む。──コウもご苦労様。お前は掘り始めるとやはりドワーフだ。穴掘りに集中すると没頭してしまうな。はははっ!」
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